芸術の秋特集 旭川のアーティストたち

 スポーツの秋、食欲の秋、読書の秋、そして…芸術の秋。この季節は美術館などに訪れて、絵画や彫刻を楽しむ人も多いだろう。しかし、作品を見ることはあっても作家がどのような人か知る機会は意外と少ないもの。作家を知ればより芸術を楽しめるはず! そこで今回は、各業界で活躍する旭川在住のアーティストたちにスポットを当てた。

グラフィックデザイナー・イラストレーター 小川 健一さん


 特徴を捉えた大胆なタッチの絵が注目を集め、全国から依頼が殺到している株式会社昇夢虹(しょうむこう)。そこで名刺やポスター、ロゴマーク、キャラクターなどのグラフィックデザイン・トータルデザインを手掛けているのが小川健一さんだ。小さい頃から絵が好きで、小学校では授業中に先生の似顔絵を描いては友だちを喜ばせていた。しかし、あくまで趣味の範囲で楽しんでいたため仕事にしようとは考えていなかったそう。絵が好きという理由から大学はデザイン科に進んだが、あまり勉強をせずほぼ独学で今のスタイルを確立していった。卒業後は印刷会社やデザイン会社でキャリアを積んでいった小川さん。約20年間この業界で働いているが「適当な性格だから絵で食っていくのはムリだと思っていました」と話してくれた。しかし、今では仕事だけでなくワークショップやスケッチ教室のほか、企画展やイベントなどでも引っ張りだこの人気っぷり。今後も絵を通して多くの人を喜ばせていきたいと熱く語った小川さんは、これからも想いの込もった個性的な絵で人々を笑顔にしていくだろう。


株式会社 昇夢虹
住 旭川市緑が丘東1条3丁目1-6
☎ 0166-68-2004 営9:00~18:00
休 土・日曜日、祝日 Pあり
HP http://www.syoumukou.com
気になったものはすぐにスケッチするという小川さん。愛用の手帳はいまや36冊目。これがきっかけで仕事に繋がったことも!
絵を描くことの意味を考えるきっかけになった1冊。1本の線に想いを込めるという、永沢さんの描き方に対する考えに感銘を受けたそうだ。

画家 菊池 潤子さん


 奇をてらったものよりも、何気ない日常の場面を好み、特に大雪山を描くことが得意な画家がいる。個人画家として22年活動している菊池潤子さんだ。小さい頃からよく絵を描いており、進路を決める時にはすでに絵の道に進もうと考えていた菊池さん。元々日本画が好きだったが、高校時代に先生から「あなたは油絵向きだよ」と言われ、やってみるとどんどん油絵に引き込まれていったそう。その後東京の大学に進学。卒業してから旭川に戻り、何度か公募展に応募していると、旭川のヒラマ画廊から声がかかり初めての個展を開くこととなった。ここから本格的に画家としての道を歩むことになる。「人に見てもらう絵を描くことにはプレッシャーも感じましたが、部屋にこもっているだけでは味わえない楽しさがありましたし、自分にきっかけを与えてくれたヒラマ画廊さんにはとても感謝をしています」。今では千葉や栃木などでも個展が開かれるほど人気がある彼女の作品。「しばらく冬景色を描いていたので次は夏や秋の景色を描きたいですね」と次作への意欲を燃やしていた。

「生き生きとした動きを感じてほしいです」と対象の生命感をどれだけ表現できるかにこだわり日々絵を描いている。
制作に使う道具は年々増えていき、今では数えきれないほど。1本1本に菊池さんの歴史が刻まれているのだろう。
学生時代に石膏デッサンを学んだおかげで立体感のある表現が得意になったという。それが今の作品にいきている。

陶芸家 工藤 和彦さん


 国内だけでなく海外でもたびたび展覧会を開いている工藤和彦さん。工房兼ギャラリー「ウラヤマクラシテル」を経営するこの道30年以上のベテランだ。工藤さんが陶芸の道に進み始めたのは高校時代。先生の作品を見て面白いと感じ、自分でもやってみようと思ったのがきっかけだ。休日には瀬戸や信楽など焼き物の産地を巡り多くの陶芸作家を訪ね、卒業後は内弟子になるなど本格的に陶芸を学んでいった。工藤さんを語る上で外せないのが、「黄粉引」と呼ばれるオリジナルの技法。黄砂に含まれる鉄分を独自に調合して出来上がった作品は、北海道の風と大地を感じさせる。この技法の始まりは白い陶器を作ろうとしたのが、どうしても黄色っぽくなってしまい悩んでいたこと。そんな時、その作品を見た目利きが「これは美しい!」 と絶賛。ならばこれを突き詰めてみようと考え、試行錯誤の末、完成させた。「今後も展覧会を開いていき、国内外を問わず陶芸を伝えていきたいです」と精力的に活動する工藤さん。今後はどのような活躍をするのか目が離せない。


ウラヤマクラシテル
住 旭川市東山2857-58
☎ 090-6211-1797
営 12:00~16:00
休 日・月・火曜日(12月3日から4月3日までは冬季休業)
P あり
HP http://www.urayama.org
粘土は剣淵町にある約2億年前の地層から採れるものを使用。粒子が細かく粘りとコシがあるため、薄いのに強度のある作品が出来上がる。
感覚が完全に染みついている工藤さん愛用の蹴りろくろ。これを使うとゆったりとした自然なフォルムの作品を作れるため、なくてはならないという。

彫刻家 椎名 澄子さん


 今でこそ彫刻家としてその名が知れ渡っている椎名澄子さんだが、元々は保育士を目指しており、彫刻家になろうとは考えていなかったそうだ。しかしその夢を叶えるためにはピアノと絵の技術が必要と思ったため、美術科のある高校へ進学。そこで油絵を習っていたが、だんだんと平面で物事を表現することに限界を感じるようになったという。そんな時イタリアの彫刻家ファッツィーニの展覧会を観る機会があり、作品の立体感はもちろん、展示された空間や鑑賞する人などが作り上げる彫刻ならではの雰囲気に魅了され興味を持つようになった。大学では山本正道先生の指導を受けることになったのだが、なんとこの人はファッツィーニに師事を受けており、自分を彫刻の道に進むきっかけを与えてくれた人物の孫弟子になれたことに当時深く感動したそうだ。「私は彫刻を自分の成長のために続けています。それが人間の本来の姿であると考えているからです」という想いを持っている椎名さん。絶えず成長し続ける証として、これからも彫刻を続けていきたいと話してくれた。

代表作でもある「風の子」は様々な展覧会で人気。細い部分が折れないよう試行錯誤したが、その分完成した時の達成感は格別だったよう。
展示される空間も含めて「作品」と考えているため、事前に展覧会場が決まっていないと作品を作ることができないとか。
複雑な作業工程があり、作品と向き合う期間も含めるとひとつの作品を作るのに2~6カ月ほどかかるらしい。

木工職人 高橋 秀寿さん


 旭川における木製クラフトの元祖と呼ばれている高橋工芸。その二代目として2009年から代表を務めているのが高橋秀寿さんだ。挽物師として活躍する父の背中を見て育った高橋さんにとって、仕事を継ぐことは自然なことだったのかもしれない。代表作は2005年に発表した、木の色や木目をいかしたシンプルで機能的な「Kami Glass」と呼ばれる紙のように軽い食器類。発表当初は実績がなかったため見向きもされなかったが、今では約20ヵ国で販売されているほどの人気を誇っている。木の温もりを感じる柔らかなデザインは、普段の食事シーンはもちろん、ギフトとしても喜ばれており、長く使ってほしいという高橋さんの想いが詰まっている。時代の流れに合わせて新しいデザインを考え作り上げてきたが、新作の予定は今のところないとのこと。「本州や海外では人気がありますが、意外と地元では知られていないので広めていきたいです」と、今後は展示会やカフェなどとのコラボイベントをやっていきたいと展望を語ってくれた。

有限会社 高橋工芸
HP http://www.takahashikougei.com
販売店
梅鳳堂 旭川市3条通8丁目左1
ブラウンボックス 旭川市旭岡2丁目21-8
材料となる丸太からすべて自分で選別するこだわりよう。水分を抜くのにかかる期間はなんと1年以上!
今では100種類以上の商品を取り扱う高橋工芸。長く使ってほしいという想いから、修理も請け負っている。

チェリスト 山口 健さん


 マンドリンに始まり、ギター、そしてチェリストとして音楽に50年以上携わっている山口健さん。ピアノ三重奏団「クリスタル・トリオ」や音楽集団「音の輪」の代表を務め、自宅ではチェロ教室を開いている彼がこの道に進み始めたのは大学時代。当時はギターに力を入れていたが、たまたま高齢の非常勤講師から弦楽器の授業を受ける機会に恵まれ、大きさが近いことからチェロを習い始めた。しかし始めてみると、ギターに必要な親指の爪が弓を持つ時邪魔になり、さらに痛みが伴った。耐えられず辞めようとしたが、講師からもらったチェロの教則本の裏表紙を見て考えが変わった。そこには「山口君は最後のチェロの教え子になるだろう。頑張ってくれたまえ」というメッセージが。その熱い思いに感動すると同時に、些細な理由で辞めようとした自分の情けなさを自覚し、講師が元気な間はずっと続けようと決意した。引退するときは自分と同じように旭川で活動するチェリストが現れたときと考え、今も教室で小さい子どもたちに指導している。

山口チェロ教室
住 旭川市東光22条6丁目5-13
☎ 0166-37-5420 料・時応相談
P あり
12月10日(日)に大雪クリスタルホールで行なわれる音の輪コンサートに向け、練習を重ねている山口さん。チケットも好評発売中だ。
恩師の言葉が書かれた教則本は今でも宝物。「これが無ければチェロとは縁が切れていたでしょう」と語ってくれた。

旭川のアーティストたちオススメの施設を一挙ご紹介!

  • 道北で1番大きい多目的文化施設

旭川市民文化会館 

住所:旭川市7条通9丁目 TEL:0166-25-7331

旭川市民文化会館は、コンサートや展示会、講演など様々な催しに利用される道北で1番大きい多目的文化施設です。
規模の大きいイベントが多数開催されています。

  • 井上靖の作品やその生涯に触れて欲しい

井上靖記念館 

住所:旭川市春光5条7丁目 TEL:0166-51-1188

井上靖記念館は、文学資料のほか井上靖が収集した美術品などの展示も行っているため、様々な「芸術」に触れることができます。
難しいイメージのある井上作品ですが、実際に読んでみると簡潔でわかりやい印象…

  • 反響効果が非常に優れたコンサートホール

旭川市大雪クリスタルホール 

住所:旭川市神楽3条7丁目 TEL:0166-69-2000

コンサートに訪れる方は出演者の方を見ることが普通ですが、大雪クリスタルホールは音楽堂そのものにも目を向けるとちょっとした発見があるのも魅力です。
2階席の窓には大理石の板を貼ってあり、反響効果が非…

  • ベストセラー作家の文学をもっと身近に

三浦綾子記念文学館 

住所:旭川市神楽7条8丁目2番15号 TEL:0166-69-2626

小説「氷点」の舞台になった外国樹種見本林の中にある、旭川が生んだベストセラー作家三浦綾子の文学館。
文学は難しそうというイメージもあるかもしれませんが、三浦綾子の作品に触れると何か「これはいいな…

  • 明治、大正時代に建てられ文化財登録建築にも指定された倉庫群

デザインギャラリー ・コレクション館チェアーズギャラリー 

住所:旭川市宮下通11丁目蔵囲夢内 TEL:0166-23-3000

毎週展示内容が変わるデザインギャラリーと、各国の家具を鑑賞できるチェアーズギャラリー。
身近なものを展示しているので知識がなくても楽しめます。

  • 旭川の玄関口に「彫刻のまち」にふわしい美術館

彫刻美術館ステーションギャラリー 

住所:旭川市宮下通8丁目3-1 (JR旭川駅東口) TEL:0166-46-6277

中原悌二郎記念旭川彫刻美術館の分館で、国内でも珍しい彫刻専門の芸術施設。
中原悌二郎のほか、旭川に縁のある彫刻家の作品を10数点常設展示。書籍などの物販コーナーや資料などの閲覧コーナーも併設してい…

  • 880㎡の展示室で作品のレイアウトにも注目

北海道立旭川美術館 

住所:旭川市常磐公園内 TEL:0166-25-2577

北海道立旭川美術館は旭川市の中心部、常盤公園のなかにある道立の美術館。
芸術文化教育の中心的施設です。

  • 作品ととにユニークな額縁にも着目

ギャラリーシーズ 

住所:旭川市旭町2条3丁目11-31 TEL:0166-53-8886

ギャラリーシーズは、テーマに沿った作品展示に特化したギャラリー。
イベントの際には作家と直接話をする貴重な機会も多々あります。

  • 100年に及ぶ作品を展示する彫刻美術館

中原悌二郎記念彫刻美術館 

住所:旭川市春光5条7丁目 TEL:0166-46-6277

大正時代から現代までの100年に及ぶ作品を展示。
2階には倒れそうで倒れない科学的な作品や「これ彫刻?」と思うような独特の形をした作品もあります。
造形だけではなく、材質や作家の意図なども考察して…

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