2021年02月11日
JR北海道3月13日ダイヤ改正で旭川市内2駅が廃止に。乗るなら見るなら今のうちですよ。ということでファンの端くれである筆者も改めて出かけてみました。
JR北海道が昨12月、2021年春のダイヤ見直しで利用の少ない道内18駅を廃止すると発表。
そのうち、旭川市内では石北本線の「北日ノ出」、函館本線の「伊納」の2駅が対象となった。これは、まちの鉄道風景をこよなく愛す筆者としては寂しい限りである。
廃止案に対し、乗降数は少なくとも地域のシンボル的存在として駅は存続すべきと、維持管理を自らの自治体に移行させた例もあると耳にするにつれ、旭川市でもそうした動きは取れなかったのかと、個人的にはとても残念だ。
また、前述の18駅には、隣接する自治体でも宗谷本線:南比布駅・北比布駅(ともに比布町)、石北本線:将軍山駅(当麻町)が含まれる。
次章では、筆者が廃止以前より思い入れがあり、何度となく訪ねた北日ノ出駅と伊納駅を紹介する。
開業は1960年(昭和35年)。日本国有鉄道石北線の北日ノ出仮乗降場として誕生した。石北線はのちに石北本線と改称。1987年(昭和62年)の国鉄分割民営化によりJR北海道北日ノ出駅となる。
ホームは1面1線。2020年ダイヤ改正時点では、普通列車のうち、下り4本、上り6本(うち1本は休日運休)が停車。1日の平均乗降員数はわずかに数人となっている。(参考:Wikipedia)
実際にはここを往来する普通列車の便数はもっと多いのだが、北日ノ出は通過駅となっている。
場所は工業団地のすぐ近く。
かといって貨物の取り扱いはない上に、乗降も数人というならば周辺の企業との関わりもほとんどないだろう。
また、旭山動物園最寄りのJR駅でもあるが、ここから動物園に乗り継ぐバス等はなく(そもそも旭川駅前から動物園行きというバスがある)、また徒歩ではあまりに遠いので動物園客の利用もほとんどない。
当駅は所在地「日ノ出」の北部にあるためその名が付いたもので、ちなみに隣接の駅に「日ノ出駅」や「南日ノ出駅」はない。
直近の様子(2月上旬撮影) =画像下= 。
連日の降雪にも関わらず、待合室とホームに至る歩道、そしてホームの上もきれいに除雪されていた。1日わずか数人の乗降客のためにご苦労なことである。
というか、その経費を削減するための廃止ですか(泣)
撮り鉄、駅鉄にとって嬉しかったのが、上の画像にあるブロック造りの待合室。
同じくブロックを敷き詰めた歩道と合わせ、もうレトロなんて言葉を凌駕する実に独特な風情である。
室内は小ぎれいに整頓されている。暖房の類は一切ない。
ベンチの上にはローカル駅おなじみの駅ノートが。著作に関わるので中は撮影しなかったが、旅のお方、あるいは駅鉄と思しきお方の日記が数年にわたり記されていた。
そこに、旭川行き普通列車が到着(向かって右側が旭川方面) =画像上= 。
あれ?キハ40形が来るはずがキハ54形も一緒の珍しいコンビで登場。普通列車のシンボル的な存在(後ろの方の車両ね)も、今春のダイヤ改正で一部が新車両に切り替えとなり、その後いつかは姿を消すんだろうか。
冒頭で書いた上り6本(うち1本は休日運休)のうちの1本であるが、この時も人の乗り降りはなかった。
その後、特急大雪(旭川-網走)が駅を通過して行った。
大雪は1日2便。これも新ダイヤでは臨時化され、平日は見られなくなる。
筆者の好きな国鉄系なんすけどね ^^;
名称:JR 北日ノ出駅
住所:旭川市東旭川町日ノ出
開業は1898年(明治31年)。当時の北海道官設鉄道、伊納信号停車場として誕生した。翌々年には旅客貨物の取扱いが始まり駅に昇格。1905年(明治38年)官設鉄道(国有鉄道)に移管、1969年(昭和44年)新線切替により線路とホーム移転および無人化・貨物取扱廃止、1987年(昭和62年)国鉄分割民営化により北海道旅客鉄道(JR北海道)の駅となる。(参考:Wikipedia)
伊納駅は前掲の北日ノ出に比べ随分と歴史が深い。
駅は近くに民家がごくわずかあるだけの閑散とした場所に立地。国道12号線とここを結ぶ伊納大橋(昭和61年完成)がなかったら陸の孤島、といった土地柄だけにマニアの間では旭川随一の秘境駅として有名だ。
閑散とした集落で孤立するかのように、ひっそりとそびえ立つ跨線橋。
歴史を思い浮かべると、所々塗装が剥げているのがなお痛々しい。
当地に赴くとより感じるのだが、こんな場所にかつては貨物の取り扱いがあったとは、まさに想像を絶する。
直近の様子(2月上旬撮影) =画像上= 。
雪深い中で、待合室と跨線橋に向かう足を確保するだけの除雪はされていた(最寄りまでは自動車で行ける)。
雪に埋もれて分からないが当駅はダルマ駅(貨物列車の車掌用車両を再利用したもの)だ。
今は1棟だが、かつて伊納大橋を渡った先にある北都商業高校があった頃には、生徒の乗降が相当にあったため待合室は2棟建て。双子のダルマ駅として撮り鉄には有名だったそうな。
内部はいたって簡素。
ちなみに、暖房なし。トイレは使用不可。
秘境駅、利用ごくわずかといっても設備は立派。列車の停車や特急の通過を駅放送が知らせてくれる。
画像上は跨線橋の上から撮った、停車した通勤型721系。これが来るのを誰も待っていないし、誰も降りてこなかった。
乗降数調べによると平成4年(前述の北都商高があった頃)は1日平均400人を超えていたが、平成23年、同校が並行したことでその数は激減。今は1日平均はわずか数名となっている。 =Wikipedia=
駅放送の設備も、たくさんいた生徒さんの安全確保のため、の名残なんだろうか。
跨線橋といえば、この上に立つとかなり見晴らしがよく撮影にもとても便利だった。
訪れたその日、跨線橋の上から滝川方面からの下り線を激写 =画像上= 。
DF200形ディーゼル機関車。
これを撮るという狙いもあって出かけたのだが、来てくれてよかった(臨時便)。
ここは、カーブする貨物を撮れる(要望遠レンズ)市内でも指折りのスポットなのだ。
当駅のすぐそばには小規模だが保線の訓練施設もある。それらの施設も当駅廃止後はどうなるのか、筆者はその情報を掴んでいないが、個人的には跨線橋を残してくれないかなぁ、とか思っているのだが。
それはないだろうなぁ ^^;
名称:JR函館本線 伊納駅
住所:旭川市江丹別町春日
お疲れ様の心を込めて、駅にはやさしく接しましょう。人倫に触れる行為は絶対に禁物。
また、列車の運行を妨げることのないよう、法とマナーを順守すべし。
お互い気を付けましょう。
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