2019年10月09日

webで復活! 秘密結社【黒薔薇】を探せ! Part.3

タウン情報誌asatanの1992年創刊号から5回に渡って連載され、回を追うごとに話題となった人気シリーズ【秘密結社 黒薔薇を探せ!】がweb版で復活! 40代以降の人々の記憶に今も鮮明に残るノンフィクションを思わせる迫力で、黒薔薇と編集部との戦いを綴った27年前の物語。


アルバイトのY君が襲われた!

Y君からの知らせを受け、我々はすぐにY君の自宅へ急行した。

Y君は用事があって出かけるところを待っていてくれた。
が、それもそのハズ…。

Y君は出かけたくても出かけられないイヤガラセを【黒薔薇】から受けていたのだ!!
そのイヤガラセとは、Y君の愛車キャロルのボンネットにう●こが!!

犬や猫のならまだしも、どうやら人間のっぽいから始末が悪い。
Y君は当然怒りに震え「絶対に許さん」とわめきながら洗車場へと向かったのだった。

我々も〈なんともえげつない事をしやがる〉と思い、改めて【黒薔薇】に対して怒りを感じたのである。

文字通りくそったれ!!である。

 

翌日、編集部は朝から異様なムードに包まれていた。

何と留守番電話に【黒薔薇】からのメッセージが入っていたのだ。
例のダックボイスを使って…。

「いい加減に調査をやめないと、これから本格的に攻撃を加えるぞ。
我々を甘く見るな。
もし許してほしくば、今日の17時までに、JR旭川駅の伝言板に『降参』と記入すること。

わかったな!
もし、記入がない場合は覚悟しとけよ」

スタッフのなかには「もうやめよう」と言う意見もあったが、読者からのお便りで【黒薔薇】を絶対に見つけて欲しいとの声が多く、我々もこのままオメオメと引き下がるわけにはいかない。

たかが大学生に負けてたまるか! というプライドも手伝って、思わず「やれるものなら、やってみろ」と伝言板に書いてしまったのである。

本格始動!! 【黒薔薇】調査班結成!

17時からの3時間、【黒薔薇】が必ずメッセージを見に来るハズ。
我々は、JR旭川駅の駐車場から伝言板を見張っていた。

しかし、その間に伝言板に近寄ったのは、女子高生の数人だけだった。

我々は、編集部に戻り、郵便受けを見てビックリ!
【黒薔薇】からのイヤガラセが!!

郵便受けの中にミミズが4~5匹入っていたのである。

 

男性スタッフが見つけたからよかったが、編集部の花 メルモちゃん(仮名)が見つけていたら、結構シャレにならなかったのではないだろうか。

これは1日も早く【黒薔薇】を叩きつぶさなければ、「安心して仕事ができない」と編集長が判断し、ここに黒薔薇調査班が結成された。

本誌編集部員2人とY君、そしてY君の友人2人の計5人である。

とりあえず、この5人で、どんなイタズラにもジッと耐えながら、公開した写真より入手した2人の人物について本格的に調査を開始した。

【黒薔薇】メンバー疑いのA氏

まずはA氏。
※●×♬大学3年生で旭川市末広に住んでいる。

18時頃から、自宅近くのコンビニエンスストアでアルバイトをしている勤労学生である。

確かに顔はソアラで逃げた男と似ていると言えば似ている。

3日間尾行したが、その間も大学と自宅とアルバイト先を行き来し、友人宅に1度と、飲み屋に1度行っただけで、これといった不審な行動はなかった。

どうやらシロのようである。

この3日間にも編集部は2度のイヤガラセに遭っていた。

1度目は、スタッフのひとりヒロフミ君(仮名)が営業に出かけようと車を発進させたところ、マフラーにバナナが突っ込んであって、突然エンストを起こしてしまったのである。

これは、みなさんご存じの通り、エディ・マーフィー主演の映画『ビバリーヒルズ・コップ』で使われたイタズラ。

【黒薔薇】の発想力のなさと、明らかにパクリとわかる手段を使う恥知らずな神経に笑いを覚えたのである。

2度目は、読者からの手紙を装い、封筒を送ってきたのだ。

毎日のように送られてくる読者からの手紙と同じように封を切ったところ、中から出てきたのは【黒薔薇】のマークと、陰毛と思われる毛が十数本…。

 

開けたのが編集長だったから大笑いしてすんだが、これがまた編集部の花 メルモちゃん(仮名)だったら大騒ぎであっただろう。

それにしても何と下品なイヤガラセか…。

【黒薔薇】の影に迫る!! B氏が…。

そんなイヤガラセはまったく無視して、調査班は次にB氏の調査を開始した。

B氏は、▽+$★大学の2年生、週3日ぐらいは、夜サンロクのスナックでバイトをしている。

我々はB氏の勤務するスナックのビルの前で、仕事が終わって出て来るのを待つことにした。

仕事帰りのB氏を尾行して、とりあえずB氏の家を突き止めることに成功。
しかし、車はソアラではない。

相手も当然、車を変えているだろうと思われた。

そこで我々は、ある作戦を思いついた。
B氏が【黒薔薇】のメンバーであるかどうか確認しようという作戦である。

まず始めに104でB氏の電話番号を調べた。
次にY君の友だちであるT君の電話番号を、JR旭川駅の伝言板に記入。
その夜、T君の部屋でヤツらからの電話を待った…。

22時5分、【黒薔薇】から電話が入った!!

その瞬間、T君の部屋にいた調査班が携帯電話で編集部に電話を入れる。
それを受けた編集部から、間違い電話のフリをして、B氏の家に電話をかけた。

もしB氏がT君の家へ電話をしているのなら「話し中」になっているハズである。

しかし…

無情にもB氏は電話に出たのである。

【黒薔薇】のシッポを捕まえた!!

なぜB氏は電話に出たのか?
考えられるのは次の3つ。

①T君とB氏の電話がすぐに終わってしまった。
②組織が大きくて、仕事が分担されて行なわれていた。
③B氏は【黒薔薇】ではない。

①に関しては、すぐに否定された。
T君は、のらりくらりと少なくとも3分は話したと言うが、編集部での作業は1分もかかっていなかったのである。

残る②と③であるが、我々は正解が②であることを確信したのである。
なぜなら次の日の夕方に【黒薔薇】から電話が入った。

「下手な小細工はやめろ」

明らかに昨夜のことを言っていると思われた。

まったくバカなヤツらである。
そんな電話を入れて来なければ、B氏がヤツらのメンバーかどうかわかるハズもないのに、わざわざ教えてくれてようなものである。

我々はB氏に的を絞り、追跡調査を行なうことにした。

それから3日ほど、B氏はまったく動きを見せなかった。
多分、我々が見張っていることに気づき、あえて組織と連絡を取らずにいるのだろう。

しかし、その確証がないため、問い詰める事も誌面に公表することもできないのである。

こうしている間にも【黒薔薇】からのくだらないイヤガラセは続いているのだ…。

[Part.4]へ、つづく。


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