2020年11月26日
旭川市の【豊岡産科婦人科】で院長を務める【久田孝司先生】に登場していただき、さまざまな身体の悩みにお答えしてもらいます。※この記事は2018年12月に発行されたタウン情報誌『asatan 1月号』で掲載した記事を再編集したものです
Q.ここ数年、生理が2ヵ月に1度とか、3ヵ月に1度になってきました。学生の頃はきっちり来ていたのですが、仕事を始めてから、生理が順調に来なくなってしまいました。特に、大切な仕事を任されるようになってから、遅れるようになりました。このままではいけないでしょうか。
(相談者:20代/会社員)
生理(月経)不順は【若い女性によくある】ことです。どなたでも、多かれ少なかれ経験があるのでは、と思います。ただそれが【恒常的になれば、やはり放置してはいけないもの】と思います。
では、どれくらい来なければ問題か、というと、およそ3ヵ月を目処にしていただければ良いかと思います。3ヵ月生理が来ないことを繰り返す、といった場合、【婦人科での検査】が必要と思われます。
検査は超音波による卵巣腫瘍のあるなし、血液による女性ホルモンの測定などがメインになります。それよりも大切なのが、ご自身でつける基礎体温です。これにより、排卵のあるなしが分かります。これを【婦人科受診の前、2~3ヵ月】つけていただければもっとも大切な情報になります。
基礎体温は、朝起き上がる前に測定するのが原則ですが、どうしてもできないようでしたら、1日のうちほぼ同じ時間で測定したものを代用して結構です。基礎体温は体温の高低というより、【全体の形で判断するもの】ですから、グラフなどにしたら分かりやすくなると思います。
正常な基礎体温は、【生理が来て十数日は体温が低い状態】、すなわち低温相が続きます。続いて【排卵があれば37度近く】の高温相が2週間程度続きます。【体温が下がる】と生理が来ます。これを毎月繰り返すことになります。
高温相がなく【低温相ばかりの月は排卵がうまくいかなかった可能性】があります。排卵は通常、低温相が高温相に向かう途中に起こると考えられています。
排卵がうまくいっていないと、生理も不順となることが多いようです。まずは、【ご自身でできる基礎体温の測定】です。
ご相談者のような若い方は、卵巣そのものに異常がある、ということは多くありません。むしろ卵巣をコントロールして女性ホルモン(エストロジェン、プロゲステロン)の分泌を支配している、【性腺刺激ホルモンを出す脳下垂体】がストレスなどによってうまく働かないことが原因のことが多いのです。
つまり、生理不順の多くはストレスによって引き起こされる、ということです。
もちろん、以前お話しした『多のう胞性卵巣症候群(PCOS)』なども無排卵の原因になりますが、ストレスによる影響の方が、原因としては多いものと思われます。
実際、仕事や人間関係のストレス、家族間の葛藤などは、容易に生理を狂わせます。難しいことではありますが、まずはこれらの解消を図ることが大切なことになります。
解消されるまで、女性ホルモン剤の投薬が効果的です。女性ホルモンは怖いなどと、尻込みせずに、生理を順調にしてみてください。女性ホルモンの分泌不全を長い間放っておく方が、【将来の妊娠に対してよほどまずい】ことなのですから。
ただ生理が少ないのは、生理が多いよりはましです。昔より女性が子どもを産まなくなり、生理が多く来ているという実態があります。あまり多い生理は身体にとって負担です。貧血にもなりやすいのでよくありません。
生理が少ないことは、将来の妊娠への警告と考えていただければいいかと思います。
豊岡産科婦人科
院長:久田孝司
住所:旭川市豊岡4条1丁目1-10
電話:0166-31-6801
※コラムの内容については、筆者の見解を尊重したものであり、すべての読者に当てはまるとは限りません
この記事のキュレーター
出典:asatan