2019年12月17日

【旭川市】その血圧 放っておいて大丈夫?

皆さんは、自分の血圧をチェックしていますか。 高血圧などの生活習慣病は、自覚症状がないまま進行するため、「サイレントキラー」ともいわれています。さらに、生活習慣病が重症化し、狭心症等の虚血性心疾患や脳梗塞等の脳血管疾患にかかる方も多くいます。 今回は、高血圧の治療に携わる医師の長谷部直幸さんに、高血圧の原因や危険性について聞くとともに、予防方法などを紹介します。


もし高血圧と言われたら

日本には高血圧と診断された方が約4千300万人いますが、その中で、病院にかかっている人は約56%。
自分が高血圧と知りながら放置していることが問題で、正しくコントロールすれば怖い病気ではありません。
まさに「一病息災」の代表的な例です。

旭川医科大学教授
長谷部直幸さん

出典:こうほう旭川市民「あさひばし」12月号

 

高血圧って何?

心臓は1日に約10万回も収縮・拡張を繰り返し、血管の壁に圧力を掛けて全身に血液を送り出しています。
この圧力が「血圧」で、圧力が強くなり過ぎた状態が「高血圧」です。
今年新しくなった高血圧の分類と基準は下図のとおりで、正常高値から高値(120〜139/80〜89㎜Hg)以上の方は、高血圧へ移行する危険性が高くなります。

出典:こうほう旭川市民「あさひばし」12月号

 

どうして高血圧になるの?

血管の柔軟性が血圧に大きく影響します。柔軟な血管は、弱い圧力で血液を送り出せますが、血管が硬くなり柔軟性が失われると、強い圧力を掛けなければ血液を送り出せません。
不適切な生活習慣や加齢によって柔軟性が失われ、また、傷つきやすくなった血管に血中コレステロールが付着して、血管が狭くなっていくこと(動脈硬化)が原因です。

どのような危険があるの?

血圧が高い状態が続くと、動脈硬化が進み血管の抵抗が増えます。
そこに、強い圧力を掛けて血液を送り出すため、さらに血圧が上昇します。
高血圧と動脈硬化の状態が続くと、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳梗塞(脳の血管が詰まる)、脳出血(脳の血管が破れる)、腎不全等の病気を引き起こすこともあります。

高血圧を予防するには?

家庭で習慣的に血圧を測り、年に1度は健診を受けましょう。
また、日頃から野菜を中心とした食生活を心掛ける他、適度な運動を生活に取り入れましょう。
特に、旭川市民は塩分を多く摂取しているという調査結果もあるので、減塩を心掛け、高血圧と診断されたら、正しくコントロールすることが大事です。

旭川市の現状は?

旭川市国保特定健診受診者の4人に1人は高血圧と診断されています。
また、市民全体では、グラフのように虚血性心疾患で亡くなる人の比率が、国・道より高くなっています。

出典:こうほう旭川市民「あさひばし」12月号

 

特定健診でチェック

健診で異常を早期発見し、早めに対応することが大切です。
また、保健師などが健診結果についてアドバイスをします。年に1度は必ず健診を受けましょう。
【詳細】特定健診については国民健康保険課 25・9841、結果へのアドバイスについては保健指導課 25・6365

イベントでチェック~色々な機会に健康をチェックして自分の体を知りましょう~

市立旭川病院まつり

医療の知識や技術を知ってもらい、健康づくりのきっかけとなるよう開催

参加者の声

気になっていた血管の硬さを測ってもらいました。
減塩には気を付けているので、夫婦共に血管の硬さはほぼ実年齢で安心しました。
体の状態を知ることが大事だと思い、健診も毎年受けています。

ローソンde健康チェック

ローソンとの健康づくりの協働事業として開催

参加者の声

店の前で気軽に測定できるのが良かったです。
血管年齢は実年齢より5歳上。実は高血圧なので、薬を飲み、野菜を多く食べています。
妻はほぼ実年齢でした。これからも、健康に気を付けたいです。

出典:こうほう旭川市民「あさひばし」12月号

 

家庭でチェック~朝晩の血圧測定を習慣に~

家庭では135/85㎜Hg以上が高血圧とされます。
肘よりも上で測るタイプの血圧計を使用しましょう。
◦測定は1日2回
 朝(起床後1時間以内・排尿後・朝食および服薬前)と夜(寝る直前)
◦測定前に、1~2分間、座って安静にする
◦2回ずつ測定し、2つの値と共に 日時や測定前の状態(飲酒・入浴など)も記録する
◦低い値があっても、時々高い値が出る場合は、 医師に記録を見せて相談する
出典/日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編
『高血圧治療ガイドライン2019』ライフサイエンス出版

今日からできる減塩の工夫

・麺類の汁は飲み干さない
塩分が多く含まれる麺類の汁を飲む場合は、少量にしましょう

・みそ汁・スープは具だくさんに
野菜やキノコ等をたくさん入れることで、汁の量を減らせます

・みそ汁・スープの回数を減らす
1日3回なら2回に、1日2回なら1回に減らしましょう

・「かける」から「つける」へ
しょうゆやソース等の調味料は、直接かけずに小皿に入れてつけましょう

・風味や香りを活用する
塩分の多いしょうゆ等の代わりに、レモンや酢、香味野菜等を活用しましょう

・だしを効かせる
昆布やかつお節等でしっかりだしをとると、薄味でもおいしいです

減塩レシピ「焼きエリンギと小松菜のレモンマリネ」

エリンギは焼くと、うま味と香りがぐんと高まります
■材料■(1人分)
エリンギ50g、小松菜40g、
A【だし汁大さじ1/2、しょうゆ・砂糖・レモン汁・オリーブ油各小さじ1/2】
◆作り方◆
❶ボウルにAを入れ、混ぜ合わせておく
❷エリンギは縦半分に切り、アルミホイルを敷いた魚焼き器(またはオーブントースター)で軽く焼き色が付くまで焼く(弱火で4~5分)。焼き上がったら割いて長さを半分に切る
❸小松菜はゆでてから冷水に漬けて冷まし、5㎝程に切って水気を絞る
❹②が温かいうちに③と一緒に①に浸して、冷ます
❺汁気を軽く切って器に盛る
※42㎉・タンパク質2.3g・脂質2.3g・カルシウム69mg・鉄1.3mg・食塩相当量0.4g

出典:こうほう旭川市民「あさひばし」12月号

 

知っていますか 食生活改善推進員

「私達の健康は、私達の手で」を合言葉に活動する食生活改善推進員で構成される、旭川食生活改善協議会。
今年で設立40周年を迎え、減塩料理をはじめ、食生活に関わる講話や調理実習などを開催しています

出典:こうほう旭川市民「あさひばし」12月号

 

保健師・栄養士による「出前健康講座」

市では、町内会やサークル、企業等に保健師・栄養士が出向く「出前健康講座」を行っています。血圧や血管年齢を測定し、生活習慣病等の予防について話します。

おわりに

放っておくと、重篤な病気を引き起こすこともある高血圧。
高血圧を防ぐためにまずは健診等で自分の健康状態を知り、塩分を控え、野菜を多く食べるなどの食生活を心掛けることが大切です。健康のため、適切な生活習慣を身に付けましょう。
【詳細】保健指導課 26・2397


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