2020年09月11日

【旭川の地酒】旬来る! ひやおろしを楽しもう

日本酒に、季節ごとの「旬」があるのをご存知ですか。秋ならば「ひやおろし」と呼ばれる独特の香味を放つ美酒があり、多くの愛飲家を楽しませます。9月上旬、地酒のまち旭川でも3社の蔵からそれぞれに、自慢のひやおろしが発売されました。


ひやおろしとは

Photo : KOTA

 

まずは、うんちくを(笑)

酒の多くは秋冬から翌春にかけて仕込まれる。春、原料から搾り出した酒は火入れ(加熱殺菌のこと)され、夏の間じっくりと貯蔵・熟成。いよいよ秋、2回目の火入れを行い出荷される、というのが一般的。
これに対し、2回目の火入れを行わず出荷されるのが「ひやおろし」だ。火入れをしてない状態を蔵人は「ひや」と呼び、これを卸す(おろす)ことから「ひやおろし」とよばれるようになった。
あえて2回目の火入れをしないでおくと、熟成で得た香味がより多く生かされ、フルーティーで膨らみのある味わいが期待できるとされている。これに愛飲家の羨望があつまるという訳だ。

旬の味覚とご一緒に

ひと夏寝かせたことで、落ち着いた香味となったひやおろし。味のバランスよく、まろやか、かつ、ふくよかな旨味は、嬉しいことに秋の味覚と相性バツグン。

食卓で、あるいは居酒屋で、旬の味覚を味わうなら是非ともひやおろしをご一緒に。
または、ひやおろしを飲もうというなら、秋の味覚を添えて。

Photo : KOTA

 

今回は、テイスティングに合わせ、鮭ごはんに作りたてのイクラを添えた、ちょっとわざとらしいほどに(笑)いかにも秋という料理を作ってみた。酒と料理、互いに相手のウマさを引き立て、美味しさこの上なし!
酒が進む! すると飯も進む! また酒が進む! という美味しいスパイラルが止まらない。

秋ということで、キノコ、鮭などをソテーや鍋で。ちゃんちゃん焼きなんかも良さそうだ(考えただけでヨダレもの)。

旭川のひやおろしを呑み比べ

大雪乃蔵

■ 純米 大雪乃蔵 ひやおろし(季節限定)
【価格】720ml:1,190円/税別(数量限定)
【販売先】酒類販売店

Photo : KOTA

 

高砂酒造

■ 純米酒 国士無双 ひやおろし
【価格】720ml:1,320円/税込(数量限定)
【販売先】酒類販売店、および同社直売所(旭川市宮下通17丁目)

Photo : KOTA

 

男 山

■ ひやおろし(秋酒)
【価格】720ml:1,426円/税込(数量限定)
【販売先】酒類販売店、および同社直売所(旭川市永山2条7丁目)

Photo : KOTA

 

テイスティングしてみた。

落ち着いた香り、まろやかにまとまった香味。まずは、3蔵のひやおろしはそれぞれに、間違いなく美味しいと申し述べておく。甲乙はつかない。

そのうえで・・・

大雪乃蔵は、いつもながらまろやかな口当たりが魅力。穏やかに旨みや酸味がまとまっていて、すいすいと呑み進む軽快さがある。
ふわりとフルーティーな香味を伝えてくる国士無双。ふくよかな酸味の引き出し方はこのブランドのお家芸か。
一方、コクや素材味が印象的な男山。じわじわとしみてくるような旨みがあとを引く。

と、それぞれの個性を表現するとこんな感じでしょうか。

さあ、楽しむならいま!

居酒屋で、酒屋さんで、これを見つけたら是非ともお試しいただきたい。
何しろ、ひやおろしは今の時期だけの限定出荷。
お楽しみはあとで、なんて言ってると見逃してしまいますよ。


この記事のキュレーター

美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。

・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター