2021年09月08日
その名は知らなくても「見たことあるかも」という人は多いでしょう。全国で40年に渡って走る国鉄型気動車の代名詞「キハ40形」が今注目されています。その魅力を追ってみました。※行政の出す宣言に従い、宣言中の外出等はお控えください。
キハ40形(国鉄キハ40形気動車)とは、JRの前身である日本国有鉄道(通称「国鉄」)が1977(昭和52)年から5年に渡り製造したディーゼル気動車のこと。
何しろ製造されてから40年以上というのがスゴイ。これがヒトなら、すなわちアラフォーのいかにも働き盛りといった存在感であるが、気動車で40年というのはかなりのご老体。自動車なら、大切に保存されてきたものは別として、現役で40年走り続けているというのはほとんどない。
ともかくは、民営化される前から走っていたという、時代を超えたレトロな存在感がマニアの心を捉えて離さない、それがキハ40形なのだ。
撮影地:新旭川駅
加えて今、その希少性が著しく高まっている。
1970年代、全国各地では気動車の老朽化が顕著に。これを刷新すべく期待の新車両として誕生。
そんな経緯で、全国のローカル線に数多く投入されたキハ40形であるが、長い年月を経て車両が老朽化。今度はキハ40が退役を迫られる立場となった。
旭川管内を例に見ても、今年3月のダイヤ改正を機に宗谷本線で運用されていたキハ40すべてと、石北本線の一部がH100形電気式気動車に置き換えられている。
宗谷本線からは姿を消した。石北本線でも時間の問題という見方は否めない。
というわけで、筆者が今年撮ったキハ40形を数点ご紹介。
ちなみに令和3年ダイヤ改正においては、旭川駅を発着するキハ40形は、石北本線で旭川駅発着が14本、函館本線では旭川駅発着が4本となっている。
撮影地:函館本線、近文駅跨線橋より
撮影地:函館本線近文駅
撮影地:函館本線近文駅
撮影地:函館本線 旭西橋より
撮影地:函館本線近文ー旧伊納駅間
数ある中から選び出した数点であるが、雪景色が多いのは「冬期に映える」という観念があるからか。
全国に配置されたキハ40形であるが、北海道で運用される車両は寒冷地仕様となっているそうな(極寒に耐えられるエンジン、暖房設備、2重窓など)。北海道の列車って、冬は暑いくらいに暖房が効いてるもんね。
ちなみに、九州では南国仕様だとか。
撮影地:石北本線 旧北日ノ出駅ー桜岡駅間
撮影地:石北本線 旧北日ノ出駅ー桜岡駅間
撮影地:石北本線 南永山駅
キハ40形はディーゼル気動車だ。つまり電気の要らない車両なので、線路の上の架電は不要。
カメラを向けると送電設備が煩雑に映り込む函館本線よりも、電化されていない石北本瀬の方が、絵になる気がしてしっくりと来るな(個人の感想です)。
アンティークなキハ40形と今風な特急カムイ。新旧揃い踏み、の図
撮影地:新旭川駅
キハ40まつり(笑)
手前は旭川行き、奥は遠軽方面での運行に向かう回送車両
撮影地:新旭川駅
黄昏れのキハ40形
撮影地:新旭川駅
大雪山をバックに。
ダイヤ改正前の宗谷本線(永山ー北永山間)で撮ったもの。
損や本線での運用はもうなくなったので、この景色はもう見られない。
個人的には、連結機器がむき出しになった「機械な感じ」にも萌える。
JR北海道が運用するキハ40形のボディカラーは白(ごく薄のライトグレー)。加えて前面と後面および両側面にJR北海道のコーポレートカラーであるライトグリーン(萌黄色)とラベンダー色のラインが施されている。
日頃見かけるのはJR北海道標準色と呼ばれる上記の車両であるが、たまに塗装の違うキハ40形が走っている。マニアとしては、そんな訳アリ車両に遭遇すると、これまたウレシイ。
撮影地:新旭川駅
JR北海道が2020年に実施した「北の復刻 40リクエスト」なるキャンペーンで、かつての名車の塗色をキハ40で再現するというもので、塗装案6候補の中から選ばれたのがこれ。実際に運用されていたキハ400形とは窓・屋根上など車体形状の異なるので、あくまで「ふう」のようが、JR北海道も粋なことをおやりになる。
JR北海道が2020年初夏に谷本線の旭川〜稚内間で運行した観光列車「花たび そうや」号が走っているのをしばしば見受けられる。
花たびそうや号には、山紫水明シリーズと銘打ってキハ40形に独自のデザインで塗り替えた「山明号」と「紫水号」の2両を連結して運用。
その車両が通常営業に運用されているようだ。ちなみに内部は一般のキハ40形と同じ。
撮影地:桜岡駅
撮影地:函館本線近文ー旧伊納駅間
撮影地:新旭川駅
JR北海道釧路運輸車両所からの出張運用中(と思われる。すいません、筆者も正確なとことは分かっていません)。
このオレンジの塗りは1970年代に首都圏を走る車両に施されていた国鉄お馴染みの色だとか。正しくは国鉄が定めた色名称のひとつ「朱色1号」。
この首都圏色の車両、ちなみにマニア間の俗称はタラコ。「釧路でタラコが走ってる」などのように使われているようだ。
タイフォンとは、空気圧で音を鳴らす警笛装置のこと。
今や列車の警笛は電子ホンとなっているが、数あるキハ40形の中は車両改良整備の機会でこれを取り除いたものがある。理由は、車体の腐食防止とか衝突に備えての車体強化とか諸説あるが、それならそれで、なぜタイフォンが残っているものと無いもの(タイフォン撤去車と呼ばれる)があるのか、謎。
タイフォン
真ん中から二つに割れて空気(警笛音)が噴き出す仕組み
で、キハ40形を見て、タイフォンがあるとかないとか、細かいところを気にするマニアが少なかれ存在するのだった(どうでもいいことなんだろうけど筆者も気にする派)。
ちなみに、タイフォンの警笛。これが何とも良い音なんだな。
ところで、気になった方はおられるだろうか。
キハ40形の「キハ」って何のことだろうかと。
JR(国鉄も含む)の車両は大概、カタカナと数字の組み合わせで標記される。
キは気動車の「キ」。ハは普通車両のこと。
また、40は型番。車両前面に記された3桁か4桁の数字は製造番号だ。
ちなみに、モーターで走る電車の頭文字はモーターの「モ」。
電車の普通車両は「モハ」となる。
この記事のキュレーター
撮影地:石北本線、新旭川付近にて