2019年10月24日
弁護士に相談するようなトラブルや問題なく暮らしたい。でも、何かあったときのために知っていて損はない! そんな身近で起こったお悩みに、テレビなどでも活躍している【北村晴男弁護士】が答えてくれた、身近なお悩みの解決法&アドバイスを紹介します。
自治体によって、このようなルールで雪かきをしてくださいと、トラブルが起きないようにガイドラインを定めているところもあるようですね。
このガイドラインに法的な拘束力があるわけではないのですが、例えばまったく違う仕方で雪かきをして、それによって第3者に苦痛を与えたり、労力の負担をかけたりした場合は、不法行為(民法709条)になる場合があります。
不法行為とは、「不法に他人の権利を侵害したものは、それによって被らせた損害を賠償しなければいけない」というものです。
それに当たるかどうかは、隣人関係では「受忍限度」という基準がありまして、「普通の人であればその程度はやむを得ないものとして我慢するよね」、という範囲であれば違法とはいえず、逆に、それを超える場合、すなわち「受忍限度を超える」ものは違法になります。
今回のケースでは、ガイドラインの内容を確認するまでもなく、他人の私有地に雪を捨てるということ自体、原則として違法だと思います。
ただし、例えば仮に10グラムの雪を置いたとしても問題になりません。
雪かきをしなければならないような量の雪を捨てられ、それによって余計な労力を使うことになり、精神的な苦痛を被ったとなれば、慰謝料請求ができるということになります。
さらに、人を雇って雪かきをせざるを得ないとなれば経済的な損害も発生しますので、その分の損害賠償請求ができます。
道路に多量の雪を捨てるということも違法行為ですね。
道路交通法第七十六条3項に「何人も交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない」とあり、道路法四十三条2項に「みだりに道路に土石・竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある行為をすること」を禁止する規定があります。
道路交通法の問題は警察に、道路法の問題は道路の管理者に(国道ならば国土交通省、道道であれば北海道、市町村道であれば市町村に)、「違法で危険なので指導してほしい」と伝えれば、指導してくれる可能性が高いでしょう。
そうすれば普通の人であればやめるはずですから、これが有効だと思います。
北村 晴男
弁護士(東京弁護士会)
■1956(昭和31年)年生まれ。長野県出身。
■1992(平成4)年に個人事務所を開設し、2003(平成15)年に法人化。生命保険、交通事故、医療過誤、破産管財事件、家事事件など多岐にわたる事件を処理している。
■弁護士法人 北村・加藤・佐野法律事務所代表。
■メルマガ「言いすぎか!! 弁護士北村晴男 本音を語る」(まぐまぐ!)配信中
この記事のキュレーター
出典:asatan