2022年07月17日
今年、市制施行100年を迎える旭川。そこで今回100年以上の歴史を持つお店や施設にインタビューしてきました。昔の人はどう働いていて、どのようにお店を守って来たのでしょうか?※この記事は過去にasatanへ掲載した記事を再掲載したものです。
もともとは香川県で製糖をなりわいとしていた一族でしたが、外国の安価な砂糖が輸入されるようになって経営が悪化して…。新天地で新しいことを始めようと、旭川に移住したようです。
この店を始めた祖母のタネさんは、実業家の鈴木亀蔵さん一家と親しかったと聞いています。おそらくこれがきっかけだったのでしょう。
【現在は酒類が中心】ですが、昔は生活用品全般に加え、【販売許可が必要だった塩やたばこ】を取り扱っていたそうです。酒・塩・味噌・油は、樽や缶などで量り売りしていました。
そのほか、竹ぼうき・ざるなどの荒物や、包丁・鍋といった金物、さらには【土管】までも販売していたと聞いています。
1955年頃、新年に撮影された初代の店舗の様子。現在まで同じ場所で、人々の生活を支え続けてきた/出典:坂東商店
現在の坂東商店/出典:asatan
1990年頃のバブルの崩壊からは苦労が多くなりましたね。景気の悪化はもちろんですが、この頃は【コンビニやスーパーが急に増えた】ので、若いお客様がずいぶん減ってしまいました。
それでも、【高価な日本酒や珍しいウイスキー】といった、個人店だから扱える商品もあり、それを目当てに来てくれるお客様に支えられてきました。
コツコツと地道に続けていく精神です。創業以来、事業の展開や店舗を増やすことはしてきませんでした。おそらく、【店主自らが店に立ち続けること】で、【お客様が安心して買い物に通える】という考えがあったのではないでしょうか。
今でも老舗だから信頼してきてくれるお客様も多いので、これまでと同じように店を続けていくことが私の使命だと思っています。
坂東商店
住所:旭川市大雪通6丁目
電話:0166-23-5841
営業時間:9:00~20:00
定休日:日曜日
駐車場:あり(2台)
5代目 前川俊哉さん/出典:asatan
創業者は【佐々木源吾さん】という方で、『マルサ旭園』として始めた店を、私の曾祖父 岩次郎さんが【譲り受けた】そうです。
その理由はわかりませんが、お茶が現在よりも飲まれていた時代でしたから、将来性を見込んで始めたのではないかと思います。
当初の1番のお得意様は第七師団の方々だったそうですよ。
実は旭川市で最初にコーヒー豆の取り扱った店で、1925年頃から販売しているそうです。
圧倒的に茶葉の方が売れたようですが、日本でコーヒーが普及し始めた1961年には、販売から得た知識をいかして【喫茶店の営業を開始】しました。
お茶の人気が再燃した1960年からはお客様が【持参したボトルに給茶するサービス】も始めました。
1940年代の様子。110年にわたって人々の往来を眺めてきた店舗は現在、左半分が『喫茶店マルサ』になっている/出典:旭川市中央図書館
現在の前川茶舗/出典:asatan
まさに今が大変で、ペットボトル飲料などで手軽にお茶を味わえるようになったからか、旭川でも急須などの茶器を持たない家庭が増えているんですね。
これを受けて、【いれたてのお茶のおいしさ・奥深さを伝える】ために、【道具がなくても作りたての味が楽しめる抹茶を開発】しました。
この店は時代に合わせて【販売するお茶の種類】を増やしたり、【様々なサービスを】取り入れたりしてきました。
これまで通り、【その時々の流行を読み】、そのうえでこれからは新しい風を起こすような【商品・企画の展開をしていきたい】ですね。
最終的には、【旭川を元気付けられるような店】にしていきたいと考えています。
前川茶舗
住所:旭川市5条通8丁目
電話:0166-23-2072
営業時間:茶舗10:00~17:30/カフェ9:00~18:00(土・日曜日、祝日9:30~17:30)/バー20:00~24:00
定休日:不定休(バーは水曜日定休)
駐車場:なし
この記事のキュレーター
3代目 坂東博道さん/出典:asatan