2021年10月15日
旭川の森林を守るために、森林の整備や担い手の育成、市民と森林を結ぶ活動に尽力されている方を紹介します。 【詳細】農林整備課 25・7459
私たちが住む旭川は、面積の半分以上が森林となっています。森林は、水や酸素の供給、土砂災害等の防止など、私たちの命や生活を守るためになくてはならない存在です。また、森林から生み出される木材は、建築材や梱包材、紙やバイオマス発電の燃料などへ無駄なく活用されています。国連が掲げる持続可能な開発目標「SDGs」の推進が求められる現在、目標達成のため、森林資源や空間の利用を進めていく必要があります。
林業は、森林の機能を持続的に発揮させるための循環可能な産業です。
50~100年のサイクルで木を伐って・使って・植えて・育てるを繰り返しています。
旭川市森林組合 業務部長
近藤貴彦(こんどうたかひこ)さん
旭川市森林組合による伐採作業
木を植え、成長を助ける保育作業を行い、成長した木を伐って、また新しい木を植える。このような森林の循環をつくる達成感が林業の魅力です。林業は、木材生産のみではなく、森を守り、人と自然の共生を支える仕事でもあるため、私たちの暮らしや命、地球環境を守っているというやりがいを感じます。
森林組合は、森林所有者が組合員となって組織し、市有林や私有林を管理していますが、高齢化が進み、担い手不足が課題となっています。昨年開校した、北の森づくり専門学院における担い手確保の取組みに期待しています。2年前には、適切な森林整備を進めるために森林環境譲与税等も創設され、林業に追い風が吹いています。林業は働きづらいと考える人が多かったのですが、この機会に働きやすい環境を構築していきたいです。
北海道立北の森づくり専門学院 教務課主査
舟生憲幸(ふにゅうのりゆき)さん
北森カレッジによる伐倒実習
昨年4月、林業の担い手の育成・確保のために設立された、道内初の林業・木材産業の専修学校です。北海道では多くの人工林が収穫期を迎え、今後、林業の活性化が期待できます。そのため当学院では、林業・木材産業の即戦力となり、将来、企業等の中核を担う人材の育成を目指しています。授業の3分の2を占める実習は、チェーンソーや林業機械(シミュレーターも活用)操作、育林作業、調査、木材加工、地域見学など、北海道全域をフィールドとして実施しています。また、在学中に14種類の資格等を取得可能です。
一人一人が自分に合った職種を見つけ就職してほしいです。2年間の学びの中で築いた、幅広い年齢層で多様な経歴を持つ仲間とのつながりは貴重です。就職後も様々な場面で相談や情報交換ができ、心強いと思います。その強みを生かし、北海道の林業・木材産業を引っ張っていくような活躍を期待しています。
もりねっと北海道
中村直人(なかむらなおと)さん
もりねっと北海道による間伐体験
旭川の公園である突哨山(とつしょうざん)の管理や、薪(まき)の製造販売、森づくりやチェーンソーの講習会など、「森を生かす」「森と人をつなぐ」ことを目指した活動をしています。突哨山では、放置された人工林の再生や天然林の保全を行っています。森や林業と、市民・団体をつなぎ、健全で豊かな森を未来に引き継ぎたいです。
里山としても利用されてきた突哨山は、これまで関わってきた人の営みの歴史、その中で育まれてきた生態系など、特有の自然環境があるところが大きな魅力です。草や木、虫・鳥・動物、そして人間も、自然の一部だと日々感じています。里山は、農林業や経済活動の変化で利用が減少し、荒廃が進んでいましたが、近年では環境問題が重要視され、里山の持つ価値が見直されてきています。先人が自然を上手に活用して守ってきた場所を、次の世代に大切に引き継いでいく責任があると感じています。
この記事のキュレーター
協力 北海道森林管理局