2020年10月18日
旭川で生まれ育ち、作家として活躍した三浦綾子。その代表作・氷点は世界でも有名な小説です。氷点の舞台は旭川。見本林を中心に様々なスポットが小説の中に登場するのをご存知でしょうか。読書の秋。旭川の風景やスポットを感じながら読み進める「氷点」はその世界に引き込まれる魅力がいっぱい。今回は氷点に登場する市内のスポットをご紹介します。
旭川生まれの三浦綾子は、1964年に朝日新聞の一千万円懸賞小説に応募し入選した作品が『氷点』でした。三浦綾子の処女作です。作品のタイトルは夫である三浦光世さんが寒い雪の日の出勤途中に思いつき、名付けたのだそうです。
その小説『氷点』は、人が生まれながらに背負っている「罪」についてを登場人物を通して問う作品。上下巻に続き、続上下巻と全4冊で完結します。
2006年には、主人公を石原さとみが、その両親を仲村トオルと飯島直子が演じ、テレビでもドラマとして放送されました。
わたしが『氷点を』初めて読んだ年代は20代。年齢を重ねて繰り返し読むたびに、感じ方や登場人物へ対する気持ちも変わってきました。
また、見本林の近くで暮らしていたこともあり、旭川市内の情景を思い浮かべながら読むことで、この小説が本当にあったお話しなのでは?と強烈に錯覚もしました。
旭川で生まれ育ったひとも、そうでないひとにも、ぜひ読んでいただきたい小説です。
主人公の家族はこの見本林の入り口にある家で暮らしていた設定になっています。
見本林が庭のように暮らしていました。
見本林は背の高いストローブ松がたくさん。ここは国有林で、外国の樹種が日本の寒冷地で育つかどうかを観察するために造られた森なんです。ご存知のように立ち入りは自由で、美瑛川の堤防へつながっていますね。
エゾリスや野鳥がたくさん暮らしていて、季節の草花もたくさんある、さわやかですがすがしい場所です。
見本林の木のひとつに、小説『氷点』の一説がありました。
(『氷点』上 P.83)
このような心に残る一説が、見本林の木に点在していて、氷点の世界感を体感させてくれるかのようです。
『氷点』の中に出てくる主人公が向かう堤防へ向かう道と、その手前の右手には散策路があります。
堤防へ上がると、美瑛川沿いに出て、両神橋が見えてきます。春は桜が咲き誇る、桜並木が人気ですね。
散策路へ入ると、夏は木漏れ日が美しく楽しめる森の中へ行くことができます。
ゆっくりと森林浴を楽しめるよう、ベンチもいくつかありました。
駐車場もあり無料なのがうれしいです。
*Spot info*
見本林
・住所:旭川市神楽7条8丁目2
・公式サイト:https://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/kamikawatyubu/mihonrin.html
見本林の入り口のすぐ右手には、『三浦綾子記念文学館』があります。
1998年に全国の三浦綾子文学ファンの募金によって建った、珍しい民営の文学館。
三浦綾子の生い立ち、直筆の取材ノート、作品紹介など様々な展示を見ることができます。
文学館の中には喫茶コーナーがあるので、一休みもできますよ。
温かな季節は、テラスでお茶を飲むこともできそうです。
2020年4月からは、文学館のお隣に入館無料のブックカフェがオープンしました。
カフェにはもちろん三浦綾子の本がたくさんあり自由に読むこともできますよ。
メニューは飲み物やスイーツ、パンの他、オムライスやビールの提供もあります。
ランチタイムにぴったりですね。
*Spot info*
三浦綾子記念文学館
・住所:旭川市神楽7条8丁目2-15
・電話:0166-69-2626
・開館時間・休館日:6/1~9/30:無休 10/1~翌5/31:月曜(祝日の場合は翌日休館) 年末年始(12/30~1/4)
・駐車場:有り、30台
・公式サイト:http://www.hyouten.com/
『氷点』の中にも登場する喫茶店。
旭川で一番古い喫茶店ですがオーナーが変わった今も、当時の面影を残したまま賑わうお店です。
シックでレトロな雰囲気は当時のまま。
ちろると言えば、昔は「パンプキンパイ」がおいしくて学生の頃はよくいただきました。
今はメニューから消えてしまいましたが、リコッタパンケーキが人気ですね。
ふんわり食感と、添えられたハニーナッツバターがおいしいです。
*Spot info*
珈琲亭 ちろる
・住所:旭川市3条8丁目左7
・電話:0166-26-7788
・営業時間:8:30~18:00
・定休日:日曜日
・公式サイト:http://cafe-tirol.com/
小説『氷点』の中で、主人公がレストランで食事をするシーンが描かれています。
そのレストランは北海ホテルのレストラン。
北海ホテルは2004年3月に営業を終了し、別館として建てられていた旭川グランドホテルのみとなりました。
そのグランドホテルも今は「OMO7」に変わり、営業しています。
OMO7のロビーにある「ブックトンネル」には、旭川に縁のある作家の作品があり、自由に手に取って読むことができますよ。
もちろん三浦綾子作品もたくさん置いてありました。
氷点は昔ながらの表紙の物が。冬の見本林のようで素敵でした。
ブックトンネル内の本を、カフェに持ち込んで読んでも良いのだとか。
主人公の気持ちになって、食事やお茶をするのもいいですね。
*Spot info*
OMO7
・住所:旭川市6条通9丁目右1
・電話:0166-29-2666
・公式サイト:https://omo-hotels.com/asahikawa/
六条教会は、実際に三浦綾子・光世夫妻も通っていた教会です。
1959年5月、二人はここで結婚式を挙げたそうです。
小説『氷点』では、主人公が小学3年生のとき、この六条教会まで歩いてきたという描写がありました。
また、主人公の父親が罪の意識にかられ、教会の前で心迷うシーンもありました。
毎週日曜日の礼拝の他、初心者のための夜の入門講座も開講しています。
*Spot info*
旭川六条教会
・住所:旭川市6条通10丁目右4
・電話:0166‐23‐2565
・公式サイト:https://asahikawa-rokujyo.org/
三浦綾子の小説『氷点』の舞台をめぐるスポットをご紹介しました。
フットパスとして歩いて巡ることもできますよ。
氷点橋を使えば2時間半くらいのウォーキングになるのだそうです。
旭川で生まれた作品に触れられるスポットへお出かけしてみませんか。
この記事のキュレーター
♡旭川市内で暮らすライター。
♡保育士経験を活かしたコラム、障害児育児、北海道観光、道内温泉、旭川のグルメ、アウトドアの記事を執筆中。
♡寄稿媒体:UHB北海道文化放送局「SASARU」・たびらい北海道・いい眠りPress・温泉風呂録、など
♡高校生と中学生のママ。趣味はカメラとアウトドア。トラ猫飼ってます。
コーヒーや紅茶、スイーツやパンなど、おやつにぴったり。