2020年05月25日

【マスクを着けたサックスおじさん】旭川市内の”野外彫刻”を巡る旅Part.7【平和通買物公園編】

【彫刻のまち】とも呼ばれる旭川。市内の街中や公園には約100基もの彫刻が設置されているんだそう。でも、身近であるがゆえに「あまりじっくりと見たことがない」なんて方も少なくないのではないでしょうか? 今回は、平和通買物公園周辺に設置されている3つの彫刻を紹介します!


平和通買物公園の歴史はコチラをチェック!↓

旭川ができて130年! 旭川の歴史を振り返ろう【③昭和後期~平成時代編】 | 旭川のことならasatan

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2020年の今年は、旭川という地域ができて130年の節目です。旭川の歴史を知れば知るほど、このまちをもっと好きになれるはず!

佐藤忠良『若い女』

出典:asatan

 

初めに紹介するのは、マルカツ前に置かれている『若い女』という作品。

作者の佐藤忠良さんは宮城県生まれ・北海道育ちの彫刻家で、【近代日本彫刻界を代表】する人物。【普段の日常生活のなか】で垣間見る"人間の美"を追求した作品を多く残しました。

こちらの彫刻は、買物公園がオープンされる時に北海道銀行から寄贈されたもので、旭川の看板彫刻のひとつとされています。

日本彫刻の歴史から見ると、【裸の女性像】は平和を意味することもあるんだそう。

かつて陸軍第七師団まで通じ【師団通】と呼ばれたこの道が、【平和通買物公園】となったことと通じる部分がありますね。

本作品は、いわゆる"S字曲線"のポージングで、女性の美しく、生き生きとした姿を生命力たっぷりに表現。時代にあまり左右されないファッションをしているためか、いつ見ても親しみを感じさせてくれます。

【作品情報】
『若い女』 佐藤忠良
1971 ブロンズ 174.5×103.5×58
平和通買物公園(旭川市2条通7丁目 マルカツ前)

黒川晃彦『サキソフォン吹きと猫』

出典:asatan

 

続いて紹介するのは、『サックスおじさん』の愛称で親しまれているこちら。座りながらサックスを吹く男性と、猫の彫刻です!

ずいぶん昔からある作品のように思えますが、設置されたのは買物公園がリニューアルされた2001年ごろ。

作者の黒川さんは、楽器と人物を組み合わせた作品を数多く制作している方。なかでも男性&サックスのモチーフは特に多く、なんと国内の40以上の場所に様々な『サックスおじさん』がいるそうです。

出典:asatan

 

サックスを吹くのは恰幅の良い男性。通りかかる人が興味をひく様に、"あえて"裸にしているんだそう。楽器を持っても身体がよく見えるよう、人物の体形を大きくする工夫がされています。

間近で見ていると、サックスの豊かな響きが、本当に聴こえてきそうな気がしますね♪

ちなみに、ユーモアあふれる造形で親しみやすいためか、真夏には【麦わら帽子】、冬には【マフラー・ニット帽】、さらにクリスマスには【サンタコスチューム】など、その時代・季節に関連したアイテムを着せられることがあります。地域の人々に愛されていることがうかがえます。

この写真を撮影した日には、マスクが付けられていました。

出典:asatan

 

猫も作品の一部で、サックスおじさん同様、市民の方々に愛されている様子です。

こちらにもマスクが着けられていましたが、ヒモは耳に掛かっているのではなく、テープで頭の後ろに留められていました。「耳に掛けると痛くなっちゃうから」と、着けてあげた人の優しい気持ちが伝わり、ほっこりします♪

マスクで隠れてしまい良く見えませんが、この猫、なんともいえない心地よさそうな表情をしているんですよ。サックスから流れる美しい音色に、聴き入れてしまっているのでしょうか?

【作品情報】
『サキソフォン吹きと猫』 黒川晃彦
2001 ブロンズ 103×210×150
平和通買物公園(旭川市2条通7丁目 オクノ前)

笹戸千津子『希望』

出典:asatan

 

笹戸千津子さんは冒頭で紹介した【佐藤忠良さんの弟子】であり、彼の彫刻のモデルとしても活躍しました。

【職人気質】でひた向きに制作に打ち込んだ佐藤さんの、作品に対する意志や信念を引継いだ笹戸さん。彼女もまた、素晴らしい作品を生み出す彫刻家として認知されています。

買物公園から少し外れた、旭川信金本店前には『希望』と名付けられた作品が。少年と花を持った少女の像です。

熟練の技術をもって、あたかも人物を作り出すかのように、感情と生命力を吹き込んだ作品。繊細な作りで、伸びやかで堂々とした姿。そのなかには【品格】さえも感じさせてくれます。

個人的な想像ですが、手に持つ花は「旭川の市民の花」に定められているツツジではないかと思います。

皆さんはこの作品から、どんな希望を感じますか?

【作品情報】
『希望』 笹戸千津子
1989 ブロンズ 高150
平和通買物公園付近(旭川市4条通8丁目 旭川信用金庫 本店前)

おわりに

今回は平和通買物公園周辺にある彫刻3点を紹介しました。おなじみのものばかりで、「あ、これ知ってる!」と感じた作品も、きっとあったのではないでしょうか?

市内のあちこちに彫刻が設置されていて、【彫刻のまち】とも呼ばれる旭川。公園を始め、街中や橋の上など至る所に彫刻がありますから、たまにはじっくりと見てみるのも良いものですよ。

旭川市内の”野外彫刻”を巡る旅【パート8】もお楽しみに♪


この記事のキュレーター

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旭川とその周辺地域に関連するイベント、グルメ、観光、くらしに役立つ情報などなど、ドシドシご紹介しますのでお楽しみに!