2024年10月02日

旭川発【乗り鉄】秘境「塩狩駅」を訪ねて

廃駅の憂き目に遭いつつも町の尽力で存続となった和寒町「塩狩駅」を訪ねました。今年、開駅100周年を迎える同駅の、今をレポートします。


塩狩駅について

 

塩狩駅は、上川管内和寒町にある、宗谷本線の無人駅だ。
旭川駅発の名寄行き普通列車に乗り、40分ほどで塩狩に到着する。

開駅は1924年(大正13年)。長い歴史を積み重ねるも、JR北海道は令和3年の廃駅予定にリストアップ。
これに対し、その価値を重視した地元自治体である和寒町が、町による駅舎の管理を申し出、駅は存続することに。
その甲斐あって今年、開駅100周年という大きな節目を迎えた。

所在地は、その名の通り和寒町の塩狩峠に。
すぐそばを国道40号が走るが、宿泊施設、三浦綾子氏の小説「塩狩峠」の記念館があるだけで、付近に住居や施設などはほどんどない。

塩狩へ乗り鉄&呑み鉄

 

9月某日。
12:33発名寄行き普通列車に乗車。
これを含め、塩狩に停まる便は1日8本。

 

車窓から見える街。
いつも活動している場所が、たまに乗る列車から見ると、なんだか新鮮。

 

必須アイテムはこれ。
塩狩まで乗車時間は約40分。1時間にも満たないが、呑み鉄を決め込む。
けっこうな乗車率、周りの乗客はそれぞれにごく日常的な雰囲気。
その中で飲酒はちょっと勇気が要るが、どこでも旅行気分になれるのは我が長所(笑)

 

旭川四条駅、新旭川駅に停車、そして北旭川駅(貨物専用)を通過。いつも遠巻きに眺めるしかできない貨車群も、車内からはこんなに間近に。

 

永山駅を過ぎれば、車窓に広がる田園風景。
稲刈りも終わり、すっかり秋ですなあ。
などと、次第に高まる旅気分(笑)

 
 

そして、列車は北永山を通過し、比布、蘭留に停車しながら進む。
ちなみに、ほんの数年前には比布駅の上り側と下り側には南比布駅、北比布駅があったが、両駅とも廃止となった。

 

列車は単線を行く。
車両のすぐそばまで、林の枝や葉が迫る。
さあ、列車はいよいよ塩狩駅に到着だ。

秘境駅を散策

 

13:07 塩狩駅着。先を行くH100型を見送る。
降り立ったのは我々だけ、
車で訪れた観光客がひとりいたが、駅舎をちょっと眺めて立ち去った。

 

駅構造は、千鳥式ホーム・2面2線。プラットホームは砂利敷きだ。
両ホームは板敷の踏切で結ばれ、その両サイドには遮断機が設置されている。
向かって左の線路が、駅舎側、名寄方面くだりの1番線、向こうが旭川方面のぼりの2番線だ。
現在、往来する列車のほとんどは、1番線のみを使用している。

 

踏切から駅舎方向を望む。
1番線と2番線の間がガランと空いているのは、かつて、そこに待避線が1本あったため。

 

木造駅舎は、待合室のみが開放されている(向かって右がわの両開き扉)。
右端に突き出た小さな小屋はトイレ。僻地にある無人駅は、多くが防犯のためトイレを閉鎖しているが、同駅は使用可能。

 

上は、待合室の様子。
塩狩駅に関するパネル展示や、JR北海道による塩狩駅100周年事業のPRポスターなど、この部屋だけ、観光ムードというか、テンションが高い。

 

おおっ、フリーWiFiが使えるとは。和寒町もやるもんだ。
そもそも、駅を存続させようなんて、その行いからして粋である。
がんばれ和寒町。

 
 

2番線の背後に広がるのは、和寒町の名所のひとつ「塩狩峠一目千本桜」。
春には桜の花が咲き広がる絶景スポットなのだ。

 

ということで、桜は咲いてないが一目千本桜のベンチでお弁当タイム。
実は、このミッションが最大の目的だったりするのである(笑)
なんか茶色いけど(笑)酒に合うものを厳選。そよ風の中で飲むお酒は、実に格別。

塩狩峠記念館も

 
 

塩狩駅のすぐ近く(徒歩1〜2分)には、かの三浦綾子さんゆかりの施設「塩狩峠記念館(三浦綾子旧宅)」が。
三浦綾子さんの旧宅を復元した館内では、小説「氷点」を執筆したとされる部屋や、小説「塩狩峠」に関する資料を展示。

帰り道は逆方向 !?

さて、周辺散策も終え、お弁当も平らげたのでお開きにしましょうか。
といっても、ここから旭川に向かう列車が来るのは17時19分。現時点で待ち時間は3時間と、ちとキツい。列車が来る頃には暗くなってるだろうし。

という時に、名案あり。
時刻表によれば、ほどなく旭川の反対方向、和寒に行く列車があるので、まず和寒へ。
そこで一転、15:21発の旭川行き快速に乗っちゃおうというもの。

 

ということで、初めて降り立つ和寒駅。
ドライブの道すがら、ジンギスカン肉を買ったり、あの有名なラーメン屋に行ったり、ということはあるが、自分の足でまちをちょっと歩いてみると、それとは違う感慨がじんわりと。

 

駅舎内では、JR北海道さんが、例のPRに余念のないご様子。
だが、当の和寒町で記念入場券が買えないのは残念。

 

で、作戦通り、15:21発の旭川行きに乗車。
帰路、車窓から改めて塩狩駅を眺めながら、別れを告げた筆者なのだった。

旭川には15:55着となる。
ちょっと急ぎ足な感も否めないが、ほどほどに充実した時間を過ごすことができたと思われる。

さらには、筆者、不勉強につき、ひたすら恐縮だが、塩狩は三浦文学の、まさに現場なのですね。思い返せば、改めて感慨深い。

今回の経費

今回のJR運賃は・・・

旭川ー塩狩 750円
塩狩ー和寒 300円
和寒ー旭川 860円

ほか、お弁当と酒代。こっちの方が高くついた(笑)


この記事のキュレーター

美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。

・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター