2020年05月30日
【彫刻のまち】とも呼ばれる旭川。市内の街中や公園には約100基もの彫刻が設置されているんだそう。でも、身近であるがゆえに「あまりじっくりと見たことがない」なんて方も少なくないのではないでしょうか? 今回は平和通買物公園編第2弾! 買物公園周辺に設置されている彫刻4点を紹介します。
初めに紹介するのは、近代日本彫刻界の巨匠と言っても過言ではない佐藤忠良さんの作品。
佐藤さんの作品は"その瞬間"を切り取った、【動きのある人物像】が魅力。テーマ・作りは素朴でありながら、人物のまっすぐな生命力を強く感じることができます。
旭川市内の”野外彫刻”を巡る旅Part.8では、同じ作者のマルカツ前にある『若い女』を紹介しましたね。
その翌年1972年に設置されたのが、4・5仲通り付近の『若い女・夏』。
70年代を想起させるファッションとポーズで、実際に当時は「今風の美人!」と大絶賛されたんだとか。
ちなみに、佐藤さんは絵本『おおきなかぶ』(福音館書店)の挿絵を手掛けたことでも知られていますよ♪
【作品情報】
『若い女・夏』 佐藤忠良
1972 ブロンズ 149×77.5×51
平和通買物公園(4・5仲通り付近)
出典:asatan
続いての作品は、7条緑道にそびえ立つシンボルタワー。こちらも多くの観光客が訪れる、旭川の看板彫刻です。
こちらを手掛けた中井さんは愛別町出身。彼が好んで使った素材は石材で、卓越した技術で生み出す作品は、素材を生かしたメッセージ性の強い抽象彫刻が多くありました。
そんな中井さんが鉄を用いて作り上げたのが『開拓のイメージ』。地面に突き立つ大剣のようなフォルムで、高さはなんと21m!
出典:asatan
細部を見ると、人の姿のほか、馬車の車輪・蹄鉄・フォーク・かんじきなどが。【北海道の開拓期】を思い起こさせるオブジェクトが所々に散りばめられていることがわかります。
実はこちらの作品は、買物公園オープン時に設置されたもの。
当時、旭川の新時代の幕開けを楽しみにする人々へ、「このまちを切り開いた先人の苦労と努力があったことを忘れないでほしい」といった祈りが込められていたように思います。
【作品情報】
『開拓のイメージ』 中井延也
1972 鉄(コールテン鋼) 2100×85×85
平和通買物公園(7条通り)
出典:asatan
続いても、7条緑道付近に設置されている作品です。
制作者である一色邦彦さんは、人物像を中心に手掛ける彫刻家。そのなかには女性と鳥を描いた作品も多数。
柔らかなフォルムでゆったりとした動きを想像させる【女性像】と、今にも羽ばたき出しそうなスピード感ある【鳥】の動的な対比が感じられます。
こちらの『鳥人譜』で、女性の肩に乗っているのは鳩。
もともとは緑橋通りに設置されていたそうですが、「平和の象徴としてピッタリだ」といった考えから現在の場所に移動されたのだとか。
ただ一点を見つめる女性と鳥。その瞳には、どんな平和な未来が映っているのでしょうか?
【作品情報】
『鳥人譜』 一色邦彦
1979 ブロンズ 80×50×48
平和通買物公園(7条通り付近)
出典:asatan
ラストを飾るのは、『手の噴水』の愛称で親しまれるこちらの彫刻。
正式名は『手』。木内禮智さんという方が制作したのですが、作品を手掛けた背景など不明な部分が多くあります。
買物公園の誕生に合わせて設置されたのもので、公園がリニューアル整備されるまでは4条通付近にありました。
オープン時の買物公園4条付近の様子
画像提供:旭川市中央図書館
一説では、作品のテーマは未来を掴む市民の手だといわれています。
堂々としたたたずまいと、すべてを包み込んでくれそうな優しいフォルムに、【旭川の輝かしい未来を見る人】もいれば、噴水の水音に癒される【つかの間の休息を過ごした人】もいたのではないでしょうか。
およそ50年にわたって買物公園を見守ってきた”手の噴水”。これからも市民の憩いの場として愛されていくことでしょう。
【作品情報】
『手』 木内禮智
1972 ブロンズ 250×250×100
平和通買物公園(8条通り付近)
今回は平和通買物公園周辺にある4つの彫刻を紹介しました。おなじみのものばかりで、「あ、これ知ってる!」と感じた作品も、あったのではないでしょうか?
市内のあちこちに彫刻が設置されていて、【彫刻のまち】とも呼ばれる旭川。公園を始め、街中や橋の上など至る所に彫刻がありますから、たまにはじっくりと見てみるのも良いものですよ♪
この記事のキュレーター
出典:asatan