2020年01月20日

旭川発【旬のにごり酒】甘酸っぱくて美味しい2本を紹介

ここは地酒蔵のあるまち旭川。冬本番を迎え、新酒の発売がいよいよ盛んです。そのなかでもちょっと面白いのが「にごり酒」。先頃、旭川の酒蔵から発売になった2本をテイスティングしてみました。


にごり酒って何?

早い話が、白くにごった日本酒のことなんですが、ほんのちょっと説明を。

日本酒は、通常、発酵させた原料(米と麹が溶けて白くどろどろしている)を搾り(しぼり:材料から液体を搾り出すこと)、澄んだ状態にして瓶に詰められます。なので透明。

これに対し、にごり酒は、原料の風味を味わいに加えて楽しもうという趣向のもとに、あえて濾過の度合いをゆるめ、前述の白い原料をちょっと残してるんですね。だから濁ってる。

Photo:KOTA

 

それって、どぶろくのことでしょ。
ひょっとしてそんなふうに思ってませんか。
それはそれ。ここで言うにごり酒とは別物です。どぶろくとは、搾っていない状態の酒を言います。税法上でも別なものとして扱われます。

税法とか面倒な話はさて置き、あえて原料の風味を増した酒とはどんな風味なのか。タイプの違う2本を紹介します。

純米酒 国士無双 新酒にごり

まずは高砂酒造株式会社(旭川市宮下通17丁目)が発売するにごり酒から。

Photo:KOTA

 

ほどほど冷たくして頂くと美味しいかと思います。
その外見から、まったりと濃そうな感じがしますが、実際はまるで逆。
ややとろみのあるなめらかな舌触り。さらりと甘酸っぱい風味が口に広がります。

甘いと言っても、べたっとした甘さじゃない。これぞ素材(米)の旨味。
のど越し、後味とも爽やかで、すいすいと飲み進んでしまいます。
といってもこれは日本酒(アルコール14度)。口当たりがいいからといって、飲み過ぎにはご注意を。

Photo:KOTA

 

原料(もろみと呼ばれる)が沈殿している様子。
飲むときには瓶を軽く振ってこれを混ぜまずが、その前に、澄んでいる部分を味見してから、にごったものを飲むのも一興。
味わいの違いが分かります。

Photo:KOTA

 

720ml、1,200円(税別)
酒類販売店、および同社の明治酒蔵(宮下通17丁目)直売所で販売中(数量限定)

店名:高砂酒造直売所
住所:北海道旭川市宮下通17丁目
電話:0166-22-7480(直売所直通)
営業時間:9:00~17:30
定休日:なし
駐車場:あり

男山 冬季限定 生にごり酒

続いては株式会社男山からの1本。こちらはかなり特徴的。
何たって炭酸の効いた、これが日本酒?と思わせるピリリとした口当たり。

Photo:KOTA

 

口に含み、よくよく味わってみれば、前掲の国士無双同様、にごり酒らしい甘み、酸味が実にマイルド。一瞬、乳酸飲料を口にしているかのように見まがう美味しさです。

アルコール度数は12度と、日本酒としては軽め。ちょうどスパークリングワインと同じ位ですね。だからなおさら飲みやすく感じるのかも。

ところで、どうしてシュワシュワしてるんでしょう。

製造工程で、醪(もろみ:前述の原料のことですよ)が発酵すると炭酸ガスが発生します。
この酒は生酒。つまり瓶の中に生きた醪が含まれているので、酒は発泡するという訳。

瓶の中はガスが充満しています。
だから、ほら、こんな注意書きが。

Photo:KOTA

 

これ、脅しじゃありませんよ。景気よく開栓すると大変です。
キャップをほんの少し開け閉めしながら、ちょっとずつガスを抜くのがコツ。そうして開栓すれば安心です。

Photo:KOTA

 

500ml、1,100円(税込)
男山酒造り資料館売店限定販売

店名:男山酒造り資料館
住所:北海道旭川市永山2条7丁目1-33
電話:0166-48-1931
営業時間:9:00~17:00
定休日:なし
駐車場:あり(50台)
入館料:無料

カジュアルに楽しもう

Photo:KOTA

 

口当たりの軽い、甘酸っぱい酒は、ハムやチーズといったオードブルと相性が良く、相互に味わいを高め合います。
手軽なオツマミを用意して、カジュアルに楽しんでみませんか。


この記事のキュレーター

美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。

・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター