2021年07月16日
巧みな技術で私たちの暮らしを支える職人たち。経験を重ねるごとに魅力を増す、技能の世界を紹介します。【詳細】産業振興課 65・7047
高校3年生のとき、地元である美幌町の土台工事会社で就業体験をしました。体を動かし、達成感を得られる仕事に引かれて、建築に興味を持ちました。北見市の道立高等技術専門学院に在学中、技能五輪の全道大会で4位になり、今の会社の社長に声を掛けてもらいました。
就職後も毎年応援してもらい、2年前は全国大会で銅賞に選ばれました。1㎜のずれも許されない世界です。課題を前に、加工の目印を付ける「墨付け」を体で覚え、何も考えず真っすぐのこぎりを引けるよう、3か月間練習しました。ビシっと決まると、気持ち良いですね。
会社では、一番年齢が近い先輩が後輩に教えます。怒鳴られるとか、背中で教わるのではなく、分かりやすく言葉で丁寧に教えてくれます。「分からないことは聞いて」と言われますが、やはり経験の世界です。先輩に教わったことを、自分でやってみて、相談して進めることを繰り返し、目の前の仕事を一つ一つできるようにしています。
ミスが続くとめげそうになりますが、「自分で選んだ道だから」「自分もできるようになる」と思うようにしています。ただ、心の休養は大事なので、何も考えない時間も大切にしています。
凸凹のない仕上がりや手触りなど、「良い物」ができると自信が湧いてきます。請け負った建物を一から十までできたら一人前かなと思います。そのためにも仕事をずっと続けて、どの現場でも通用する大工になりたいですね。
大工は人手不足のため、さまざまな仕事を任されます。自分のできる仕事が増えると、仕事の全体図が見えてきて、やりがいも大きくなります。自分の力量を知って素直に取り組むと、人付き合いもうまくいくし、成長できると思います。
職業能力開発施設や大学・専門学校などの建築課程で学び、工務店や住宅メーカーに就職するケースが多いです。棟梁への弟子入りや、実務経験を積んで二級建築士等の資格を取るパターンもあります。
道立旭川高等技術専門学院(緑が丘東3の2) 65・6667
建築大工石橋昂大(いしばしこうだい)さん
美幌町出身。道立北見高等技術専門学院卒業後、旭川の建設会社「広翔カワハラ」に入社。住宅の建築大工5年目。
この記事のキュレーター
File.No.01 建築大工
設計図を基に、木材を加工し、主に木造建築物を造る職業。木材に目印を付ける「墨付け」から正確さが求められます。棚などの内装を作る「造作」をこなす大工もいます。