2022年08月26日

関西出身のワイが旭川市民を凍らせた「標準語」だと勘違いしていた関西弁5選

地方出身者にとって移転先での「方言の違い」には意外と苦労がつきまといます。イントネーションの壁を乗り越え、標準語の口語表現にもようやく慣れてきたところで、体に染み付いた「地方人」の感覚がひょっこり出てしまったりするものです。今回は私自身が体験した標準語だと勘違いしていた関西弁を5つご紹介いたします。


押しピン

出典:pixaboy

 

少し前のことですが、ある日ポスターを貼り替えるため脚立(きゃたつ)に乗って作業をしていたんですが、その時うっかり手を滑らせてしまい、思わず近くにいた人に向かって

「あ! すいません! 今押しピン落としちゃったんで気をつけて下さいね!」

と、あわてて声をかけてしまったんです。

でも、声をかけられた側の人は完全にフリーズ。

「 ・・・・・・ え? 」

妙な沈黙があたりを包み込み、声をかけた側もかけられた側も、無言のまま床に落ちたモノをしばらく見つめることになりました。

「あ、、が、画鋲ですよ!ガビョウ!今落としたんで気をつけて下さい!」

Photo:らくださん

 

「あ、あ〜、画鋲ね!ここにあるから拾っとくわ!」
と、声をかけられた人もちょっとギクシャクしながら画鋲を拾ってくれました。

そうなんですよ。画鋲のことを関西では押しピンと呼ぶんですよね。
普段あんまり使わない単語だから、すっかり標準語だと勘違いしていました。
いやはや、お恥ずかしい。

カッターシャツ

出典:pixaboy

 

これは比較的最近の話なんですが、ある日クリーニング店に汚れ物を出そうとしていた時のことでした。
季節の変わり目という事もあり、いろいろとまとめてお店に服を預けようと思ってカウンターにドッサリ置いたんですが、さらに上から店員さんに向かって

すいません!こっちのカッターシャツもお願いできますか?

とお願いすると、店員さんの動きがピタッと停止。

その違和感でコチラも停止。

ややしばらく(体感2分、実質数秒)お互い見つめ合い凍りついた後に、

あ、あ、あの、このワイシャツもなんですけど、お願いできますか?

と言い直し、ようやく店員さんと意思疎通ができた記憶があります。

Photo:らくださん

 

そうなんです。
関西ではワイシャツのことをカッターシャツと呼ぶんです。

ちなみに私は今でも時々「アレ?ワイシャツ?カッターシャツ?どっちが通じる(標準語)んだっけ?」と混乱する事があります(笑)

ちょっとイケますか?

出典:pixaboy

 

これは、北海道に移り住んでしばらくしてからの話ですが、仕事の関係で相手さんに電話をかけた時のことです。

その電話相手の方は非常に多忙な方でしたので、少し恐縮しながら電話口で

「すいません。今ちょっとイケますかね?」

と話しかけると、相手さんの言葉が完全停止。

しばらく無言で会話が途切れ、アレ?妙だな?という空気感だけが電話回線上に漂っていました。

「あ、いや、今少しお時間よろしかったでしょうか?」

と言い直すと、相手の方もようやく

「え? あぁ、そういうことね。 どこ行くのかと思った(笑)」

と答えが返ってきました。

そうなんです。 関西では イケる ≒ 大丈夫 というような認識があるので、大丈夫かどうかの確認をする時などにも使ってしまう言葉なんです。

標準語的にはまったくのアウトなんですけど‥‥認識不足でした。

イケるかイケないか。 アクかアカンか。
まるでシェークスピアのような雰囲気がありますね(アホか!)

ポリボックス

出典:pixaboy

 

少し前に、旭川駅前付近で通りすがりの人から
「すみません。〇〇へはどう行けば良いですか?」と道を尋ねられた事がありました。

その時、私はおもむろに前方を指差し

「あそこにポリボックスが見えますよね? そのすぐ右手です。」

とお答えすると、道を尋ねてきた人は完全に思考停止。

自分の行き先どころかポリボックスを探す旅が始まってしまいました。

Photo:らくださん

 
「あ、あ、すいません。あそこの交番です。交番のすぐ右ですよ!」

と言い直すと、ようやくその人も理解できたようで、その後お互いに滅茶苦茶ギクシャクしながら別れた覚えがあります。

そうなんです。
関西では交番や駐在所のことを総称してポリボックスと呼ぶんですよ。

ポリス(警察官)が居るボックス(箱)の略なんでしょうか?ちょっと私にもよくわかりませんが。

ちなみに警察署のような大きな建物はポリボックスとは呼びません。ポリビルディングとも呼びません。
普通に警察署と呼びます。

知らんけど(笑)

モータープール

出典:pixaboy

 

これは少し前の出来事なんですけど、仕事の関係で旭川駅周辺を車で走行していた時のことです。

用事があるビルの近くにやってきたのですが、街中のせいかなかなか車を停めれる場所が見つかりません。

私はその時車の助手席にいて周囲を見回していたのですが、看板が目に入ったので運転していた人に

「あぁ、あそこにちょうどモータープールがあるから、あそこに入れよう。」

と伝えました。

しかし、言われた側の車を運転していた人は、かなり動揺した様子で

「え?? なに?? ドコ行くの?? プールって??」

Photo:らくださん

 

いや〜、そうなんですね〜。

モータープール、通じませんでした。方言だったんですねぇ。知りませんでした。

関西では駐車場のことをモータープールと呼んだりします。

一般的には乗用車用の駐車場を指しますので、コインパーキングも月極の駐車場もざっくりモータープールと呼ぶようです。

Photo:らくださん

 

ですので、写真のような旭川電気軌道さんの「共栄バスセンター」的な場所はモータープールとは呼ばないような気がします。

最後に

今回紹介した方言も、全ての関西人が使っているワケではなく、結構地域差や年代差によって違ったりするようです。
「あずましい」や「したっけ」なども旭川ではあまり使われていない北海道弁だと思いますが、そういった地域差はどこにでもあるのではないかと思えます。
イントネーションですぐに「関西系」とバレる場合もありますが、あなたの近くにももしかすると「隠れ関西人」が潜んでいるかもしれませんので、押しピンやモータープールといった単語で炙り出して見るのも面白いかもしれませんね。


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