2021年10月09日
川のまち旭川市。美しい橋があるように、鉄橋風景だってまんざらでもありません。ということに気づいた、普段はもっぱら車両にレンズを向けている撮り鉄初心者の筆者が、市内の鉄橋をウォッチングしてきました。
地図を広げてみました。
市内を走る鉄道路線は、幹線1本(函館本線)および地方交通線が3本(富良野線・石北本線・宗谷本線)と、まさに旭川は鉄道のまちということが分かります。
その線路の下を流れるのは石狩川、忠別川、牛朱別川。川があって線路があれば、そこに鉄橋があります。
いざ、鉄橋ウォッチング!!
以下の章では、筆者による5つの鉄橋風景を紹介します。
所在地の表記については、鉄橋(川の上)を番地で表現してもピンと来ないので、分かりやすいよう、あえて「概ね」で表現したことをご了承ください。
また、鉄橋の構造などテクニカルな内容については、建設会社のHP、建設土木に関わる文献などと参考に執筆しています。
ところは近年、大規模に造成された宮前公園。広い芝地、近くには川も流れ快適です。「鉄」好き目線でいえば、線路を走る列車を間近に見られるポイントもあってエキサイティング。実際、それを目当ての親子連れなんかがいて、その光景はほのぼのとしています。
まずは下画像、旧神楽橋から撮ったものです。
そして次の画像が、前述「間近で見られる・・・」というところから撮ったもの。
富良野線を往復するキハ150形が、ゴーッと音を立て通り過ぎます。
この鉄橋は「桁橋(けたばし・けたきょう)」という構造。
桁とは柱と柱の間に水平に架ける部材のことを桁といいます。住宅建築に例えると梁(はり)みたいなものでしょうか。
桁の材質は、鋼鉄、コンクリートなどがあります。この点、詳しく説明するととても長くなるので、この位でご勘弁願います。
上の画像はコンクリート製なので「コンクリート橋」と呼ばれます。
橋長(鉄橋の長さ)はけっこうあって、川の上だけでなく河川敷のサイクリングロードの上を越して行きます。
ココ、真上に列車を体感できる面白い場所ですよ。
もちろん、下から丸見え。構造がよく分かる、インフラマニアには格好のアングルです。
国道39号線(大雪通)と動物園通りの交差点付近。大雪通に架かる橋から見た風景です。
向こうには旭川の中心街が見えます。ちょうど特急オホーツクが走っているので見せませんが、鉄橋越しに新築工事中の旭川市新庁舎が少しずつ大きくなっているのも分かります。
という感じで「都市」感のある風景が望めます。
また、ここは宗谷本線と石北本線で運用される列車が通るので、普通列車3車種、特急2車種が頻繁に往来。加えて、北旭川駅行きの貨物列車も通ります。さらに旭川駅と北旭川車両基地の間にあるので、函館本線で運用されるカムイ、ライラックといった特急列車、富良野線で運用される普通列車の「回送」がここを通るという、車両マニアには格好の撮り鉄ポイントでもあります。
この鉄橋も、前掲と同様の「コンクリート橋」というタイプ。
それにしても、橋脚のすすけ具合や川岸のコンクリートブロックとも馴染んで、なんとも言えない味わいがありますね。
なだらかな川の流れも相まって、のどかな空気を感じます。
さらに、大雪通の橋の上から、あるいは河原からは西の方角を望むことになるので、夕刻にはこんな風景との出合いもあります。
続いては、前掲のポイントから国道39号線を北上し永山に向かいます。
ところは北永山。牛朱別川分水路(通称:永山新川)とJR宗谷本線が交差する場所にあるのがこの鉄橋。これに平行して国道にかかる北永山橋から撮りました。駅でいうとJR永山駅と北永山駅の中間辺り。
構造は、前掲の2件とずいぶん違って見えますね。
これは斜張橋(ハープ橋)といい、塔から放射状に張ったケーブルから橋桁を設置したもの。吊り橋と前掲の桁橋が一緒になったカタチです。
景観的にも見ごたえのある素敵な鉄橋ですね。土木学会北海道支部技術賞を受賞したという優れモノだそうです。
市内で有名なツインハープ橋(車道の橋)は、いわゆるハープの両サイドに車道が通っていますが、こっちのハープ橋は、2列のハープの間に軌道が通っています。
柵が整備されていて、一見歩道の様にも見えますがあくまでも鉄橋、人の通行は断じて不可です。
前掲の川の上流に行ってみましょう。牛朱別川は石北本線と交わります。
東旭川のJR桜岡駅を、当麻方面に向かったすぐ近くにこの鉄橋はあります。
「第3牛朱別川橋梁」という正式な名前があるようですが、ピンと来ないので、筆者はいつも「桜岡の先の鉄橋」です(笑)。
はて、これは何。ずいぶんとシンプルですね。
おまけに電車の走らない石北本線は架電設備(列車に電気を送る電柱やら電線)がないので、やたらとすっきりとしています。
この鉄橋は先にも紹介した「桁橋」です。が、材質はコンクリートでなく鋼材が使われています。ガーター橋とも呼ばれるのがこのカタチ。
仕組みは鋼鉄の細長い板を2列立て、その間に路盤を挟んで設置する、分かりやすく言えばそんな感じです。
下からみるとより分かりやすいでしょ。
あ、けっして立ち入り禁止の軌道敷内に入って撮ったわけじゃないですからご安心を。鉄橋のかかる堤防は人が往来できるようになっていて、鉄橋の下を人や車両がくぐることもできるんです。
とまあ、そんな構造なので走る列車の車体は、下半分がすっぽり隠れてしまいます。
なので車両撮りにはちょっと残念だったり(笑)
この桁橋(ガーター橋)は、立てた2枚の鋼板の下部に挟むように線路が敷かれていますが、上部に載せて敷く構造の橋もあります。
旭西橋といえば、市の中心部から四条通を札幌方面に向かい、札幌方面への左カーブを曲が・・・らずに反対側の右カーブを進み少し行ったところにある、あの橋です。
そして、近文に向かう車線を行けば、左手に見えるのがこの鉄橋。
ここも「第2石狩川橋梁」という正式名称があるものの、筆者にかかれば「旭西橋んとこの鉄橋」です(笑)。
川幅の大きな石狩川に架かる鉄橋は橋長もかなりありますね。
そ、そのまえに不思議な構造。橋のカタチが札幌方面(向かって右)と旭川駅方面(向かって左)とでは違っていますね。
札幌方面は、前掲で何度も登場した桁橋(ガーター橋)という造り。主桁は鋼板による構造のようです。
旭川駅方面は、当記事初公開!「トラス橋」という構造になっています。
これは鋼材を三角形に組んで骨組み(トラス)にするというもの。軽量で頑丈なんだそうな。
これがトラス。この鉄橋は上下2本の線路が走っていて、各々にトラスが組まれているようです。
このように、鉄橋というのは適材適所、工夫を凝らした構造になっているんですね。
ちなみにこの画像は、鉄橋付近まで堤防を進んで行き撮ったもの。ですが、ヒグマ出没事件の影響で現在、この辺りは立ち入り禁止になっています。
鉄橋ウォッチング、いかがでしたか。
鉄道のまち旭川&川のまち旭川ならでは、また、新しいものあり、ノスタルジックなものありと、いろんな表情がありましたね。
だから、どうしろとかこうしろという話ではありませんが(笑)、わがまちの愛すべきインフラですもの。時にはちょっと足を止めて、眺めてみてはいかがでしょうか。
季節や時間によって、ちょっとドラマチックな景色を見られるかも知れません。
この記事のキュレーター