2020年05月17日

症状がほとんどない子宮筋腫は治療が必要?【産科婦人科医が答える体の悩み相談】

旭川市の【豊岡産科婦人科】で院長を務める【久田孝司先生】に登場していただき、さまざまな身体の悩みにお答えしてもらいます。※この記事は2018年1月に発行されたタウン情報誌『asatan 2月号』で掲載した記事を再編集したものです


Q.子宮筋腫の疑いが… 症状がほとんどないが治療は必要?

婦人科のがん検診を受けた際、「子宮筋腫がある」と言われました。大きさは、子宮全体で握りこぶしより少し大きいくらいだそうです。1度婦人科で診てもらうように指示されましたが、放っておいて大丈夫なのでしょうか? 生理痛が少し強い程度で、これといった症状はありません。
(相談者:30代/主婦)

子宮筋腫は症状をともなう場合に治療を検討することが多い

子宮筋腫は、30代・40代ではかなり多くの女性に見られます。症状がないことも多く、子宮がん検診などで偶然見つかることも少なくありません。

日本人の詳細なデータはありませんが、50歳までの白人の70%に子宮筋腫が見つかる、という報告があります。黒人はさらに多く、80%に達するとも報告されています。つまり【それほどありふれたもの】と言えるでしょう。

以前は「子宮がこぶし大以上なら何らかの治療を」と考えられていましたが、現在は【症状をともなう場合に治療を検討】するようになりました。

月経(生理)の出血が多い、月経痛が強い、普通の時でも下腹部痛・腰痛がある、頻尿になる、下っ腹が出てきて苦しい、などの症状があれば治療を考えます。特に【月経の量が多く、貧血に陥っている場合】は早急に対処が必要となります。

重い貧血は、身体だけではなく生活にも重大な支障をきたします。貧血の改善とともに、子宮筋腫に対する何らかの治療が必要となることが多いのです。

年齢や出産希望によって治療法を選択

治療には薬物療法と手術療法があります。

薬物療法としては点鼻薬・注射薬などで子宮筋腫を縮小させたり、子宮への血流を少なくして月経の出血を減らしたりします。これから子どもをもうけたい、という方に勧めることが多いのですが、薬物療法だけで子宮筋腫をなくすことはできない、と考えられています。

手術療法は大きく分けて2つの選択があります。それは年齢や、子どもをもうけたいかどうかによって異なります。

【挙児希望の方】には、筋腫だけを摘出する方法を選びます。筋腫の場所、大きさにもよりますが、子宮の全層にもわたる筋腫を摘出した後は、分娩を帝王切開にする方法が安全です。

ある程度年齢がいっていて、【もう子供はいらない】という方には子宮の全摘術も考えます。そのほかにも、子宮動脈を塞栓する方法などがあります。

おわりに

以前に比べると、子宮筋腫を治療することは減ってきています。ご質問者の心配は分かりますが、今のところ経過観察でいいのでは、と思います。

子宮筋腫の症状でもっとも注意すべきは、過多月経による貧血です。これがあらわれたら、何らかの治療を考えられたらいいのではないでしょうか。

【30代でしたらまずは薬物療法】、それがうまくいかないようであれば手術療法、それも【筋腫だけをとる核手術】が選択肢になります。これからはかかりつけの婦人科を選び、筋腫の大きさ、症状を診ていくことが大切でしょう。

 

【豊岡産科婦人科】基本情報

豊岡産科婦人科
院長:久田孝司
住所:旭川市豊岡4条1丁目1-10
電話:0166-31-6801

出典:asatan

 

※コラムの内容については、筆者の見解を尊重したものであり、すべての読者に当てはまるとは限りません


この記事のキュレーター

asatan公式アカウントです。
旭川とその周辺地域に関連するイベント、グルメ、観光、くらしに役立つ情報などなど、ドシドシご紹介しますのでお楽しみに!