2019年12月07日
弁護士に相談するようなトラブルや問題なく暮らしたい。でも、何かあったときのために知っていて損はない! そんな身近で起こったお悩みに、テレビなどでも活躍している【北村晴男弁護士】が答えてくれた、身近なお悩みの解決法&アドバイスを紹介します。
はっきり言えるのは、警察に告げても返してもらえることはありません。
騙し取られたわけではなく、犯罪行為ではないからです。
警察には「民事不介入」という原則があります。
警察が動いてくれるのは、「最初から返す気がないのにあたかも返すつもりがあるかのように装って借りた」というケースです。
この場合は詐欺罪に当たりますので警察が動く根拠になるのですが、そのように主張するには初めから返すつもりがなかったという明確な根拠を示す必要があります。
次は裁判所ですが、お金を実際に貸した、ということを立証しなければなりません。
振り込みで貸したのであれば立証しやすいでしょう。
手渡しだった場合、「お金を貸してほしい」など、メールやLINEでのやり取りが残っているとか、「次の給料が入ったら返す」というのが残っていれば、状況証拠として十分の価値があります。
いくら貸したのか、互いに言っていることが違うということであれば、裁判所が双方の言い分を聞いて、どちらの言っていることが本当であるかを判断します。
ただ、今回の8万円という金額であれば、訴訟を弁護士に頼むと費用倒れになります。
ではどうするかというと、弁護士を頼まなくても比較的簡単にできる少額訴訟という手続があります。
少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に可能です。
特別な事情がある場合を除いて、その場ですぐに取り調べできる証拠を提出することができ、1度で審理を完了しなければいけないということになっていますので、時間的にも早く結論が出ます。
また裁判官の説得で、和解が成立することも多く、これによって支払ってもらうことも十分に期待できます。
ただ、相手が「少額訴訟で判決をもらうのは嫌だ」と最初から主張すれば、通常の訴訟手続きをしなければなりません。
それでも弁護士に依頼せずに訴訟を行なうことはできます。
今は便利な時代ですから、インターネットや法律の本などで、一生懸命に勉強をして裁判をすることになります。
大変なことだとは思いますが、新しい知識を入れるということは、自分にとっても良い勉強になるのではないでしょうか。
もし相手に支払いを命ずる判決が出たのに、支払ってもらえない場合は、財産を差し押さえることができます。
この場合、「〇〇銀行〇〇支店」まで相手の銀行口座がわかっていれば預金から、口座がわからない時は給料を差し押さえることになります。
貸した後返済を求めることを考えると、貸したことを証明するための証拠を残しておくことが大切です。
少額の場合、借用書を書いてもらうという人は少ないと思いますが、「お金を〇〇円借りました。〇〇までには返済します」とLINEなどで送ってもらうだけでも、借用書と同じくらいの価値があり、とても重要です。
北村 晴男
弁護士(東京弁護士会)
■1956(昭和31年)年生まれ。長野県出身。
■1992(平成4)年に個人事務所を開設し、2003(平成15)年に法人化。生命保険、交通事故、医療過誤、破産管財事件、家事事件など多岐にわたる事件を処理している。
■弁護士法人 北村・加藤・佐野法律事務所代表。
■メルマガ「言いすぎか!! 弁護士北村晴男 本音を語る」(まぐまぐ!)配信中
この記事のキュレーター
出典:asatan