2020年02月23日

【旭山動物園】ゲンちゃん日記:令和2年2月「持続可能な未来のために」

「園長(ゲンちゃん)日記」は、旭川市の市民広報内で「動物園からの手紙」として毎月掲載しているコラムの原文バージョンです。


「持続可能な未来のために」

今年も早12分の1が経過しました。
さすがに降雪量が少なく心配なこの頃ですが、動物園には昨年以上に多くの方が訪れています。

海外の方をはじめ一応雪景色なので北海道の冬を楽しんでおられるようですが、雪明かりの動物園でのかまくら作りもままならないほど積雪量が足りない異常な状況であることも知っておいて欲しいなとふと思ったりしています。

ペンギンの散歩

 

さて一昨年頃から気になっていたことがあります。
それは海外からの来園者の方がお土産を買われたときの反応です。

動物園は屋外施設なので、雨も降れば雪も降ります。
ですからそれぞれの売店さんは、とても素敵なデザインのプラ製のレジ袋を用意していて、買い物をされた商品はその袋に入れてお渡ししているのですが、袋に入れようとするとその袋はいらないと意思表示をする方や、わざわざ買われた物を袋から出して袋を返してくる方が見られるようになり、明らかにその比率が高くなってきていることです。

売店の方に話を聞くと日本人ではほとんど見ない行動とのこと。

来園された方が動物たちを見てさすが旭山だと感動し、最後にお買い物をしてエッ!こんな薄っぺらな動物園だったのか!と愕然とされてしまっている危機感を感じています。
強い意思表示なのだと感じます。
脱プラスチックをはじめとした環境問題に関して欧米のみならずアジア圏でも問題意識、解決意識が急速に高まっています。

正直日本は取り残されつつあると感じます。

動物園の役割は、本来このような環境問題に多くの人に気づいてもらい、自分事として考えてもらわなければいけない立場です。

今年は東京オリンピックです。オリンピック関係で提供する物は厳しく審査されます。
食材、紙製品も何らかの基準を満たしている認証を受けた物しか使用できません。

これは押しつけではなく、子供たちの未来への投資を呼びかけているのだと思います。
破綻ではなく持続可能な未来のために動物園も果たすべき役割をしっかりと捉え一つでも二つでも具体化しなければいけない、遅くなりましたがこれが旭山動物園の今年の抱負です。

旭山動物園 園長 坂東 元

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