カラダのお話し 2017年12月

このコーナーでは、旭川市内で医院を開業されている先生に登場してもらい、読者が抱える身体の悩みにお答えしてもらいます。
あなたの誰にも相談できないカラダの悩みに先生がお答えします。

Q. 友だちが、「産後に気分が落ち込み、育児に気持ちが入らない」と言っていました。産前に比べると表情が暗く、話すことも愚痴ばかりでした。これはいわゆる『産後うつ』というものでしょうか。
(相談者:20代/主婦)

A. 産後、一時的に気持ちが落ち込むことはよくあることです。産後数日で泣きたくなったり、赤ちゃんを可愛く思えない、家族に不満を抱く、などは決して稀なことではありません。多くの妊婦さんが経験することです。
産後3日から10日の間にこうした症状が現れることが多く、『マタニティブルーズ』と呼ばれます。気持ちがふさぐ、集中力が無くなる、不眠などの症状が出ますが、最も多いのは涙もろくなることです。産婦さんの30%程度にこうした症状が現れる、という報告もありますので、誰にでも起こりうると考えて良いでしょう。ほとんどは2週間ほどで自然に治ります。よく話を聞いてあげるだけで、治療の必要がないことが多いのです。
ですが、この中の5%ほどが産後うつになる、と考えられています。産後うつは抑うつ感・焦燥感・不安・不眠・自責・育児放棄などが現れます。マタニティブルーズから移行を含めて、産婦さんの5から10%に現れる、という報告があります。こちらも決して少なくありません。赤ちゃんを愛せない、家族を愛せない、自分は母親として失格なのではないか、という自責の念は、悪化すれば自殺にも至り兼ねませんので、周囲が気を付ける必要があります。

治療法

 産後うつの場合、家族の協力が欠かせません。産婦さんに育児のすべてを任せずに、時には赤ちゃんから離して、育児の負担を軽減することが必要です。ただし、自分がダメだから赤ちゃんから離された、と思わせないようにすることが大切ですが、妊娠前にうつなどの精神疾患を経験した女性や、赤ちゃんに病気が見つかった、望まない妊娠・出産をした女性に多い、という報告もあります。私たち産科医は、こうしたことを常に念頭に置いておく必要があります。最近、放映されたテレビドラマ『コウノドリ』でも、産後うつがテーマになっていました。症状が重い場合、投薬を含め精神科医と連携して治療します。マタニティブルーズと違い、産後うつは治療が必要な状態と思って良いでしょう。
マタニティブルーズも産後うつも、家族の理解と協力が欠かせません。出産をした病院でも相談に乗ってくれるはずです。行政の支援もあります。1人で抱え込まず、まずは身近な誰かに話してみることです。育児に気持ちが入らないことに、罪の意識を持ち過ぎないことです。我慢を続け、自分を責め続けるのが最もいけないことです。

さいごに

産後うつの場合、向精神薬(SSRIのパキシルなど)を使わざるを得ない場合もあります。妊娠中はともかく、授乳にはそれほど影響はありません。乳汁への移行は10%程度で、赤ちゃんへの影響は少ないと考えられており、あまり気にせず薬を使えます。とにかく1人で悩まないこと。それが最も大切なことだと思ってください。

豊岡産科婦人科
院長:久田孝司
住所:旭川市豊岡4条1丁目1-10
電話:0166-31-6801

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