2020年02月01日
弁護士に相談するようなトラブルや問題なく暮らしたい。でも、何かあったときのために知っていて損はない! そんな身近で起こったお悩みに、テレビなどでも活躍している【北村晴男弁護士】が答えてくれた、身近なお悩みの解決法&アドバイスを紹介します。
今回のケースの場合、元夫に対する削除請求とサイト運営者に対する削除請求の、2つが考えられます。
まず、元夫に対してですが、有名人でも一般人でも誰にでも肖像権があります。
肖像権とはプライバシー権の一種で、正当な理由なく、自己の容姿を撮影されたり、これを公表されたりしない権利です。
例外として、報道などで、たまたま映ってしまった場合、報道の自由は民主主義社会の基礎を作るものとして最大限尊重されますから、無断で公表しても違法とされない場合があります。
ただ、元妻の写真をSNSに載せ続けるということについては、正当な理由はまったくありませんから、肖像権に基づいて、元夫に「SNSから削除してください」と請求することができます。
お尋ねのケースでは、そうした意思を表明した日以降に、写真を載せ続けること自体が不法行為になります。
どうしても削除してくれないようであれば、調停を起こすというのが現実的ですね。
調停というのは、ほとんど費用があると思います。
裁判官は双方の主張が出揃えば、和解に向けて相手側を説得してくれます。
この場合でいうと、損害賠償請求は放棄してもらう代わりに削除したらどうですか、と説得すれば、大きなメリットを感じて和解し、削除してくれるでしょう。
多少とも判断力のある人なら。
他方で、サイト運営者に対して請求できるかですが、それぞれのSNSに削除に関する規定があると思います。
通常は明白に不法行為に当たる投稿については、規則によって削除の対象になると思います。
そのルールに従って申告をすれば、サイト運営者が削除に応じてくれる場合が多いものと思います。
肖像権について追加ですが、最近はテレビのバラエティ番組などで、街の人の顔にモザイクがかかっているのをよく見ますよね。
これは「肖像権」が一般の方に浸透した結果、権利意識が高まっており、それに伴って、放送する側も配慮しているということですね。
北村 晴男
弁護士(東京弁護士会)
■1956(昭和31年)年生まれ。長野県出身。
■1992(平成4)年に個人事務所を開設し、2003(平成15)年に法人化。生命保険、交通事故、医療過誤、破産管財事件、家事事件など多岐にわたる事件を処理している。
■弁護士法人 北村・加藤・佐野法律事務所代表。
■メルマガ「言いすぎか!! 弁護士北村晴男 本音を語る」(まぐまぐ!)配信中
この記事のキュレーター
出典:asatan