カラダのお話し 2018年8月

このコーナーでは、旭川市内で医院を開業されている先生に登場してもらい、読者が抱える身体の悩みにお答えしてもらいます。
あなたの誰にも相談できないカラダの悩みに先生がお答えします。

陸上競技をしている高校生です。生理が重く、競技日と重なると休みたくなります。生理前に体調も悪くなります。友達が、生理日をずらしたら、と言ってくれました。そんなことができるのでしょうか? それより、生理自体が軽くなればいいのですが。
(相談者:10代/学生)

A. 月経(生理)で悩んでいる女性アスリートは少なくありません。欧米の女性アスリートは80%以上が薬を服用して、月経の問題に対処しています。残念ながら日本では、数%というところでしょうか。もっと普及していいものだと思います。
薬としては、女性ホルモンのエストロジェンとプロゲステロンの合剤であるLEPというものを使います。経口避妊薬としても使いますが、用途はむしろ月経不順を改善したり、月経痛を軽減したり、不正出血を治療したり、と避妊以外の使い方の方が多いのです。以前よりもホルモン含有量が少なくなり、安全性が高くなっています。血が固まりやすくなる、ということ以外は、副作用の少ない比較的安全な薬です。
LEPを服用することで月経痛が軽くなり、経血も少なくなります。排卵が抑制されるので排卵痛(中間痛)、排卵期出血(中間出血)もなくなります。月経の前の体調不良、月経前症候群も改善されることが多いのです。いいことばかり書いているのでは…と疑われるでしょうが、欧米のアスリートの多くが服用していることが、その証拠です。日本は経口避妊薬と呼ばれていた頃から、薬を使うことに忌避感があったと思います。経口避妊薬の普及が進まなかったことが、日本の女性アスリートがLEPに目を向けない主因と思われます。
確かに血が固まりやすくなり、血栓ができる可能性は捨てきれません。ですから水分を十分に取り、脱水に陥らないようにすることが大切です。服用開始3ヵ月くらいは不正出血がみられることがありますが、服用を続けることで多くは消失します。筋力を低下させることもありません。大事なことですが、日本で処方されるLEPはドーピングにあたりません。安心して服用してください。
大切な競技の日が月経にぶつかる。痛みだけでなく、出血も気になりますね。その月経を動かすこともできます。早めることと遅くすること、どちらが確実かというと、遅くすることの方です。早めることはうまくいかないことがあります。これもLEPを使います。運動だけではなく、旅行や試験日にぶつかる、という時にも有効です。実際、入試の頃には、月経日を移動させて、という受験者が多くなります。お母さんに付き添われてきますが、別に診察の必要はありませんので、気軽に相談してくれれば結構です。
LEPをいつから使えるか、というと、初経が始まれば使えます。LEPによって骨端線が閉じると心配される方もいますが、初経が始まって以降は、LEPを投入されてもほとんど影響がないことが分かっています。身長が伸びなくなるのではと不安になる必要はありません。

さいごに

ご相談の方は高校生ですので、初潮を終えているものと思われます。婦人科、あるいは小児科、スポーツ医に相談するといいでしょう。きっといい成績を残せると思います。

豊岡産科婦人科
院長:久田孝司
住所:旭川市豊岡4条1丁目1-10
電話:0166-31-6801

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