2021年09月14日

【旭川の地酒】ひやおろしの美味しい楽しみ方

いよいよ今年も旭川の酒蔵から「ひやおろし」が出揃った!! 筆者も待ちに待った旬の酒をさっそく味わってみました。また、利酒師(ききさけし)の筆者による、美味しい呑み方アドバイスも。


ひやおろしって何?

冷たい大根おろし?
なんて見え透いた冗談は置いといて、「ひやおろし」とは冬に仕込んだ(造った)新酒をひと夏のあいだ貯蔵し、程よく熟成感が出てきたところで出荷する清酒のこと。
ざっくり言えばそんな感じでしょうか。

 

で、この手の記事では避けて通れないうんちくを少し。
ひやおろしの言葉の意味ですね。
ちょっと酒の製造工程の話になり恐縮だが、清酒は原料から絞り出してすぐに『火入れ(ひいれ)』と呼ぶ加熱殺菌を行い、さらに一定期間熟成させた後、出荷する際に2度目の火入れを行うというのが一般的(品質を安定させるのが目的)。

そんな中、あえて2度目の火入れを行わず出荷されるのが「ひやおろし」だ。火入れをしてない状態を蔵人は「ひや」と呼び、これを酒屋に卸す(おろす)ので「ひやおろし」とよばれるようになったそうな(諸説あり)。
秋に味が上がるので「秋上がり」なんて呼び名も。なかなか風流である。
これらは「純米」とか「吟醸」といった酒税に関わる言葉ではない、いわば愛称のようなものなので、国税庁のお達しによる統一はされていない。

旭川ひやおろしラインナップ

 

いずれも9月上旬に発売となったもの。おや、大雪乃蔵はラベルが新デザインになりましたね。

=それぞれの情報は以下の通り=

大雪乃蔵

■ 純米 大雪乃蔵 ひやおろし(季節限定)
【参考小売価格】720ml:1,183円/税別(数量限定)
【販売先】酒類販売店

 

男 山

■ 特別純米 ひやおろし(秋酒)
【価格】720ml:1,426円/税込(数量限定)
【販売先】酒類販売店、および同社直売所(旭川市永山2条7丁目)

 

高砂酒造

■ 純米酒 国士無双 ひやおろし
【価格】720ml:1,320円/税込(数量限定)
【販売先】酒類販売店、および同社直売所(旭川市宮下通17丁目)

 

おいしいの?

という、ざっくりとした質問には、まず「旨い!」ことを大前提に、「その味わいは独特」とお答えしておきましょうか。

 

搾りたて、かつ火入れをしていない生の酒は、強い香りや味わいが特徴。まあ、これはこれで旨いと商品化もされるが、これを火入れして(発酵を止める)時間を置く(熟成させる)と、粗い香味が抑えられ、酒質はまろやかに変化していく。このタイミングで出荷されるのがひやおろしだ。
熟成しきったというよりも冒頭で述べたように、熟成感が出てきたところなので、味わいは穏やかで比較的飲みやすいと言えよう。いわば「熟成途中」。それが「独特」の所以だ。

さらには、酒そのものの旨さに加え、この頃に出回る旬の味覚とも相性が良いという、ひやおろしの付加価値の高さは見逃せない。
鮭やサンマはまさに旬、キノコや野菜もますます美味しく感じられる時期となり、晩酌が楽しみである。。

楽しみ方いろいろ

旬の味覚を添えて

 

お馴染み「ちゃんちゃん焼き」。今回は酒との相性をより奥深く感じられるよう、野菜の種類を多めに作ってみた。

酒は「冷や」で。生鮭のふくよかな味わいと純米酒の柔らかな香味がよく合いますよ。また、前述で酒の味わいを「穏やか」と前述したが、ひやおろしは穏やかながらもしっかりとした旨味があるので、味噌の濃いめな香味をしっかりと引き立ててくれる。
まさに、相性ピタリ。

 

あっさりめに炊いた鶏レバーしぐれ煮と。
ひやおろしのまろやかな口当たり、そして後味の良さは、こうしたこってり系の料理にも合う。
今回は焼かなかったが、ひやおろしがあれば、サンマ(特にワタの部分)をきっと美味しく食べられそう。そんな予感がするのだった。

氷を浮かべて

 

酒が少し濃いなと感じる方は、ロックもおすすめ。
少しくらい薄くなっても味わいを損なわないのも、ひやおろしのいいところ。
口当たりがさらっとして飲みやすさを感じてもらえるはず。

※画像はイメージ
大雪乃蔵ひやおろしの飲み方、という意味ではありません

ちょっと温度を上げてみて

 

ひやおろしは概ね辛口タイプ。なので燗もおすすめ。
個人的には温めの感が良い感じ。香味ふくらみ、キレ(後味のすっきり感)も冴えてくる。
おかげで味の濃い料理との相性がますますアップ。

まずは1本おためしを

旭川の酒、旬な情報をお届けしました。
最後に、強いてまとめちゃいますと、何たって食事とよく合う! これがひやおろしの良いところ。
なので、気軽に1本。きっと楽しい食卓になると思います。
酒屋さんで見かけたら、ぜひ!


この記事のキュレーター

美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。

・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター