2020年02月16日

生理不順で半年間も来ないことが… これって何かの病気?【産科婦人科医が答える体の悩み相談】

旭川市の【豊岡産科婦人科】で院長を務める【久田孝司先生】に登場していただき、さまざまな身体の悩みにお答えしてもらいます。※この記事は2017年4月に発行されたタウン情報誌『asatan 5月号』で掲載した記事を再編集したものです


Q.友だちが生理不順で半年間も来ないそう… これって何かの病気?

20代の友達から「生理不順で困っている」と相談を受けました。最近は半年間も来ないことがあるそうです。体毛も濃くなり、ニキビも増えたと言っていました。

生理がいつ来るのかわからず、とても不安そうにしています。何かの病気でしょうか。私から見ても、ずいぶん体重が増えたように感じます。婦人科に行くべきでしょうか?(相談者:20代会社員)

A.もっとも考えられるのは多嚢胞性卵巣症候群

もっとも考えられるのは、【多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)】です。これは女性の5%ほどに見られるもので、卵巣に小さな嚢胞が多発することが特徴です。

主な症状としては無排卵、それによる月経不順、男性のような体毛、肥満などです。女性ホルモン分泌サイクル異常と考えられていましたが、最近はもっと複雑な要因が絡まって引き起こされる、と言われています。

インスリンに抵抗性をもつことがあり、将来的に【糖尿病(Ⅱ型)に陥る恐れ】があります。長い間月経が来ない状態を放っておいてはいけません。女性ホルモンのうちエストロジェンだけが分泌され続けていると、【子宮体癌の誘因】になりかねません。少なくとも3ヵ月に1度は月経を起こすことが望ましいのです。

どのような治療法がある?

治療は薬物療法が基本です。排卵誘発剤の1つである、クロミフェンという錠剤を服用します。

注射による治療もありますが、まずは経口剤で排卵が起こるか試みます。低用量ピルもニキビなどの改善に役立ちます。今すぐ子どもが欲しいか、などで治療の選択が変わってきます。

インスリンの作用を強めるメトホルミンという薬も、保険適用外ですが有効です。それら薬物療法でダメなら、卵巣の小嚢胞をつぶす手術(多孔術)も選択肢に入ります。また、注射による排卵誘発(ゴナドトロピン療法)も用いられることがあります。

どのような検査がある?

【超音波検査】、【血液検査】が行なわれます。超音波検査で卵巣に小嚢胞があるか、血液検査で脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンを測定します。この血液検査で、LHが高値でFSHが正常値か低値ならほぼ診断が確定します。

さらに体毛が男性型か、肥満があるかどうかを判断します。肥満を解消するだけでよくなることもあるので、PCOSが疑われる方は、体重を減らすことが大切です。この状態を放置していてはよくありません。

 

さいごに

心当たりがある方は、婦人科に受診することをおすすめします。その際、【1~2ヵ月の間基礎体温】を測っておけば参考になります。

面倒かもしれませんが、基礎体温の測定を習慣化することが望ましいのです。

【豊岡産科婦人科】基本情報

豊岡産科婦人科
院長:久田孝司
住所:旭川市豊岡4条1丁目1-10
電話:0166-31-6801

出典:asatan

 

※コラムの内容については、筆者の見解を尊重したものであり、すべての読者に当てはまるとは限りません。


この記事のキュレーター

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