映画 「生きとし生けるもの」 監督 今津秀邦さんインタビュー

旭川出身のカメラマン今津秀邦さんが、監督・撮影を行ない、北海道の生き物のリアルを描いた映画「生きとし生けるもの」が6月3日(土)より公開される。昨年のモニター試写会から映像・音響のクオリティや内容を進化させ、シネプレックス旭川をはじめ全3館での上映が決定。作品の集大成となる今回の公開を機に、撮影・制作の裏話や映画の楽しみ方を伺いました。

道内各地での撮影はどのように行なわれたのですか?

 山にこもって…といったイメージがありますが、僕の場合は日帰りがメインです。知床での撮影も日帰り。僕ら人間が滞在することで生き物たちの生活リズムが崩れ、本来の姿が撮れなくなるからです。彼らの生活にも迷惑がかかります。仕込みや餌付けをせずありのままの姿を様々な角度から撮るため、多いときは1ヵ所に20回ほど通いました。天候や周りの風景の同じコンディションを求めてまた翌年に訪れるなどと、すべて撮り終えるまでに5年の歳月を費やしました。

どんなことを意識して撮影しましたか?

 物語の多くは決まった脚本に沿った映像を撮りますが、この映画の場合はまったくの逆で、撮りたいシーンや初めの構想を決めていません。目的を決めて固執してしまうと、実はもっと良い場面がそばで起きていたとしても見逃してしまうんです。なので、広い視野を持ち、柔軟に考えながら周囲を見るよう心がけていました。

では、嬉しい出来事や驚きはありましたか?

 この映画に関してはとても運が良く、これまで見られなかった奇跡的なシーンが沢山撮れました。たとえば、予告動画にある子ギツネがこっくりこっくりとうたた寝をするシーンは、30年以上カメラマンをしていて初めて出会いました。ヘビが水面を泳ぐ場面も見ものです。もう2度と撮れないような一瞬の奇跡が多々起きましたね。

映画を通して伝えたいことはありますか?

 この映画は、生き物の北海道での暮らしぶりを観ながら自然と物語に入り込むことで、生き物が役者のように見えるような作りにしています。例えばヒグマのサケの捕食シーンも、得体の知れない悪魔に戦いに行くアクション映画のように、サケの視点で感情移入ができるようになります。実はこの、感情移入をする経験がとても大事なことで、僕たち人間は『人間と、“ほか”の生き物』として見がちですが、人間も、キツネも、サケも、“同じ”生き物ということに気付かされます。姿かたち、性格の違うそれぞれひとつひとつの命の大切さ、今この一瞬の大切さ、そして自分とは何かなど、僕が何かを伝えるのではなく、観た人の感性でその人の人生と絡めながら何かを感じてもらえると嬉しいです。生き物の生態についての映画と思っていたら、きっと裏切られますよ(笑)。

旭川ではシネプレックス旭川にて6月3日(土)上映スタート!

シネプレックス旭川
☎0166-49-1000
旭川市永山12条3丁目 ウエスタンパワーズ内

監督今津秀邦さん 2002年から現在まで旭山動物園の公式ポスターを手掛ける

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