2024年05月20日
ちょっとマニアックな連載『フォト散歩』。今回のターゲットは「歩道橋」だ。 市民の安全な暮らしに必要な社会資本のひとつだが、移動にはもっぱらクルマや自転車を利用する筆者は、日常ほどんど触れるこもなく、いつもはその下をくぐり抜けるだけ。ということで、筆者が歩行者目線でじっくり観察、さらに実際に渡ってみた、道路の上から見える非日常な視界もお届けする。加えて歩道橋のウンチクも。
歩道橋(正しくは横断歩道橋)は、車道や線路を越えるために架けられた、歩行者・自転車専用の橋。
自動車が著しく発展する1960年代、多発する交通事故から歩行者を守るため全国で整備が始まった。
一時は全国で多数取り付けられたが、その後は減少の一途にあり、現在ではその数1万1千基余(国交省 2022年度)。
参考:国交省「横断歩道橋撤去に向けた取り組み」
ちなみに、国内初の歩道橋は、1959年(昭和34年)、愛知県西枇杷島町(現:清須市)に設置された「学童専用陸橋」とされる。当時、全国有数の交通量があった国道が町の中心を貫いており、近隣の小中学校の通学児童・生徒も自動車にはねられる事故が多発。その対策として考案されたとのこと。
参考:Wikipedia
しかし近年、歩道橋は老朽化の一途にあり、社会情勢の変化に伴うニーズの低下など、その在り方が問われている。これについては後編で。
では、次章より、歩道橋ウォッチングをご覧あれ。
所在地は、市内中心部の4条通5丁目。
さんろく街を貫く国道12号線に架かる。
12号線は札幌と旭川を結ぶ北海道の大動脈。それゆえ車の通行量は著しい。
かつ、最寄りには旭川市立日章小学校があり、前書きで説明した、児童の安全を守るための歩道橋というイメージが合致する。
ちなみに、『日章』は地名でなく小学校固有の名称。日章歩道橋はまさに子供たちのために造られたというストーリーが成り立つ。
4条通左の階段
4条通右、国道側の階段
4条通右、さんろく側の階段
歩道と橋をつなぐ階段は、上画像の3基と、なかなかマルチな造りになっている。
昔は、周辺も賑わい多くの歩行者を見込んだものと思われるが、今では付近を歩くヒトもちらほら。
よく見ると、階段の側面はけっこう錆びている。
歩道橋は、ちょうど交差点に接する場所にあるので、上画像のように、信号や交通標識が取り付けられている。
いわゆる、都市機能の合体ですな。
橋桁の床版は、滑りにくいマットが施されていた。
階段が錆びていたことから、それなりに古いことは見て取れるが、随時、必要な改修は施されているとみえる。
橋の上から6丁目方向を望む
上画像/ 市中心部を望む。おおっ、17丁目の跨線橋までなんとなく見える、よい景色。
で、このあたり、歩道橋があるから、当然、路面に横断歩道はない(かつ横断禁止の標識も)。
が、これがクセもの。5丁目には歩道橋の階段があるが、6丁目にはない。
中心街をもっぱらの活動エリアとし、この辺りを時折歩く筆者は、これにけっこう難儀している。
橋の上から5丁目方向を望む
上画像/ いわゆる深川・札幌方面。
車が高速で通り抜ける。横断歩道がない分、車も安心して走れるというのも、歩道橋設置のメリットだ。
なので、その下をコソコソと渡ったりするのは、非常に危険なことと覚えておいた方がよい。
所在地は国道40号線、花咲町6丁目あたり。
付近には藤星高校、そうそう、最近では無印良品が開業した所といえばピンと来るだろうか。
どう撮っても、歩道橋と無印良品(看板)の一体感がすごい(笑)
それはともかく、橋が道路を跨り、その両サイドに階段という、よくある歩道橋のカタチとはちょっと違う。と、お気づきになった方は鋭い。
これは、1基で道路2本に橋が架かっているという、マルチな構造だ。
出展:Google
上画像。右上から左下に伸びているのが国道40号線。これに橋が架かり、さらに、画像左上側から国道にぶつかる道路にも橋が架かっているのが分かる。
さて、実際に渡ってみましょうか。
おっと、塗装がはげてサビが剥きだしている。生徒たちが気持ちよく登下校できるよう、改修していただきたいもの。
橋の上部は、ところどころにサビがあるものの、特段、痛んでいる様子はなく、安全には問題なさそう。
橋の上から市中心部方向を望む
橋の上から末広、東鷹栖方面を望む
こうしてみると、国道40号って、やっぱり広いな。しかも、取材中も車の往来がひっきりなし。
こりゃ要りますわ、歩道橋。橋の下の道路は変則の交差点になっていて、どのみち赤信号で車は止められるという状況。だからといって横断歩道を作れば、結局は歩行者と車の接触事故の可能性は否めない。
普段、筆者はクルマ側。そういう視線で改めて付近を見てみれば、歩道橋の存在はじつに頼もしい。
所在地は、国道237号線、神楽4条4丁目あたり。
付近には旭川信金神楽支店、交番もある。
忠別橋側から。カーブの途中に歩道橋がある。
平成になり、市中心部と国道237号線を結ぶ橋が2つ、立て続けに架けられたこともあり、車の通行は減ったと言われるが・・・。
前掲、花咲横断歩道橋と同じく、この歩道橋も1基で道路2本に橋が架かり、Tの字交差点での歩行者の安全を確保している。
橋の上から市中心部方向を望む
橋の上から神居方面を望む
上の2画像を見ると分かるが、ここから両側100メートル程のところそれぞれに横断歩道がある。
最寄りに学校は見当たらず、実際のところこの歩道橋の利用頻度やいかに、という気にはなる。
歩道橋の塗装色。
前掲の3基はすべて淡いクリーム色だが、そうせよと何か決まり事でもあったのだろうか。
だが筆者には、他都市で、薄いブルーや若草色の歩道橋を見た記憶も。
ググってみると、実際にそうしたものは存在し、ある町など、歩道橋の階段を虹のような七色に!!
なので、ちょっと調べてみたら・・・
国が、都道府県や市町村、道路公団に示した「立体横断施設技術基準および道路標識設置基準」によれば、「横断歩道橋の色彩は、周囲の環境と調和するように十分考慮して選定しなければならない。なお、交差点付近では信号とまぎらわしい色彩はさけなければならない」そうな。
あくまで筆者の推論として・・・
旭川ではたまたまクリーム色。順に設置されたものも前例に従うのが宜しかろう的に、同じ色に塗られた、というところか。
今後、改装の予定あらば、デザイン都市らしさで魅せてほしいもの。
この記事のキュレーター
深川方面より市内中心部を望む