カラダのお話し 2018年10月

このコーナーでは、旭川市内で医院を開業されている先生に登場してもらい、読者が抱える身体の悩みにお答えしてもらいます。
あなたの誰にも相談できないカラダの悩みに先生がお答えします。

妊娠後期なのですが、貧血があると言われました。飲み薬を出されましたが、飲むと胃がむかむかして、便秘にもなりました。女性は貧血が多いと聞きます。日頃からの注意を教えてください。
(相談者:30代/主婦)

A. 女性は月経(生理)があることにより、男性より貧血になりやすいのです。男性の場合、貧血があるとほかに何らかの病気が潜んでいることがありますが、女性はただ単に貧血の状態になりえます。貧血は血の量が少ないわけではありません。血の濃さが足りない状態です。血の濃さを表すヘモグロビンの濃度が低いのです。血液は血餅と血漿に分かれ、血餅に赤血球、白血球などが含まれます。このうち赤血球の中心にあるヘモグロビンが少ない状態が貧血です。
 赤血球は毛細血管を通じて全身の細胞に酸素を送ります。赤血球が酸素と結び付くためにヘモグロビンが重要なのです。足りないと赤血球がうまく酸素と結び付けません。全身に酸素が行き渡らなくなります。ですから症状としては息切れ・倦怠感・動悸などが現れます。貧血が進めば顔色が悪くなり、錆びたクギなど、妙なものを食べたくなったりします(異食症)。妊娠している方なら、その症状はさらに強く現れることがあります。ただし、直接胎児に影響することは少ないと考えられています。つわり(妊娠悪阻)もそうですが、お母さんがどんな状態であっても、胎児は必要な栄養を摂ろうとします。そのため、妊婦さんはさらに苦しくなります。
 妊娠中は血漿がおよそ50%、血球はおよそ20%増えると言われています。つまり、血が薄まっている状態が普通なのです。妊娠後期になればこの状態が少し改善されますが、それでもヘモグロビン値11g/dl以下、ヘマトクリット値33%以下の場合、治療が必要になることがあります。私個人はヘモグロビン値10.5以下を治療の目安にしています。鉄剤の投薬が基本ですが、胃が荒れる、便秘になりやすいという問題がありますので、飲み薬がダメな方は鉄剤の注射で対処します。程度によりますが、週に1度が基本になります。
 ただし、赤血球の大きさが異常な貧血もあり、そうした場合血液の病気が潜んでいることがあります。赤血球の大きさが小さな場合はまず鉄欠乏性貧血を考えますが、問題は大きな場合です。この大球性貧血の中には、悪性貧血など重大な血液疾患が含まれます。ビタミン12、葉酸の不足でもこの貧血になります。特につわりなどで栄養をうまく摂れない時に、この貧血になることがあります。食べられるようになったら、豚肉、海苔、納豆などで必要な栄養を摂ってください。葉酸は通常の食生活では十分な量を摂れないため、サプリメントを活用するのがいいでしょう。ドラッグストアには必ずありますし、産科に常備してあります。先生や看護師さんに相談してみてください。葉酸は胎児の神経系の成熟にも重要です。
 妊娠中の貧血は分かった時点で早めに治療するのが大切です。鉄剤の投薬も注射も、行なえばすぐに貧血が改善するわけではありません。効果が現れるのは投薬後10~14日後になります。

豊岡産科婦人科
院長:久田孝司
住所:旭川市豊岡4条1丁目1-10
電話:0166-31-6801

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