2023年09月13日

旭川産サツマイモ おいしく成長中!

焼き芋やスイートポテト、天ぷら…。秋の味覚といえば、サツマイモ。近年、旭川市でも生産量が増えているのをご存じですか?注目される背景やおいしさの秘密を紹介します。【詳細】農業振興課 25・7470


寒冷地の旭川でサツマイモが栽培されているって本当?

サツマイモは寒さに弱く、国内の主産地は鹿児島県や茨城県など関東以西です。従来は東北南部が北限とされてきましたが、温暖化の影響もあり、徐々に栽培地域が北上。需要が堅調な作物で輪作も可能なため、注目されています。市内では令和2年頃から本格的な栽培が始まり、今では30人以上の生産者がいます。

本州のサツマイモと違う特徴は?

本州の主産地に比べて収穫までの積算気温が低く、品質にも違いが生じます。でんぷん量が本州産より少なめで、ほくほく感はないものの、加熱による糖化が進みやすい特徴があることから、ねっとりとして非常に甘いサツマイモになります。これは近年の消費者の嗜好にも合っています。
※積算気温…苗を植えてから収穫までの、1日当たりの平均気温の合計

市と農業センターではどんな取組みをしているの?

市では機械導入費用などの一部補助やPRを通じ、JAや農業者による生産拡大を後押ししています。農業センターでは技術面から支援をしており、令和2年度からサツマイモの栽培試験を行っています。近年は需要の高まりから苗の確保が難しくなっているため、今年度から、寒冷地でも生産者が苗を増やせるようにするための試験を開始。「旭川版自家増殖マニュアル」の作成を目指しています。

旭川市農業センター 黒田裕一さん

昨年発表された寒冷地向け新品種「ゆきこまち」の生育も調査しており、今後は、市内での適応性や品質等について生産者に情報提供していきたいです。これからも品質が良く、おいしい旭川産サツマイモの生産安定のために頑張ります。

米作との相性も抜群 旭川から世界へ

JA東旭川さつまいも部会長
鹿野 剛さん

 

 もともと米のみを栽培していましたが、父から経営を引き継ぎ「新しいことに挑んで農地を守りたい」と考えました。その作物を探していたときに、JA東旭川からサツマイモを提案されたのが栽培のきっかけです。主産地では病害で大変だと知っていたので、「北海道産で需要があるなら面白い」と思いました。調べてみると、サツマイモは稲刈りの後に収穫するなど、米作と作業がかぶらず手間が少ないと分かりました。1年目の令和2年にJA東旭川管内の農家4軒で試験栽培を開始。主要作物の米に一点集中するだけではなく、JAとしても目玉となる高収益作物を求めていたので、お互いに手探りで挑戦。売り先も確保していただき、円滑に進みました。
 今では旭川でもサツマイモを栽培しやすくなりましたが、やはり旭川は寒冷地のため、生産の安定には、必要な積算気温に達しているかを注視する必要があります。また、春と秋の霜にも要注意です。旭川を産地化させるには、質の良い苗の安定供給が鍵になります。
 サツマイモは、旭川の新しい特産になり得ると思います。昨年から東南アジアに輸出していますが、海外で焼き芋は大ブーム。また、幅広い料理に使えるため、可能性が広がります。
 JA東旭川が、市内で最も早くサツマイモ栽培に取り組み始め、今では、他のJAにも広がっています。今後は地域全体が協力して、例えば「北限のサツマイモ」とアピールして仲間を増やしていきたいです。

 
 

市内で栽培されている主な品種

べにはるか

貯蔵性が高く、貯蔵中に糖度が上がり、味の良い焼き芋や干し芋になります。甘みが強く、ねっとりとした食感が特徴です

シルクスイート

比較的新しく登場した品種です。絹(シルク)のように滑らかな舌触りと、しっとりとした甘さがあり、近年人気が高まっています

食卓でも幅広く活躍 手軽なレシピ

JAあさひかわ女性部永山支所
みそ汁キャラバン隊 
代表 鶴間智子さん

 

 JAあさひかわのさつまいもブランド化プロジェクトの一環で、農家の女性5人による「みそ汁キャラバン隊」でレシピを考えました。アイデアの源泉は「ジャガイモ料理を応用しよう」というもの。ごはんやコロッケに使っても他の食材の邪魔をしない、パウダーを使用したポタージュは離乳食や介護食にも合うなど、発見がありました。忙しい家庭でも作れるよう手間の少なさを心掛けたので、お試しください。

JAあさひかわ女性部永山支所
みそ汁キャラバン隊
山川八重子さん

 

 サツマイモ料理は甘みが強く出てしまうかなと思いましたが、しょうゆや塩、こしょうなどの調味料を効果的に使えば、普段の食卓で楽しみやすくなると分かりました。ジャガイモにはない自然な甘みや粘りのおかげで、餡作りに最適。今回のレシピで一押しの「さつまいもおはぎ」やジャムなどにアレンジしやすかったです。旭川産のサツマイモを広げていくため、料理方法の情報を充実させていきたいです。

さつまいもご飯

 

さつまいもコロッケ

 

さつまいもポタージュ

 

さつまいもおはぎ

 

考案したレシピを公開中!

 

良質な旭川産に出合い 秋の看板商品が進化

壺屋総本店の秋の代表作「栗金時」。サツマイモのような見た目で、滑らかな餡にはシナモンも香ります

 
 

壺屋総本店
代表取締役社長 村本暁宣さん

 

 旭川産べにはるかと出合い、20年以上も親しまれている人気商品「栗金時」を9月にリニューアルして販売しました。従来は九州や関東産でしたが、より良い原料を求めて数年前から地元産を探していたところ、市を通じてJAあさひかわを紹介され、昨秋1300㎏を供給していただきました。おいしくなった旭川産サツマイモの魅力を知ってもらえるよう貢献したいです。今後の生産拡大に期待しています。

壺屋総本店
和菓子職人 早川啓二さん

 

 旭川産べにはるかは、くどくない上品な甘さがあり、滑らかな食感です。ねっとり感が特徴で、従来の道外産ベニアズマのほくほく感との違いがはっきり表れています。栗金時は、サツマイモと栗を合わせた餡を生地で包んだ和洋折衷の菓子です。今回のべにはるかは水分量が多めなので、蒸し時間を短くして、しっかり乾燥させるなど工夫しました。おいしくなった今年の栗金時を、ぜひ味わってください。


この記事のキュレーター