特徴的な技法で知られる八雲町出身の【柴崎重行】
柴崎重行(しばさき しげゆき、1905年~1991年)は北海道山越郡八雲町生まれの 木彫り熊の彫刻家です。
彼の特徴的な技法は、戦後に生み出された手斧で割った面を主として彫る「ハツリ彫り」です。このハツリ彫りによる木彫り熊は、その独特の作風から「幻の熊」とも呼ばれ、コレクターの間で非常に人気が高く、入手困難な作品となっています。銘は「志化雪」「志化」「志」と変遷しました。
1924年には八雲村農民第1回木彫講習会に入会し、1928年には八雲農民美術研究会の発足にも関わりました。1970年代には東京で展覧会に出品し、1979年には「柴崎重行展」が開催されるなど、その活動は広く知られました。1981年にはNHK総合で更科源蔵との「原野に彫る」が放映されました。
初期には具象的な熊の作品も多く残していますが、後年は毛並みを細かく彫らない抽象的な作品へと重心を移していきました。彼は単なる民芸品ではなく、アートとしての木彫り熊を追求し、人里離れた山林で黙々と熊を彫り続けた人物として知られています。彼の作品集「PENKERU」も出版されています。
近年、八雲町の木彫り熊は、その芸術性が再評価され、再び脚光を浴びています。その中でも、柴崎重行の作品は、八雲木彫り熊の歴史において重要な位置を占めるだけでなく、日本の木彫り芸術全体においても特異な存在として評価されています。
柴崎重行は、木彫り熊を単なる土産物ではなく、芸術作品へと昇華させたパイオニアの一人と言えるでしょう。その力強くも温かい作品は、今も多くの人々を魅了し続けています。
現在の取引額は数十万円
独自の芸術世界を切り拓いた旭川出身の【砂澤ビッキ】
砂澤ビッキ(すなざわ びっき、1931年 -~1989年)は、北海道旭川市出身の著名な彫刻家です。本名は砂澤恒雄ですが、幼少の頃からの愛称である「ビッキ」(アイヌ語で「カエル」を意味します)で知られています。
1931年に旭川の近文コタン(現旭川市)でアイヌの家庭に生まれました。22歳で木彫を始め、鎌倉に移住してモダンアート協会に所属。読売アンデパンダン展などにも出品し、注目を集めました。
1959年に旭川に戻り、その後札幌にアトリエを構えます。1978年には上川地方北部の音威子府村筬島(おさしま)に移住し、廃校になった小学校をアトリエとして、亡くなるまでの約10年間、精力的に木彫作品の制作を行いました。
彼の作品は、土産物の木彫から出発しながらも、大胆かつ繊細、原始的でありながらモダンな独自の作風を確立しました。自然や生命を主題にしたものが多く、その作品は国際的にも高い評価を得ています。北海道を中心に多数の屋外彫刻も手掛けています。アイヌ民族の出身でありながら、「アイヌ芸術家」という枠にはめられることを嫌っていたと言われています。これは、旭川でアイヌ民族が置かれていた複雑な歴史的背景に根ざしていると考えられます。彼の作品は、単にアイヌ文化を表現するだけでなく、普遍的な生命や自然への問いかけが込められています。
北海道立旭川美術館などに多くの作品が所蔵されており、「ニツネカムイ」「午前3時の玩具」「集吸呼 A.」「鳥の巣(椅子)」「四季の面」「風の王と王妃」といった木彫作品のほか、鉛筆や水彩のドローイングも残されています。
砂澤ビッキは、アイヌ文化を背景に持ちながらも、その枠に留まらない独自の芸術世界を切り開いた、日本の現代彫刻を代表する作家の一人です。
現在の取引額は数十万円
素朴で温かみのある木彫り熊で知られる八雲町出身の【加藤貞夫】
加藤貞夫(かとう さだお、1926年 ~ 2013年)は、北海道八雲町出身の木彫作家で、特に「木彫り熊」の分野で知られています。彼は自らを「熊大工」と称し、素朴で温かみのある作品を多数残しました。
1926年に北海道八雲町に生まれました。若い頃に神奈川県湯河原町で指物師(家具職人)の技術を学び、その後八雲鉱山で働きました。1960年頃から木彫り熊の制作を始め、八雲町で木彫り熊の第一人者として知られる茂木多喜治のもとで技術を磨きました。1968年には本州へ転勤となりますが、その際、師である茂木から彫刻刀を託され、離れた場所でも木彫りを続けました。1975年頃に早期退職し、故郷の八雲町に戻ってからは、木彫り熊の制作に専念するようになります。
2010年には上海万博の日本館に、ブドウの木に登る熊の作品が展示され、国際的にもその作品が紹介されました。
加藤貞夫は、木彫り熊という伝統工芸の枠を超え、芸術的な価値を持つ作品を生み出した、日本の木彫界における重要な人物の一人です。彼の作品は、八雲町木彫り熊資料館などで見ることができます。
現在の取引額は数十万円
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