2020年04月26日

生理痛が重く普段でも痛みが… 何かの病気に ?【産科婦人科医が答える体の悩み相談】

旭川市の【豊岡産科婦人科】で院長を務める【久田孝司先生】に登場していただき、さまざまな身体の悩みにお答えしてもらいます。※この記事は2019年5月に発行されたタウン情報誌『asatan 6月号』で掲載した記事を再編集したものです


Q.数か月前から生理痛が重く、鎮痛剤も効きづらい… 何かの病気?

数ヵ月前から生理痛が重くなってきました。普段でも下腹部や腰が痛くなる時があります。鎮痛剤の効きも悪くなったように感じます。何かの病気でしょうか。
(相談者:20代/会社員)

痛みなどの症状が強くなっているのであれば受診を

毎回鎮痛剤を服用するのでしょうか。本来、【生理痛(月経痛)はそれほどないのが普通】なのです。

毎回鎮痛剤を服用しなければならない、というのは良い状態ではありません。生理痛は徐々に強くなってきているのでしょうか。生理の1、2日前から、何となく生理がくるのがわかるのでしょうか。「お腹が痛い」「張ったような感じがある」「腰が重だるい」などです。

そうした症状がだんだん強くなるようでしたら、1度婦人科を受診された方が良いと思います。

初期の子宮内膜症ば薬で抑えられるが、肥大すれば手術も必要に

もっとも考えられるのが子宮内膜症ですが、明らかな内膜症がなくても、生理痛が強くて生活に差し障りが出るようなら、【薬で抑えるのが良い】と思います。

女性ホルモンを少量含んだLEP剤などがあります。血が固まりやすい方や、片頭痛の方などには使えませんが、以前に比べると副作用の少ないものが開発されています。身長さえ十分あれば、中高生にも使えます。

内膜症は【まれな疾病ではありません】。卵巣が腫れたり(チョコレートのう胞)、子宮が大きくなったりします。不妊症の大きな原因の1つになります。卵巣や子宮があまり大きくなると、【手術が必要となること】もあります。怖い病気です。

ですが初期に見つかれば、薬などの保存的な治療で抑えることもできます。超音波や血液検査がメインなので、【辛い検査はありません】。生理痛に悩み続けるより、早めに対処した方が生活の質が向上します。

生理痛だけなら薬の服用で対応 ただし副作用あり

内膜症がなくても、生理痛が強い場合には薬で抑えます。

内膜症が重い場合、注射や点鼻薬も使いますが、【生理痛だけの場合、先ほど述べたLEP剤を服用】してもらいます。これだけで、ほとんどの方が楽になったと喜ばれます。完全に痛みがなくなるわけではありませんが、日常生活に支障が出ないまでになることが多いようです。

ただし飲み始めて3ヵ月以内は、【不正出血】が見られたり、【血が固まりやすく】なってしまいます。ここを乗り切れば、それ以降問題なく薬を続けられることが多いようです。

では、いつまで薬を続けるかですが、「若い方なら子どもが欲しくなる時まで」、「子どもを産み上げた方には更年期前、40代後半まで」が1つの目安になります。

【血が固まって血栓ができること】が重大な副作用なので、服用中は水分を十分に摂ることが必要です。長く薬を服用している方なら、50歳まで続けることもあります。

その方それぞれの状況で、薬の服用期間が異なります。血栓という副作用以外は、心配するような薬ではありません。

 

若年者のLEP剤使用は身長の伸びが止まる可能性が

【生理痛は若年者にも多く見られます】。体育の授業を休まなくてはならなかったり、毎回鎮痛剤を飲まなければならないような場合は、LEP剤を使うのも手です。

ただし、女性ホルモンが少量含まれていますので、骨端線が閉鎖し【身長の伸びが止まる可能性】があります。もっと身長の伸びが欲しい方などは、「鎮痛剤のまま経過を見る」というのも手です。

毎月生理痛で苦しむくらいなら、思い切って婦人科を訪れてみてはいかがですか。生理痛から解放されて、笑顔になる方々のなんと多いことでしょうか。

【豊岡産科婦人科】基本情報

豊岡産科婦人科
院長:久田孝司
住所:旭川市豊岡4条1丁目1-10
電話:0166-31-6801

出典:asatan

 

※コラムの内容については、筆者の見解を尊重したものであり、すべての読者に当てはまるとは限りません


この記事のキュレーター

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