2020年02月09日
旭川市の【豊岡産科婦人科】で院長を務める【久田孝司先生】に登場していただき、さまざまな身体の悩みにお答えしてもらいます。※この記事は2018年8月に発行されたタウン情報誌『asatan 9月号』で掲載した記事を再編集したものです。
乳がんが心配です。胸にしこりがあるというわけではありませんが、若い女性が乳がんで亡くなっているので、私も… と不安になってしまいます。
乳がんはどんな女性がかかりやすいのでしょうか。
(相談者:30代/主婦)
A. 女性が生涯のうちに乳がんにかかる率は、およそ11人にひとりとなっています。乳がんで死亡する女性がおよそ70人にひとりなので、それほど恐いがんとは言えないかもしれません。もちろん、進んだ状態で発見されれば予後は良くないのですが。
乳がんがもっとも多い年齢層は、40代後半と統計上出ています。30代後半から増えていきます。20代から30代後半までは全乳がんの2.7%で、それほど多いわけではありません。ですから、ご質問者が30代前半であれば、それほど神経質になる必要はないかと思います。
ただ若い女性は子どもがいた場合小さいので、亡くなられるようなことがあれば悲惨です。多くないからといって、まったく気にかけなくていいわけではありません。また、若い女性では乳がんだけでなく、【子宮頸がん】にも注意が必要です。
では、ご質問にあるように、どういう女性が乳がんになりやすいか。これはある程度わかってきています。エビデンス(証拠)の高いものとしては、子供を産んでいない女性、これは授乳したことがあるかないか、ということにもつながります。
授乳したことがある女性は、ない女性よりも【乳がんにかかりにくく】なります。また、授乳期間が長いほどかかりにくい、と言われています。ほかにかかりやすいもので言うと、閉経後の肥満、高身長などが挙げられています。
もう少しエビデンスの低いものとしては喫煙・アルコールの摂取・初潮が早い・閉経が遅いなどが挙げられています。これらはほぼ確実に関係がある、と考えられているものです。注意するに越したことはありません。
少し前に、ハリウッドスターのアンジェリーナ・ジョリーさんが、乳がんの予防的切除を行なったことで話題になりました。遺伝子で乳がん・卵巣がんを引き起こす可能性が高い、『BRCA1/2』などが検出された場合、乳がん・卵巣がんになる前に切除するという考え方です。
日本でもこうした考え方が普及してきています。選択肢のひとつとして、今後日本でも確立されるでしょう。
乳がんの検査は、【マンモグラフィー】と【3D超音波】が主流です。
日本人の乳房は欧米の方々よりも小さめで、いわゆる高密度乳腺であることが少なくありません。そうした場合、マンモグラフィーでは見逃す確率が高くなります。超音波検査と併せて行なえば、そうした見逃しをかなりの確率で減らすことができると考えられています。
日本でも近いうちに、この2つを併用する検査がさらに一般的になるものと思われます。
もうひとつ大切なことがあります。乳腺のしこりは、【自分でも見つけること】ができます。
少なくとも月に1度は、自分で乳房をチェックしてみてください。方法は検索すればすぐに出てきます。難しいものではありません。自分の身体は自分で守る。そう気を付けていただければ、早期発見につながります。
乳がんは身体の奥深くにできるものではありません。自分で発見することもできるがんです。【早期で見つかればほぼ100%治る】のですから。
豊岡産科婦人科
院長:久田孝司
住所:旭川市豊岡4条1丁目1-10
電話:0166-31-6801
※コラムの内容については、筆者の見解を尊重したものであり、すべての読者に当てはまるとは限りません。
この記事のキュレーター
出典:asatan