2020年01月04日
弁護士に相談するようなトラブルや問題なく暮らしたい。でも、何かあったときのために知っていて損はない! そんな身近で起こったお悩みに、テレビなどでも活躍している【北村晴男弁護士】が答えてくれた、身近なお悩みの解決法&アドバイスを紹介します。
水道管については、特別の規定がないかぎり、通常の使用によって発生した故障の修繕は、管理会社が行なうべきものと思います。
これに対して、借主は契約上の誠実義務として、不具合を発見したり、その兆候を感じたら速やかに管理会社に連絡をすることが必要です。
管理会社が水道管の異常に気付くのはそう簡単なことではありませんので、借主は異常に気付いたときは、速やかに管理会社に伝えるという義務までは負っていると考えられます。
一般的な貸主(大家さん)と借主の関係で考えてみますと、長年使ってきたことで自然に劣化してきたもの、あるいは天変地異や自然災害などで壊れてしまったものであれば借主側の責任ではありません。
居住する為に快適な状態を保つのは貸主側の責任だからです。
管理会社は、貸主に代わって管理をしている会社ですから、速やかに修繕をする義務があります。
もし、住人から「水道管に何か異常が生じているかもしれません」という連絡があれば、それに対して異常なのか正常かを点検(検査)する義務を管理会社が負います。
異常があれば、そこを速やかに修繕する義務があり、それを管理会社が怠ったのが原因で階下の住人に損害が発生したのであれば、この責任はまずは管理会社が、賃貸借契約上は貸主が負わなければならないということになります。
今回のケースは、管理会社が自らの責任の一部を借主に転嫁しようとしている事例だと思われますので、ご相談者様が損害を補償する必要はありません。
ただし、気をつけて頂きたいのは、借主の使い方が悪かったが為に水道管に異常をきたしたという場合です。
この場合、借主は賠償責任の一端を負う必要があります。そのことと管理会社の怠慢が重なって、このような結果が生じたということになると、過失による共同不法行為ということになりますから、被害を受けた階下の人に対して、借主が管理会社と連帯して責任を負うことになります。
こうした場合、借主が賠償責任保険に入っていれば、保険会社が査定をして、そもそも借主に過失があるのかないのか、負担割合はどのくらいになるのか、それを管理会社側と話し合って決めるということになります。
保険に入っていれば、そんなわずらわしいことをする必要がなくなりますから、是非にも入られるよう、おすすめします。
北村 晴男
弁護士(東京弁護士会)
■1956(昭和31年)年生まれ。長野県出身。
■1992(平成4)年に個人事務所を開設し、2003(平成15)年に法人化。生命保険、交通事故、医療過誤、破産管財事件、家事事件など多岐にわたる事件を処理している。
■弁護士法人 北村・加藤・佐野法律事務所代表。
■メルマガ「言いすぎか!! 弁護士北村晴男 本音を語る」(まぐまぐ!)配信中
この記事のキュレーター
出典:asatan