2020年01月11日

【身近なお悩み法律相談】結婚してわかった、家事を全くしない妻と離婚できますか?

弁護士に相談するようなトラブルや問題なく暮らしたい。でも、何かあったときのために知っていて損はない! そんな身近で起こったお悩みに、テレビなどでも活躍している【北村晴男弁護士】が答えてくれた、身近なお悩みの解決法&アドバイスを紹介します。


結婚したら妻が一切家事の出来ない人だった…それは離婚理由になるのか

遠距離恋愛をしていた彼女と2年前に結婚しました。

結婚前の同棲を嫌がっていた彼女。

その理由は家事が苦手だからとのことでした。

いざ結婚してみると、「家事が苦手」なのではなく、「家事をまったくしない人」だったことがわかりました。

炊事はせず、外食以外は出来合い弁当、掃除もしない。

洗濯は必要な下着類だけをコインランドリーへ持って行っていることが判明しました。

ゴミも私が捨てないと、溜まる一方です。

彼女はもともと実家暮らしのためやり方がわからないのかなと思い、一緒にやってみたり役割分担を決めたり話し合ったりと、いろいろな方法で試してみましたが、1年が経過しても変化なし。

このまま子どもをつくり家庭をつくるという将来がイメージできません。

離婚したいのですが、家事を一切しないという理由で離婚できますか?
(旭川市/K)

夫婦共働きの場合では離婚は厳しい可能性が

離婚できるかどうかというと、仮に共働きであれば、現状では離婚は非常にむずかしく、夫が働いて妻が専業主婦の場合であれば、離婚できる可能性があります。

夫婦はお互いに協力し合っていかなければならないのですが、現代の夫婦関係というのは男女平等です。

ですから女性というだけで家事をしなければならないということにはなりません。

まず、共働きの場合ですが、妻は働いて一定の収入を得た上に、出来合い弁当を買ってきたり、下着類をコインランドリーで洗濯しており、一定の協力をしています。

ですから、直ちに「婚姻を継続し難い重大な事由」がある(離婚できる)とは言えません。

この場合には、夫の家事負担が過大で仕事にも悪影響があることを妻に十分説明した上で、炊事や掃除について妻に一定の協力を求めて、さらに話し合いを続けてください。

それでも現状を一切変えない、今以上の家事の分担を一切しないという意思が明らかになった場合には、これ以上一緒に生活出来ないと告げて別居することをおすすめします。

別居して、別居後例えば2年程度が経過すれば、婚姻関係の破綻が認められ、離婚できる可能性があります。

妻との間で丁寧な話し合いをしてもなお現状が変わらず、やむなく別居に至ったというのであれば、夫が有責配偶者に当たるとされる可能性は低く、夫からの離婚請求が認められるでしょう。

妻が専業主婦の場合でも証拠を積み上げる事が重要

次に、妻が専業主婦の場合ですが、この場合には夫婦相互の協力義務として、妻は家事の全部とは言わなくても、家事の相当程度を分担する必要があると思われますが、出来合い弁当を買ってくることと、下着類をコインランドリーに持っていくだけでは、妻は協力義務を果たしているとは言えず、「婚姻を継続し難い重大な事由」ありとして、離婚が認められる可能性があります。

ただ、家事をしないだけで離婚を認めたという裁判例は、あまり見たことがありませんので、注意が必要です。

本当に妻を見限ったのであれば、確実に離婚ができるように充分に証拠を積み上げて準備をすることが必要です。

実際の写真の提出や証人に協力してもらう事で有利に

例えば、「せめて掃除くらいしてください」と優しく言っているのにも関わらず、相手が拒絶している声を録音しておく、話し合ったことも書面に残しておく、かつ、ゴミが溜まって家の中がゴミ屋敷のようになってしまっている状況を、ビデオや写真などで証拠として残しておくのが良いでしょう。

裁判官に、「こんなゴミ屋敷でずっと生活するのは、かわいそうだよね」「こんな人とは、普通は一緒にいたいと思えないよね」、そう思ってもらわなければなりません。

そこまで思ってもらえる証拠が揃えば、離婚できる可能性があります。

ただ、夫が掃除をしてしまい、「このまま放っておけばゴミ屋敷になるかもしれない」というだけでは弱いです。

さらに第3者の証人も必要なので、時々、友人でも親戚でも、近所の人でも家にきてもらって、現状を見せて、愚痴を聞いてもらうと、夫に有利な陳述書を提出してくれたり、証人にもなってくれるでしょう。

このような準備は嘘ではなく、真実を証拠として提出しやすくするだけですから、問題ありません。

なお、個人的な意見ですが、こんなケースを避けるためにも、いきなり結婚生活を始めるのではなく、同棲生活をしてみてから結婚する方が良いのではないでしょうか。

北村 晴男
弁護士(東京弁護士会)
■1956(昭和31年)年生まれ。長野県出身。
■1992(平成4)年に個人事務所を開設し、2003(平成15)年に法人化。生命保険、交通事故、医療過誤、破産管財事件、家事事件など多岐にわたる事件を処理している。
■弁護士法人 北村・加藤・佐野法律事務所代表。
■メルマガ「言いすぎか!! 弁護士北村晴男 本音を語る」(まぐまぐ!)配信中

出典:asatan

 

この記事のキュレーター

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