COVER GIRL 書道アーティスト 深井 玉扇

11月号より突如新体制となったasatan編集部から、初の女性・20代編集長が誕生。弱冠24歳、入社3年目の関口が思い描くasatanの理想とは? 今回は『芸術の秋特集』にかけて、書道アーティストとして全国で活躍する深井玉扇(ぎょくせん)さんを招き、『仕事』をテーマにフリートークを繰り広げた。

この分野に興味を持ったきっかけは?

関口 小学生の頃って何かにつけて作文書かされるじゃないですか。そしたらクラスのみんなは「めんどくせ~」って騒ぐんですけど、私はひとり盛り上がっていたんですよ (笑)。
深井 盛り上がっていた(笑)。書くのが好きだったんですね。
関口 はい、とにかく楽しくって。たまにポエム風にしたり、ミステリー風に書いたりとかして(笑)。そういうワクワクした気持ちが10年以上変わらなかったので、『書く』を仕事にしたくてまっすぐ出版社に入ったんです。深井さんが書道に興味を持たれたのはいつ頃でした?
深井 私は5歳の頃ですね。習い事ブームってあるじゃないですか(笑)。ピアノやプールと一緒に書道も始めて、結局最後まで残ったのが書道だったんですよね。
関口 すごい、私同じの全部やってきたのにひとつも残ってないです(笑)。ということは「書道が好き、やりたい!」といって始めたわけではなかったんですね?
深井 え! 本当に!(笑)。私もやめかけた時はもちろんあったんですけどね。最初は書道も、あくまでいろんな習い事のなかのひとつでした。ずっと続けていましたが大学はグラフィックデザインを専攻していたし、仕事にしようと思ったのは卒業してからなんですよ。
関口 ほぉ~、デザインだったとは驚きです。あぁ、だから深井さんは書道だけじゃなくてアート作品も手掛けられるのかぁ。
深井 そうですね、出版社でデザイナーとして働いたこともあって。そういう経験が今の自分の表現である、アート×書道の形を作りましたね。

この仕事を始めたきっかけは?

関口 私はまず出版社で働くには言葉を学ばなきゃ、と思って学生時代は日本語学を専攻しました。あと…創作活動もしてたんですよ(笑)。
深井 創作活動、いいですね!(笑)。本づくりですか?
関口 ですね、学生団体に入って学生向けのフリーペーパーを作ったり、マスコミ業界で働く人に作文を添削してもらえる塾に入ったり、あとは小説を書いたり(笑)。あ、ここはスルーしてもらっていいです(笑)。
深井 あはは、了解です(笑)。でもどうしてasatanに入社したんですか?
関口 もともと東京で生まれて10年住んでいたので馴染みがあって、東京の大学に編入してそのまま東京で就職しようとしていたんですけど…私過剰なくらいおじいちゃんっ子で。大学4年の時に当時95歳のおじいちゃんが倒れて、どうしよう、やっぱ旭川に帰って側に居たいなぁ…と悩んでいた時に、お見舞いに行った病院でたまたま手に取ったのがasatanだったんです。で、その号に偶然求人広告が載っていたんですよ。「あぁ、これだ」と思って、その日病院の郵便局から履歴書を出して、今です。
深井 えーっ(笑)、それはすごい。偶然人を募集していたのがすごいですね。おじいさんがasatanと関口さんを繋いでくれたんですね、きっと。
関口 そうかもしれないです。縁があったなぁと今ではすごく思います。深井さんは書道をお仕事にされたのはどうしてですか?
深井 大学を卒業した時に、周りに起業をしている友人も多かったのでなんとなく自分もやってみようと思ったんです。それで最初は書道教室を自宅で始めました。広告も自分で作れるので、ポスティングして生徒さんを集めて…。
関口 あぁ、そうか、グラフィックデザイン専攻だから広告も自分で作れちゃうんですね。かっこいい。それからどんなふうに活動の幅を広げていったんですか?
深井 私は札幌出身で当時札幌に住んでいたので、アートが好きな友達と一緒にカレンダーを作ったりして。でも正直な話書道だけではあまりお金にならなかったので、1度離れてみようと思って東京の出版社でデザイナーとして働くことに決めて、5年前に上京したんです。
関口 大好きな書道から1度離れてしまったんですね。デザイナーとして働いてみてどうでしたか?
深井 やっぱり書道が恋しくなりました。1~2年くらい離れて…辛かったですね。好きなら離れても意味がない、このまま東京で好きな書道をやってみようと思って。その後は命名書きから始めて、「教えて欲しい」の声があったのでまた教室も始めました。そのうちに書道だけでは物足りなくなっちゃって(笑)、アートとデザインもやるようになって今のような活動になったんです。こういう形になって、もう2年半くらいですかね。

これまで印象に残っている仕事は?

深井 会社やお店の看板を書かせて頂いたり、タレントさんのお名前を書かせて頂いたり。今年の春にニューヨークで活動をしていたんですが、その時に公園でパフォーマンスをしたり。白鶴さんの日本酒のラベルを書かせて頂いたり、テレビやラジオに出演させて頂いたり、本当にたくさん浮かぶんですが…、なかでも印象的だったのはテレビ東京さんの全国放送の番組で生パフォーマンスをさせて頂いたことですね。
関口 テレビ、しかも生だなんてドキドキ。どんな作品だったんですか?
深井 『絆』っていう字を書いたんです。やっぱりその瞬間で仕上げる、というのはものすごく緊張しましたねー。関口さんは印象的だった特集とかありますか?
関口 私は昨年の6月号でやった給食の特集ですね。『最近の給食がどうもスゴいらしい。』っていうタイトルで。
深井 給食かぁ! いわれてみれば、今どんな感じなのか気になりますね。
関口 ね! 給食の特集やる雑誌ってあんまりないと思うんですよ。やっぱりタウン誌で、なおかつフリーマガジンだからこそ叶ったなぁと思います。

深井 最近の給食を紹介したんですか?
関口 そうなんです。旭川市教育委員会さんにご協力頂いて、1週間毎日いろんな小学校へ実際に食べに行ったんです。教育実習生みたいな気分でルンルンでした(笑)。
深井 やっぱりすごくおいしいんですか?
関口 はい、もう、めちゃめちゃおいしくて大興奮しました(笑)。中学卒業から丸10年ですけど、進化がえげつないですね。最近テレビで給食がおいしくないっていうニュースよくやってますけど、旭川のクオリティはもう高すぎてやばいです。

仕事をやっていてよかったと思う瞬間は?

深井 「かっこいいね、君の字」といわれたり、オーダーを受けて創り上げた時にお客さんに満足して頂いた時に思いますね。普段は『HAPPY SHODO』という活動名でやっているんですが、書道で感動を与えたり「HAPPYな瞬間を創る」というのが目標なんです。なので私の作品で喜んでもらえた時に、自信ももらいますし、楽しい~! って思いますね。
関口 わぁ~、おこがましいですが、私も同じかもしれません。取材先から反響があったよっていう手紙や電話を頂いた時とか、配本の時に「あの特集読んで知らなかった店に行ったよ」なんて声をかけてもらう時はすごくうれしいです。それと読者アンケートの結果を見て、ポジティブな感想を頂けたら「あ~よかったな」と思いますね。
深井 分野は違いますが、思いは同じですよね。何かを創るという点では共通していますしね!
関口 そうですね、深井さんと共通点があるなんてうれしいです(笑)。でも、書道家と聞いてイメージする人物像と深井さん、ギャップがすごいです(笑)。本当にモデルさんみたいですもん。
深井 そんなふうにいって頂いて恐縮です!(笑)。でも私は自分のことを書道家というよりは表現者だと思っているんです。昔から派手なんですけど、自分の頭からつま先までの全身で表現をしたいと思っています。結果的にこの見た目がインパクトになって、私の作品を知ってくださる方が多いのでうれしいです。

今後の展望は?

深井 書道のイメージを変えたいですね。学校で習った書道のイメージだときっと「強制的にうまく書きなさい」というようなのがどうしてもあるので。
関口 いわれてみればそうかもしれません。けど私は書道、と聞くと『書道ガールズ』を想像しますね!
深井 あー、平成生まれは連想するものが違うね(笑)。でも、それはすごくいいイメージですね! 私は書道というカテゴリーに留まらず、書道をベースに油絵やグラフィックデザインなどアート全般を融合した、かっこいい作品を創っていきたいです。「こんな書道があるんだ」といわれるように。ニューヨークで個展をするとか国外の活動もしたいですし、書道でHAPPYな瞬間創りをどんどん広めていきたいですね!
関口 すごい、HAPPYな瞬間創り、かっこいいです。私の話をさせて頂くと、asatanはフリーマガジンなので、ターゲットだとかジャンルだとかそういうのは決めずに『旭川に根付いた』という点を守りながらいろんな情報を提供していきたいです。なので、お父さん世代が見て楽しい号もあれば、女子高生が見て楽しい号もあっていいと思っていて。「いろんなこと載っててごちゃついてんな」と思われたらそれはそれで正しい、ってことにひとまずしたいと思います(笑)。
深井 家族で楽しみにできる雑誌なんて、素敵ですね。共通の話題になりますしね。
関口 そうですよね! 家族で夕食を食べる時に15秒でもいいから「asatanに載ってたあの店~」の話題になる。旭川中の家庭でそういうシーンが生まれることが、今の時点での理想ですね。もちろんひとり暮らしの人にも見て欲しいです!(笑)。

北海道(旭川)にどんなふうに貢献したい?

深井 札幌出身なので、札幌でイベントを開催した時にたくさん集客ができるように私が東京で頑張って、何かをしたいと思っている方や実際にもう行動されている方など、人と人とを繋げたり。そういう形で札幌と札幌の友人に恩返しじゃないですけど、少しでも貢献できれば…と思っています。
関口 まず『札幌出身』と掲げながら、こんなにも活動されていること自体が、もう貢献だと思います!
深井 まだまだです、頑張ってそうなりたいなぁと思います。関口さんはasatanで旭川にどういう貢献をしていきたいですか?
関口 私はいつも「このテーマをどうやったら旭川の人・店・文化・歴史・景観…などに絡めることができるか」というのを念頭に特集を考えているんです。なので読者さんが実際に店や施設に足を運んでくれて、旭川の経済が活性化されたり、人を掲載してその人が注目を浴びてスターになったり。旭川の歴史や文化を紹介して、市民がもっと旭川を深く知ってさらに好きになったり…「旭川をもっと元気にしたい」。それがいつも意識するところであって、最終目標でもあるというか。
深井 まさに地域密着の雑誌ですもんね、本当に。旭川市民にとってはすごく親しみのある雑誌だろうなぁと読んでいて思います。
関口 ありがとうございます。でももっともっと市民に近付きたいと思っています。今雑誌はネットと比較されますが、ネットは便利ですけど欲しい情報があった上で調べますよね。対して雑誌を読むことは受け身なので、知らなかったものや、これから好きになれる人や店に、出会える可能性があると思うんです。だからこそ、求められる情報ばかりじゃなくて、私達が一方的に発信したい情報をどんどん載せていきたいなと思います。もちろんそこに関して責任も自信も持てるように、胸を張ってお届けできる丁寧な本づくりをしていきたいです。
深井 これからのasatanが楽しみになりました。あ! でも、asatanはWEBの方も面白いんですよね?
関口 あっ(笑)そうなんですよ! asatan.com、今相当盛り上がっていますから。今日もメイキング動画を撮ってくれていますしね(笑)。本は本で、WEBはWEBでお互い尊重しながら、旭川市民に愛される、さらに大きなメディアにしていきます!
深井 私たちもお互いによりよい作品を輩出していけるよう、頑張りましょうね。
関口 はい、ありがとうございます。またお会いできる日を楽しみにしています!
 

撮影協力:道北振興モデルハウス
(旭川市東5条2丁目)

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