2020年06月26日
夏酒をご存知ですか。季節に合わせた酒造りを行う旭川の酒蔵から、夏向きの酒が今年も多彩に発売中。日本酒愛好家としては見逃せない、ビギナーなら日本酒がもっと好きになるような、筆者が実際にテイスティングした2蔵の3アイテムを紹介します。
といっても、実は明確な定義はない。
よく耳にする「純米酒」とか「大吟醸酒」などは、その製法や成分が酒税法で明確に定義されているが、「夏酒」はこれに含まれていないのだ。
この呼称を用いたのは、酒を造り出荷する日本の各酒蔵だ。酒需要が伸び悩む夏季の対策として、夏も日本酒が美味しい、ビールを楽しむように爽快に日本酒を飲もう等々の思いが込められている。
製品は、スッキリとした飲み口、フレッシュな味わいの生酒や原酒が多く、冷やして飲むことが推奨されている。
キャッチコピーは『夏のビールのような爽やかさを日本酒で!』(同社HPより)。
前章でも書いた通り、酒蔵の思いがストレートに伝わって来る。
生ビールを連想しそうな「夏の生」というネーミングも潔くていいね。
Photo:KOTA
で、よく冷やしてテイスティング。
香りはと穏やかだが、ほんのりと甘酸っぱい柑橘類を思わせる香りが爽やか。涼感の演出には持ってこい。
軽い口当たりのおかげで、スッと口に入っていく。
うん、軽やかに甘酸っぱい。まずは酸味が主体となって口に馴染んでから甘味とか旨味がじわっとくる感じ。これが爽快さのシナリオか。
なーんて、難しいこと考えてる割りに、酒はちびちびではなく、すいすいと進む。さすが「夏のビールのように・・・」と言うだけはある。さすが。
ところで、これを夏のビールに例えるなら、ツマミは枝豆だろうか。
豆の旨みはもとより、塩気が酒と合う。このツマミは鉄板だ。
が、夏酒は甘酸っぱいものと相性良し。というで、ところてんを添えてみた。
Photo:KOTA
黒酢でつるつるっと。
ふむふむ、この相性もオツである。夏酒だもの、夏の涼味と楽しみたいものだ。
ただし、カラシは控えめに。辛くて鼻がふんふんする程辛いと、この酒のせっかくの香味が分からなくなっちゃうからね。
【市販価格】720ml:1,386円/税別 (数量限定)
【販売先】酒類販売店、および同社直売所(旭川市宮下通17丁目)・同社オンラインショップ
同社お馴染みの、夏の限定品。
特別純米生酒・精米歩合55%・アルコール度数15%
Photo:KOTA
1986年発売というロングセラーだけあって、多くの人が酒類販売店、あるいは居酒屋などで目にしたことがあるかも知れない。
Photo:KOTA
もちろん、コレなら飲んだことがあるよというお方も多いだろう。
おり(材料の沈殿物)が、うっすらと溶け込んだかすみ状の酒。
すっきりとしていた、やや辛口な味わいが食事にもよく合う。筆者もお気に入りで、寿司屋や和食店ではよくこれを所望する。
飲食店でこれを見つけたら、ぜひ料理と一緒にお試しあれ。
【価格】500ml:1,043/税込(数量限定)
【販売先】酒類販売店、および同社直売所(旭川市永山2条7丁目)、同社オンラインショップ
もう1本、男山を。
お次は同社の資料館売店と日本名門酒会だけで販売されている限定品となっている。
特別純米生酒・精米歩合55%・アルコール度数15%
Photo:KOTA
実は先日、同社資料館の売店を、6月発売「今年の夏生(資料館限定)」を目当てに訪ねたのだが、これを見て思わずジャケ買い、ならぬ、ラベル買いしてしまったというシロモノ。
まずペンギンのデザインに惹かれたのだが、これを撮っているときにふと「ペンギンがお猪口(蛇の目のぐい呑み)を持ってる!」ことに気づいて、なお気に入った。
Photo:KOTA
動物が酒を飲んでいるのを描いたラベルは、よくあるのであるが、お約束のようにやってしまう朴訥さが男山か(笑)
さて、それはさておき、肝心の味の方であるが、やはりこちらもすっきりとした口当たり。香りはほんのりと甘酸っぱく、ひと口飲んでみれば香りもそのままに、まろやかな香味が口のなかで爽やかにしみてくる。
前掲の国士無双に比べると、やや甘みを抑えた辛口系のようだ。
加えて、キレ(飲み込んだあとの口中のさっぱり加減)もいい感じ。これは夏の料理とも会いそうだな。
と確信を得て、作ったのはとれたてホタテのカルパッチョ。
Photo:KOTA
軽く塩をふってオリーブオイルをさらりとかけ回した。
これがまた、相性ピタリで、酒がすいすいと進んでいく。
軽いテイストの酒とともに刺身を味わうなら、普通の醤油では味が濃すぎるという訳。なのでオイルで、ということに相成った。おためしあれ。
やはり醤油が好き!という方はダシ醤油がおすすめ。
【価格】720ml:1,485/税込(数量限定)
【販売先】同社直売所(旭川市永山2条7丁目)、および日本名門酒会加盟の酒販店
いかがでしたか。気になった1本はおありでしょうか。
今般紹介したものは、記事中にもある通り食事に合うこと請け合い。
夏の宵、食卓で是非お楽しみください。
この記事のキュレーター
純米生酒・精米歩合60%・アルコール度数15%
Photo:KOTA