2019年11月05日

【産科婦人科医が答える体の悩み相談】妊娠中のインフルエンザのワクチン接種は安全?

旭川市の【豊岡産科婦人科】で院長を務める【久田孝司先生】に登場していただき、さまざまな身体の悩みにお答えしてもらいます。※この記事は2017年10月に発行されたタウン情報誌『asatan 11月号』で掲載したものです


Q.妊娠中のインフルエンザのワクチン接種は安全?

Q.妊娠中ですが、今年もインフルエンザの季節がやってきて、【ワクチン】をうつかどうか悩んでいます。

妊娠している友だちも、うつ人・うたない人とバラバラです。【妊娠中】のインフルエンザワクチンは【安全】なのでしょうか。(相談者:20代/主婦)

A.「100%安全」とは言い切れないが、メリットの方が多い

まず、すべてのワクチンについてですが、「100%安全」ということはありません。すべての薬に大なり小なり、副作用などのデメリットがあるのと同じです。

デメリットを上回るメリットがあるから、それらの薬やワクチンがあるのだと理解していただければと思います。

ただ、メリットが想定よりも少なかった、ということで消えていくものもあります。インフルエンザワクチンについては、今後も【メリット】の方が多いと考えられます。

インフルエンザワクチンについて

結論から言えば、インフルエンザワクチンはうった方がいいと思います。実際、私も妊婦さんにすすめています。

ワクチンには、【生ワクチン】と【不活性ワクチン】があります。生ワクチンは、病原体(ウイルスなど)を弱めて、そのままワクチン化したもので、不活性ワクチンは死滅化した病原体、あるいは病原体のエンベロープ(殻)をワクチンに使うものです。

不活性ワクチンでは、病原体が不活化されているので、ワクチンを受けられた方が【病原体を排出すること】は【原則ありません】。お腹の中の【胎児に病原体が移行する】ということも【ありません】。

インフルエンザワクチンは、病原体の殻、すなわち表面抗原に対して免疫を作るようにできています。代表的な生ワクチンである、風疹ワクチンとはそこが違います。

ちなみに、【風疹ワクチンは妊婦さんにはうちません】。妊娠の予定がある方も同様です。

近年、風疹ワクチンを受けていない若い方が増え、風疹にかかる妊婦さんが増加しています。風疹ワクチンを受けていても、十分な抗体ができずに感染してしまう方もいます。

【風疹】は、妊娠初期に感染すると赤ちゃんに重大な障害を残すことがあります。自分は風疹ワクチンを受けたか、受けても抗体がちゃんとできているのか、【血液検査】で分かりますので、ぜひ調べてみてはどうでしょうか。

 

さいごに

インフルエンザワクチンをうったからといって、必ずかからないということはありません。ワクチンはあくまでインフルエンザウイルスの増殖を抑えるものだからです。

たとえ、かかったとしても【軽症で済む】、あるいは【発症しづらくなる】。ワクチンはそれが主な役目です。ですが、何もしていないと妊婦さんのインフルエンザは重症化しがちです。

ただ、インフルエンザワクチンは、その冬に流行しそうなウイルスの型を予想して作るので、予想外の型のウイルスが流行すると効果が無くなってしまいます。

ただ、複数の型に有効なように作られていますので、受けるメリットの方が大きいと思います。あまり心配なさらず、受けてみてはいかかがでしょうか。

【豊岡産科婦人科】基本情報

豊岡産科婦人科
院長:久田孝司
住所:旭川市豊岡4条1丁目1-10
電話:0166-31-6801

出典:asatan

 

※コラムの内容については、筆者の見解を尊重したものであり、すべての読者に当てはまるとは限りません。


この記事のキュレーター

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