2023年08月20日

遠軽町にある日本最古の国宝がスゴい!「白滝遺跡群」から出土した貴重な国宝を見に行こう!

世の中では「国宝級のお宝」なんていう言葉を耳にすることはありますよね。でも実際ホンモノの「国宝」なんて見た事がないという方も多いのではないでしょうか。遠軽町には正真正銘の「国宝」があるんです。今回は北海道に2つしかない国宝のうちのひとつ「北海道白滝遺跡群出土品」を紹介します。


遠軽町埋蔵文化財センター

Photo:らくださん

 

遠軽町埋蔵文化財センターは、旭川紋別自動車道の白滝インターを降りてすぐのところにあります。

公共の交通機関だとJR石北本線「白滝駅」から徒歩15分ほどの場所になります。

国宝「北海道白滝遺跡群出土品」とは?

令和5年(2023年)6月27日付けで国宝に指定された「北海道白滝遺跡群出土品」は、トータルで1965点にも及ぶ膨大な数の後期旧石器時代の石器や石刃などの出土品のことを指します。

約15,000~30,000年前の遺物なので、日本で最古の国宝ということになります。

遠軽町文化財埋蔵センターで展示されている出土品の数々は、どれも全て学術的価値が非常に高く、大変貴重な文化財なんです。

展示スペースにある国宝を見てみよう!

Photo:らくださん

 

さて、そんな貴重な出土品の数々ですが、展示されている石器の数もまたすごく多く、見応えがあります。

旧石器時代から縄文時代にかけての出土品ですので、当時の生活様式や文化などを想像する上でも、すごく貴重な資料群と言えますね。

Photo:らくださん 遠軽町文化財埋蔵センターパンフレット近影

 

発掘された石器類は用途などによりさまざまな種類に分類されています。

こちらのセンターでは「KuroGuro」というパンフレットも用意されていますので、展示室の見どころを詳しくチェックすることができます。

Photo:らくださん

 

遠軽町白滝周辺は、有数の黒曜石の産地として知られています。

ここで採れた黒曜石を加工して石器が作られ、作られた石器が北海道やオホーツク周辺などの各地に運ばれた形跡も残っているようです。

あくまで個人的な推測ですが、そういった広大な地域でのネットワークが何千年も前に成立していて、当時さまざまな地域の人たち同士で交流があったと仮定すると、これはちょっとロマンを感じずにはいられないですね。

Photo:らくださん

 

黒曜石がどのように加工されていったか、といった事が実物を含めながら解説されていますので、非常にわかりやすい展示内容になっています。

Photo:らくださん

 

当時の石器に対する加工技術にも驚かされますが、出土品からそれらを推測していった研究者の方々の想像力にも素晴らしい情熱を感じますね。

Photo:らくださん

 

石器と一言で言っても用途によって大きさや形が全然違うので、そういった違いを見つけるのも楽しく感じます。

このように見やすくわかりやすい展示内容ですので、親しみが湧きやすいですね。

Photo:らくださん

 

資料室自体はスペースにゆとりがありますので、とても見やすくじっくりと観察する事ができます。

Photo:らくださん

 

白滝遺跡群は1950年代から発掘が始まり、当初比較的小規模での調査が多かったのですが、旭川・紋別自動車道の建設工事に伴う大規模な調査が行われることになり、結果として非常に多くの遺物が発掘されました。

Photo:らくださん

 

このパネル一枚だけをとってみても、当センターの資料の膨大さを理解する事ができますね。

Photo:らくださん

 

とにかく、国宝か国宝でないかといった次元ではなく、質的にも量的にもスゴいとしか言いようがない貴重な出土品の数々です。

興味のある方はもちろん、興味のない方が訪れても、きっと貴重な体験になることでしょう。

Photo:らくださん

 

石器作りなどの体験学習もあります

遠軽町埋蔵文化財センターでは、さまざまな体験学習を行っています。

学芸員さんや専門のスタッフさんの指導のもと、本物の黒曜石から自分だけのオリジナルナイフ(石器)を作るプログラムなどもあります。

楽しく安全に体験できますので、お子様たちとの思い出作りに黒曜石のナイフを作ってみるのも良いのではないでしょうか。

施設情報

住所:北海道紋別郡遠軽町白滝138-1

電話:0158-48-2213
開館時間:9:00~17:00 (入館は16:30まで)
入館料:2階常設展示室 一般320円 高校生以下160円

定休日:夏期 5月~10月 無休
    冬期 11月〜翌4月 土・日曜日、祝日、年末年始(12月31日から翌1月5日まで)は休館
駐車場:あり

道の駅 しらたき

Photo:らくださん

 

道の駅「しらたき」は旭川紋別自動車道沿いにあります。

自動車専用道路の白滝パーキングエリア(奥白滝IC)に隣接していますが、国道333号線からも立ち寄る事ができます。

旭川側から遠軽町埋蔵文化財センターへ向かう途中にあるので、行き道でも帰り道にでも寄る事ができるので便利ですね。

ちょっと混同しやすいのですが、道の駅「しらたき」があるのが「奥白滝IC」で、遠軽町埋蔵文化財センターの最寄りのインターチェンジが「白滝IC」です。

Photo:らくださん

 

レストラン入り口にも国宝の看板があり、地域としての盛り上がりを感じます。

Photo:らくださん

 

Photo:らくださん

 

道の駅にはレストランと売店が併設されています。

前後にトイレや休憩できる場所がほとんど無いので、ちょっとしたオアシスのような存在になります。

施設情報

住所:紋別郡遠軽町奥白滝
電話:0158-48-2175
開館時間
 物産館:9:00~18:00※年末年始(12/31~1/3)は営業時間の変更あり
 レストラン:10:00~17:00※年末年始(12/31~1/3)は営業時間の変更あり
定休日:年中無休

あとがき

石器というと、見た目の迫力からつい大きなヤリ(大型尖頭器)やカッコいいヤジリ(有舌尖頭器)なんかに目がいってしまいますが、じっくり見ていると細石刃の凄さにも驚かされます。

特に植刃器と呼ばれる槍先にカミソリ刃のようにはめ込まれる使い捨ての細石刃は、その用途に対するアイデアもそうですが、よくこんな小さな遺物を分析して解明したもんだと、そっちの意味でも大変感心させられました。

まだまだ謎も多く興味を惹かれる石器時代の遺跡群ですが、こんなにも身近に国宝が展示してありますので、ぜひ一度と言わず何度でも足を運んで頂きたいと思います。


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