2023年01月21日
巧みな技術で私たちの暮らしを支える職人たち。経験を重ねるごとに魅力を増す、技能の世界を紹介します 【詳細】産業振興課 65・7047
日本庭園や緑地の設計・施工、完成後の維持管理を行います。近年は樹木のせん定、刈り込み、芝の手入れなどの景観維持や機能向上の作業が多くなっています。
臨床検査助手として病院に長く勤めた後、販売や営業の仕事をしていました。外仕事は「大変」「汚い」というイメージを持たれるかもしれませんが、新しいことに挑戦しようとこの世界に飛び込みました。「できない」と言いたくない性格なので、できることを見つけよう、できるようになろうと現場で覚えました。
個人宅の庭木せん定や芝の管理、冬囲いが多いです。はさみの他、のこぎりやチェーンソーも使います。見栄えで大事にしている点は庭全体のバランスで、旅行先で庭園を見ては「いい形だな」と参考にします。絵も積極的に鑑賞しています。また、植物が枯れずに数年後もきちんと成長できるよう、植物の知識も大切にしながら作業しています。
最初は高所での作業が怖かったですが、仕事するうちにいつの間にか平気になりました。ただ、慣れは危ないもの。1つ1つの動作を確認しながら慎重に進めます。切った枝などは重いため搬出は大変ですが、今ではコツを覚えました。
荒れていた庭がさっぱりすると気持ち良いですね。依頼者から必ず「ありがとう」「うれしい」と言われるのも好きなところです。よく、依頼者とお互いの孫の話や世間話をしますし、「女性なら安心」と指名されることもあります。男性には体力面でかなわなくても、できることはたくさんあると感じています。
新型コロナウイルスの影響で外出が減り、心の癒やしにつながる庭を整えたいという要望が増えた印象があります。一方で、「庭を片付けたい」という悩みもよく聞きます。少しでも多くの人に庭の良さを伝え、残したいと思ってもらえるようにしたいです。
これからは女性にも造園の仕事を選んでもらえるよう、環境を整えていきたいですね。「男だから女だから」という先入観は捨て、自分だからできることを見つけてほしいです。
教育機関で造園や花き園芸を学ぶ人もいますが、現場や技能講習会で知識や技術を身に付けるのが一般的です。資格には、厚生労働省所管の「造園技能士」や国土交通省所管の「造園施工管理技士」があります。
この記事のキュレーター
造園工職人 長内 直子さん
病院などに勤務し、約10年前に市内の造園会社「緑の森ガーデン」に転職。事務も手掛ける業務総括マネージャー。