2025年08月09日
本市でも、人生の最終段階の時期を、住み慣れたご自宅等で過ごす方が増えています。ご本人が希望する医療やケアを受けながら安心して過ごすことができるよう、寄り添い、支える医療専門職が活躍しています。今回は、在宅医療の現状と、訪問診療医、訪問看護師や医療分野を志す方々の思いをお伝えします。 【詳細】保健総務課TEL25・8339
自分らしい生活を続けられるよう、療養しているご本人の日常生活を支える医療のことをいいます。在宅医療では、病院や診療所と同様の医療サービスを自宅等※で受けることができます。
※自宅、有料老人ホーム、グループホームなど
医療・介護ニーズを有する85歳以上の高齢者の増加によって、全国的に在宅医療の需要が高まっています。
国では、2020年から2040年にかけて、85歳以上の在宅医療の需要が62%増加すると想定しています。本市における死亡場所の推移をみると、自宅等で亡くなる方が10年間で約2倍に増加しており、今後もさらに伸びていくと予想され、在宅医療の需要がますます高まる見込みです。
「在宅医療を受けたい」「どのような支援を受けられるか知りたい」方はまずは主治医へご相談
ください。
また、本市では在宅生活を継続するための医療・介護サービスを利用したいときの相談先等をまとめたガイ
ドブックを発行していますので、ご参照ください。
旭川歯科医師会では、歯科通院受診が困難な方のため、歯科治療や口腔ケアに関する相談や訪問歯科診療の申込みの受付け・調整を行っています。
在宅医療は、訪問診療を行う医療機関(現在、市内に31か所)をはじめ、医療サービスを提供する事業者など多くの皆さんによって支えられています。現場で活躍されているお二人に在宅医療への思いを聞きました。
当院では、ほぼ毎日5人前後、全体で約50人の訪問診療を行っています。
在宅医療の現場では、住み慣れた場所で医療を受けられるメリットがある一方で、24時間看護が必要なことから「こんなに大変だと思わなかった」という現実に直面する家族がいらっしゃいます。私は、家族と患者さん本人の折り合いがつくことが重要で、自宅に過度にこだわることなく選択肢を広げるべきだと考えています。そのためには、日頃からACP※の実践が大事であり、「どうしてほしいか」より「どうしてほしくないか」の観点で、理想だけでなく、その実現が困難な場合の選択肢も話し合っておくとよいと思います。なかなか話し合うタイミングはないものですが、大病などの人生のイベントが起きてしまったときが良い機会です。そして、ACPは気持ちの変化に合わせて変えていけることも覚えておいてください。すでに療養中の方は「これは無理だろう」と最初から決めずに、諦めないで医師や看護師に希望を伝えることで新たな選択肢も見つかるはずです。
最後に、在宅医療の世界で働くことを考えている方には、先に、病棟等で経験を積んでから始めてほしいと思います。また、在宅医療は時として密室になる可能性もあることから、より高い倫理感が必要になることも忘れないでほしいと思います。
※アドバンス・ケア・プランニング=もしものときのために、自分が望む医療やケアを前もって考え、家族や近しい人、医療・介護関係者等と話し合い、共有する取組み。
訪問看護は病気や障害のある方の自宅等、日常生活の場にお伺いし、療養のお手伝いをする仕事です。医
師の指示の下で、例えば、服薬指導、病状の観察・保清、食事・水分・栄養状態の観察等を行うほか、日常
生活の自立を目的とした場合には、買い物や調理を一緒に行うこともあります。基本的に1回当たり30~60
分の訪問で、延長する場合は別途医師の指示が必要です。
地方にご家族がいる方でも、住み慣れた我が家が一番良いという思いで、おひとりでの生活を継続している方もいらっしゃいます。同居している場合、ご家族から「そばにいるのに何もしてあげられなくて辛い」という声を聞くことがあります。中には、ご家族だけで抱え込んでしまって、外に出られず引きこもってしまう場合があることも事実です。1人で悩まずにとにかく相談して欲しいです。私たちは、自分らしい生活を送るためのお手伝いをする「匠の技」を持っていますので、決して遠慮せず、抱え込まず、そして我慢せず何でもお話しください
安定的な在宅医療体制を維持するためには、従事する医療職の人数を確保することが今後の大きな課題です。
ここでは、旭川市立大学で医療職を教育・養成する教員、資格取得を目指して学ぶ学生の声をお届けします。
本学保健看護学科で学ぶ「地域・在宅看護」は病気や障害を問わず自宅療養される方を「地域で生活する人」と捉え、療養者さんとそのご家族が望む生活を送るための最適な医療や介護を、暮らしの場でどう提供するかを考える分野です。在宅医療や看護は、自治体等が推進する「地域包括ケアシステム」の構成要素のひとつです。療養者さんとそのご家族を地域全体で支えるため、近隣の方や民生委員さん、福祉サービス等を含んだ地域の社会資源を活用することが重要です。
本学では2年次後期から4年次にかけて、知識の修得・演習・実習と段階を踏んで「地域・在宅看護」を学びます。訪問看護師さんの下で行う2週間の実習では、実際の看護を見学・実践させていただきます。ありのままの生活を見せてくださる療養者さんやご家庭ごとに工夫された看護を行う訪問看護師さんの姿から、在宅看護に魅力を感じる学生もいます。看護師を目指す方が在宅看護にも興味を持ってもらえるといいなと思います
私は今、在宅看護の授業や実習を受けています。本学には、住宅の一部を模した実習室など実践的に学べる環境があります。演習では、家庭のベッドを想定した洗髪や人工肛門を装着する体験などから、技術を身に付けるだけではなく、何が不快に感じるかなど患者さんの気持ちを学べていると思います。私が考えたケアで患者さんが少しでも状態が良くなることや、笑顔を見せてくださることでやりがいを感じます。一般家庭には医療設備がない分、看護を工夫する必要がありますが、訪問看護師さんがその家庭に合わせて行う看護は素晴らしいと感じますし、自分なりのコミュニケーションを考えるときにも看護師さんの言葉が参考になります。親戚の看護師の方に憧れて目指した道ですが、勉強する中で患者さんの心や、言葉にしづらい感情に寄り添える看護師になりたいと思うようになりました。これから様々な患者さんに合わせて、臨機応変に看護できる看護師になることが目標です
在宅医療を支える担い手となり得る医師、看護師等、医療職の受験資格を得られる市内の大学・専門学校の一覧です。入学に関する詳細は、各学校にお問い合わせください。
優れた医療人および研究者を育成し、地域医療に根ざした医療・福祉の向上を目指すとともに、国際社会の発展に寄与する旭川医科大学の公式ウェブサイトです。
新着情報 現在、新着情報はありません。 旭川高等看護学院電話番号一覧 事務室 0166-65-7101 地域看護学...
JA北海道厚生連が設立した、旭川厚生看護専門学校のご紹介。地域医療に貢献する優秀な看護師を養成することを目的としています。
在宅医療の普及啓発のため、10月に市民講演会を開催します。詳細は、本誌9月号に掲載予定です。
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