2020年03月08日
旭川市の【豊岡産科婦人科】で院長を務める【久田孝司先生】に登場していただき、さまざまな身体の悩みにお答えしてもらいます。※この記事は2019年4月に発行されたタウン情報誌『asatan 5月号』で掲載した記事を再編集したものです
最近体調が思わしくなく、疲れやすかったり、イライラしたりします。顔色も悪いそうで、友だちからは若年性更年期じゃない、なんて言われます。確かに生理不順だし、肌のハリなんかもなくなったように感じます。まだ30歳を少し過ぎただけです。更年期なんかになるのでしょうか。
(相談者:30代前半/会社員)
結論から言いますと、若年性更年期という医学的な用語はありません。更年期とは少なくとも【40歳以上の年齢の女性】に当てはまる用語です。私は43歳頃を目安にしています。
女性は40歳を過ぎる頃から、女性ホルモン、特にエストロジェンというホルモンが減少し始めます。このエストロジェンの減少が、いわゆる更年期症状を引き起こす主な原因です。主な、と付けたのは、【ストレス】や【配偶者の無理解】なども原因になり得るからです。
更年期障害は【身体的なホルモン減少】だけでなく、【精神的なトラブル】も深く関わってくるものなのです。
質問者様のような【30代で更年期ということはありません】。ただし、更年期と同じように、女性ホルモンが低下した状態はあり得ます。
【卵巣機能不全】と呼びますが、字の通り卵巣から出る女性ホルモンが十分でない、という状態です。卵巣そのものに異常があることは少なく、脳底の真ん中辺りにある【『脳下垂体』】というところがうまく働かないのが原因であることが多いのです。
脳下垂体は性腺刺激ホルモンというものを出して、卵巣から女性ホルモンを放出させたり、排卵させたり、子宮に月経を起こさせたりします。
脳下垂体は脳の最下部にあるため、【ストレス】などで脳血流が低下すると、まともにその影響を受けてしまいます。【過度なダイエット】などでも、この脳下垂体がダメージを受けます。
女性ホルモン、特に【エストロジェン】は女性が女性であるための最重要なホルモンです。これが少なくなれば、若くして【更年期に似た症状】が現れても不思議はありません。若年性更年期とは、こうした卵巣機能不全の症状を指しているものと思われます。私のところでも、卵巣機能不全と思われる女性は少なくありません。
基礎体温をとって【排卵の有無を確認】し、【卵巣に異常がないか診察】して、ホルモン検査でそれほど低下が見られない場合は【経過観察】としますが、月経不順でいつ生理が来るか不安な方などには、女性ホルモン剤を処方します。にきびや毛深さなど、男性ホルモンが優位になっている方にも処方することがあります。
それほど女性ホルモンが減少してなく、生理もある程度順調な方には、エストロジェン類似効果のある【食品】や【サプリメント】もひとつの方法になります。
代表的なものは、大豆に含まれるイソフラボンです。この大豆イソフラボンは、エストロジェンに似た作用を持っていて、これを食事として摂ることによって、ある程度の改善効果が認められます。
ただしこの大豆イソフラボンは、腸内細菌によってエクオールという物質に変わらなければ作用を発揮しません。残念ながら、【日本人女性のおよそ半数ほどしかこの腸内細菌を持っていない】、と言われています。持っていない場合、エクオールそのものを補うサプリメントも販売されています。
また、【ストレスをできるだけ減らし】、【適度な運動を心掛ける】ことも、脳下垂体を正常化させる一助になる、と考えられています。
豊岡産科婦人科
院長:久田孝司
住所:旭川市豊岡4条1丁目1-10
電話:0166-31-6801
※コラムの内容については、筆者の見解を尊重したものであり、すべての読者に当てはまるとは限りません
この記事のキュレーター
出典:asatan