北村晴男弁護士の法律相談 2018年6月

北村 晴男
弁護士(東京弁護士会)
1956(昭和31年)年生まれ。長野県出身。
1992(平成4)年に個人事務所を開設し、2003(平成15)年に法人化。生命保険、交通事故、医療過誤、破産管財事件、家事事件など多岐にわたる事件を処理している。
弁護士法人 北村・加藤・佐野法律事務所代表。
メルマガ「言いすぎか!! 弁護士北村晴男 本音を語る」(まぐまぐ!)配信中

法律事務所に頼らずに借金600万円を完済できる!?不可能なら信頼できる法律事務所を地元で探す方法を教えて。

借金の返済に困っています。クレジット会社1社と金融会社3社で合わせると600万円もあり、各社からの月々の請求は合わせると18万円にもなります。給料は手取りで21万円あります。まだ独り者なので自由になるお金は8万円ほどありますが、月々の支払いには足りず借金返済のために、また借金をしての繰り返しです。自転車操業のような状態で返済額がもっともっと上がっていくのではないかと怖くなり初めて真面目に借金と向き合う気持ちになりました。自己破産も考えましたが、少しずつでも借金した600万円は支払いたいと思っています。最近よくテレビなどで見る「過払い金請求」も考えましたが、頼れる法律事務所もなく、何からはじめたらいいのかわかりません。どうやって地元で信頼できる法律事務所を見つけられますか? また法律事務所に頼らず借金を完済する方法があったら教えてください。
(旭川市/40歳男性)

 まずは、地元で信頼できる法律事務所を見つける方法です。地元のお知り合いの人や企業などに、地元の弁護士を使ったことがあるかどうか聞いて下さい。使ったことがあれば、どの法律事務所がどの程度親切に仕事してくれるか、信頼できるかが分かります。本件は専門性の高い分野ではなく、弁護士であれば誰でも処理できる案件なので、専門的な知識や経験があるかどうかを気にする必要はありません。「誠実に真面目にリーズナブルな費用でやってくれるか」さえ確認すれば大丈夫です。お知り合いの個人や企業がどこも弁護士を使った経験がない場合は、地元の弁護士会の法律相談を受けるといいと思います。弁護士会では様々な苦情の受け付けなどを行なっていますので、問題のある弁護士かどうか、真面目にやっている弁護士かどうかの情報を持っています。なので、弁護士会の法律相談では誠実性を著しく欠く弁護士は使っていませんから、一定の信頼を置くことができます。

 次に、法律事務所に頼らず借金を完済する方法ですが、これはあまりありません。敢えて言うならば、死ぬ気で働くだけです。一生懸命働いて生活費以外に600万円プラス利息を稼ぎ出せば問題ない。でもそれは現実的じゃないですね。法律事務所に頼らず借金を完済する方法… 親などからお金を借りて返せば一旦は解決します。しかしこれは意味がない。親などから借りて返済しても、そこには必ず甘えが出ますから、再び金融機関からの借金を始めてしまうでしょう。てっとり早いのは自己破産です。自己破産に悪いイメージを持っておられるかもしれませんが、マイナスとしては、ただ単に「今後当分の間は借金ができなくなる」だけです。相談者のように給料が手取りで21万円あり、自由になるお金が8万円あるのであれば、借金さえなくなれば十分生活が成り立ちます。普通の職場であれば仕事も辞める必要がありません。例えば弁護士は破産をすると弁護士資格を失います。そういう特殊な仕事でなければ、会社は破産したことを解雇理由にできませんので仕事が続けられます。ですから、自己破産すれば、特に悪質なケースでない限り、今後は借金を返す必要がなく、働いた収入は全部自分の自由に使えます。自己破産の場合の「当分の間借金ができなくなる」というマイナスより遥かにプラスの方が大きいですよね。ここは割り切って自己破産するのが1番利口なやり方。返せない借金を負ったことは、そもそもそれ自体が不名誉なことなので、今さら「不名誉だから自己破産しない」と考えているとすれば、それは間違いです。一旦は不名誉を被ってでも再出発のために自己破産をするのはとても前向きな考え方です。
 話が前後しますが、もしサラ金からの借り入れ・返済を数年間繰り返してきたのなら、弁護士事務所に依頼して債務調査をしてもらうべきです。つまり、過払いがあれば、その会社との関係では借金がゼロになったり、お金を返してもらえるわけですから大変なメリットです。例えばA社に今借金が180万円あるとしましょう。調査のため弁護士から請求があればその会社は過去、借りたり返したりしたお金の履歴(データ)を出してくれます。これを出してもらったうえで、利息制限法の利率で引き直し計算をすると大きく借金が減る。今180万円借金があると思っていたら実は30万円しかなかったということがよくあるんですよ。そうなると、方針の立て方がまったく変わってきます。ここで確定した債務を、どのように料理するか。自己破産せざるを得ないのか、残債務だけを分割で返し、将来利息はカットしてもらって、債務整理という方法をとるのが1番いいのか、その時点で判断できます。まず債務の調査することをおすすめします。

 次に、それでも債務がたくさん残っているという場合。債務が600万円だとしましょう。1ヵ月に自由になるお金が8万円しかないと返し続けるのは不可能です。例えば、将来利息を全部カットしてもらって分割返済の交渉をする、いわゆる債務整理をした場合には、自由になるお金を全部返済に回したとして75回分割になるんです。「自由になるお金を全部分割返済に回す」… 言うのは簡単ですが、それ自体ものすごく苦しいことですよね。「何のために生きているんだ」という状況になり、かつ75回分割なら、6年3ヵ月です。6年3ヵ月間自由になるお金がゼロで、働き続けるなんてことは、できっこないんですよ。なぜか。大変失礼ながら自分の身の丈に合わない生活をしてきて、これだけの借金をこさえてしまった人が、できるはずがない、と私は思います。だから、そんなことはやらない方がいい。できないことをやろうとしても絶対破綻しますから。そうなると、債務整理も極めて難しいんです。もう一つは、小規模個人再生という方法が考えられます。小規模個人再生という方法は、一般的には現在ある債務の5分の1ぐらい、2割ぐらいを原則3年間で、分割で支払うことで、残りの債務をカットしてもらう制度です。5分の1だと120万円ですよね。120万円を3年で分割返済するには年間40万円ですから1ヵ月約3万3000円を払えばいいんです。これなら現実的ですよね。小規模個人再生の手続きをすれば借金のうち8割は踏み倒す結果にはなりますが、それでも最大限の努力はすることになります。破産するよりは債権者にとってメリットのある制度なんです。だからこの手続きを選択するのは、あなたが「1円も返さないのは心苦しい」とお考えになるのであれば、適切でしょう。小規模個人再生は、月々一定額の確実な収入がある人で、負債総額が5000万円以下なら利用できます。相談者は月々の給料があるようですから小規模個人再生を利用する資格はありそうですね。

 そして、もう1つの選択肢がさっき申し上げた自己破産。どうも法律事務所に頼りたくないと思っておられるようですが、そんな発想は私から見たら間違いですね。人生のマネージメントに問題があるように思えてなりません。
 自分のできないことは専門家に頼む。一定の経費を払っても専門家に頼んでやるという「合理的な発想」がないからこそ、借金まみれになってしまったのではないでしょうか。人生は割り切りが大事です。「こんなことで弁護士費用を払うのは」と思ったとしても、今後の苦しみと比較したらごくわずかな費用で済みます。割り切って一定の費用を支払って手続きするのが、どう考えても100%正しい選択です。自己破産であろうが、債務整理であろうが、小規模個人再生の申し立てであろうが、いずれにしても信頼できる弁護士を探して、その人に頼むべきだと思いますよ。あと「最近よくテレビなどで見る「過払い金請求」も考えましたが、頼れる法律事務所もなく…」とありますが、誰だって頼れる法律事務所はないんです。そこで恥を忍んで人に聞き、法律事務所を探していくわけです。その程度の恥を忍べないようでは、これから先の人生も厳しいように思います。もしかすると見栄っ張りだからこさえた借金でしょうか。例えば、「身の丈に合った生活をする」という、人間として当たり前のことを見失ったために、こんなことになったのではないですか。人によってはやむを得ないことで借金をこさえてしまう人もいますけど、そうでない人が大部分です。この期に及んで小さなプライドは捨ててください。
 

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投稿先:info3@asatan.com「北村弁護士法律相談」まで

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