旭川の老舗「東邦木材」で美人女性が挑む東京での挑戦と覚悟とは

旭川の老舗「東邦木材」で美人女性が挑む東京での挑戦と覚悟とは

旭川の中小企業を代表する「東邦木材」。祖父の代から続く東邦木材の一人娘が会社経営に参画し旭川から新たな戦略を仕掛けています。木工という男社会の色が強い世界で、旭川出身の女性が一人で東京で支所を立ち上げ挑戦をしていく過程と覚悟を追ってみました。


地元旭川から東京で支社を立ち上げを目指す

「元々東京で生活しながらもいつかは地元に帰らなければいけない、親の会社も自分のできることで盛り上げていきたいという想いは常にありました」

そう話す井口さんは現在住んでいる東京と育った旭川を拠点に行き来する東邦木材社長、井口公夫さんの一人娘。

東京の大学を卒業後、学校法人へ就職し広報や生徒募集などの業務を10年間勤めていました。

結婚を機に多忙だった仕事を辞め、生活の切り替えを行うことを考えていた時に、やはり自分の祖父から父へと維持されてきた会社が頭の中から離れることはありませんでした。

「私が育った会社の業務に携わりたい」そう言うと、旦那さんとなったばかりのパートナーは反対することなく応援してくれました。

東京で結婚をして旭川の会社に常勤させるのは現実的に難しいと感じた父親は、

「まずは東京で出来ることをやってみなさい」と父親としての優しさと、会社社長としての役割も課してきたのが始まりです。


全くのゼロからの東京でのスタート

東邦木材が主に行なっている事業は北海道で採れる木材、ナラとタモを加工してフローリングなどの製品を作っていますが、会社社長の娘といっても、業務に関しては全くの未経験。

その中でも「自分にできること」と動き出してまず行なったのは東京などで行われている展示会への出展。

「前職でブースの設定やイベントなども行なっていたこともありその経験を生かしました」

(自社販促物の作成なども経験を元に手がけています)

しかし展示会でのブース出展は最初から上手くいった訳ではありません。
経験の浅さからお客さんのバッテイングや男社会での営業面など難しさを痛感。
ただ、女性としてのアドバンテージと女性目線を有効に活用して、丁寧な営業スタイルや手土産を持参して挨拶に行くなど目に見えないちょっとした気遣いを行なっていったところ日に日に認知されるようになり、手応えも少しずつ掴むようになりました。

木材とアロマオイルの融合

地元で女性ならではの人脈を生かして同じ旭川でオリジナルアロマオイルの制作から販売を行なっているGrasse(グラース)と提携を結び展示会では地元の木を使ったアロマオイルの展示も開始しました。

当初の目的はちょっとしたアクセントを取り入れてみてアピールするのが目的でしたが、意外にも様々な業種の男性が足を止めることに驚いたそうです。

「男の人って実はアロマなどの匂いに敏感に反応する人が多いのかもしれません」

この世界を知らなかったからこそのアイディアであり、女性ならではの感性を活かした営業を意識できるようになったのは彼女の強みの一つでもあります。

北海道の木を必要とする人へ

例えば「食」に関するものであれば多くの人間に必要なものでしょう。

また「水」や「電気」のインフラもそうかもしれません。

しかしフローリングの木材となれば全ての人に共通して生活に必ず必要ではないかもしれません。

だからこそ営業の難しさも味わい、その中で地元北海道の自然素材をアピールするということは簡単ではありません。

「こだわりのある人やお客さんをどのように探し出すか、またそのような潜在客を作り出すことも課題ですね」

生まれ育った地元の自然素材と、自分の祖父の代から続けてきた会社をいかに盛り上げ、成長に貢献するかが今の井口さんの見据える目的です。


女子校出身の彼女が男社会に挑む

井口さんが卒業した高校は旭川藤女子高等学校(現 旭川藤星高等学校)
当時は女子校だった為、男性と接する機会は一般の高校よりは少なめでした。
また彼女自身「人見知りなところがあった」と言うように、東京に出るまでは人前で話すことすら得意ではなかったようです。

しかし思い切って東京に出て生活を重ねていく上で人見知りだった性格は徐々に変化を遂げました。

「当時の私だったらこんな男社会でやっていってるのは想像できないかも」と少しはにかみます。

しかし現在は職人気質のベテラン男性を相手に様々な改善点を話しあい、多くの営業マンたちと渡り合えるように経理の知識なども蓄えています。

「確かに男社会ですが同じ業界でも女性でバリバリ活躍している人もいます。そんな人たちを見るとやってやれないことはないと思います」と決して怯んではいません。

一つの夫婦のあり方

2〜3ヶ月に一度は東京から飛行機に乗って東京を離れ旭川の本社で勤務します。

その間は時期にもよりますが1週間から2週間は妻としての役割ができません。

しかし旦那さんは井口さんの仕事に理解を示し愚痴などを言うことは一切ないようです。

「むしろ最近では彼の方から『木材のこんなイベントがあるよ』『こんな記事見つけたらから読んでみたら?』と興味を示してくれてます」

と、非常に好意的に応援してくれるそうです。

働き方改革と言われ家族としてのライフスタイルも多様に変化している現代で、このような働き方や夫婦のあり方も一つの現代スタイルなのかもしれません。

木工の町旭川の老舗「東邦木材」

木工の町旭川で木材を使った製品を作り続けて70年。

旭川市内に工場を構え、札幌、秋田、福岡、中国(大連)と国内は元より、旭川から海外まで幅広い業務を行なっています。

現在は北海道産のナラ・タモにこだわったフローリングをメインに制作していますが、リノベーションや部屋の寸法やイメージに合わせたオーダー家具なども対応しています。

また海外では長年培った輸入の実績などから輸入代行も行なっています。
木材に限らず幅の広い業務を語学堪能な社員と共に安心、安全な輸入代行業務を続けています。
まずは簡単な相談からしてみてはいかがでしょうか。

東邦木材(株)
本社 〒070-0039 北海道旭川市9条通17丁目左1
電話番号 0166-26-2388
代表取締役 井口 公夫

東邦木材 ホームページ

この記事のキュレーター

バドミントン元全日本ジュニアチャンピオン。20代半ばよりオーストラリアで生活後、アジア、南米、北米を1年半放浪。帰国後は沖縄の宮古島、兵庫の淡路島などで島生活を経てバドミントンネパール代表のコーチに就任。その後メキシコでジュニア代表もコーチし、マヤ族と一緒に生活。海外ではクリスタルやオパールなどの天然石の買い付けも行い、マクラメジュエリー、アトリエ「名もなき石屋」を幌加内で運営。著書にノンフィクション「旅を終えると君の余命は1年だった」を出版。英語、スペイン語、手話での会話が可能。

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