2022年03月22日

【JR新旭川駅】鉄道好きを惑わす不思議な魅力に触れてみませんか

旭川市内に鉄道駅は数々あれど、ちょっと特徴的で実に興味深いのが「新旭川駅」。「へえ!」や「?」な様子など、気になる情報を集めてみました。「駅鉄」さんにもオススメです。


プロフィール

まずは、ざっくりと沿革を。
同駅が開業したのは1922年(大正11年)。
かつては貨物の取り扱いがあり、また、近くの製紙工場を始めとする企業の専用線があり、地域の繁栄に寄与した。
現在では無人駅であり(H4年無人化)、貨物の取り扱い、専用線もない。

所在地は旭川市東8条6丁目。同駅および、地元の郵便局や地区センターの名称は「新旭川」を冠し、この辺りを新旭川と呼ぶ市民も多いが「新旭川」という住所は存在しない。

風格ある木造駅舎

 

無人駅にしては大きい(もとは有人駅だもの)。かつ2階建である。
同駅は分岐駅(あとで説明します)でもあり、その昔は相当な役務を担っていたことが想像されるが、現在は、一般の乗降客が使うスペースはほんの一部で、他は保線に関わる職員の詰め所となっている。

 

跨線橋より駅舎を見る

 

令和の目線から見れば「レトロ」。
ちょこちょこと手を入れながら、大事に使われてきたことが見て取れる。

 

駅舎は冬も絵になる。
駅舎の建て替え、あるいは廃駅で、古い駅舎がどんどん姿を消している中、こうした風格のある駅舎は貴重な存在だ。

 

がらんとした駅舎内。
待合スペースは冬なのにストーブが取り払われていた。
かつては有人駅。切符売り場など接客の窓口があったはずだが、壁面はきれいに改装され、その名残はない。

ほか、トイレは古いがなかなか立派。ちなみにペーパーはない。

1番ホームが存在しない!?

 

待合室にある、のりば案内を見てみると、あれ?1番のりばはどこに?

という、謎を検証すべく、まずは駅の構造を見ていただきたい。

Google

 

ホームは単式・島式ホームの混合、計2面3線となっている。

ここで、おや?と思うことが。
大概の駅は駅舎に近い側から1番線、2番線となると思うが、同駅は逆。駅舎側の単式ホームが4番線、跨線橋を渡って行く島式ホームが3番線・2番線と、数字は降順となっている。ちょっと変わってるね。

さらには4~2番線はどれもホームに接しているが、1番線は?
これに接するホームが存在しないのだった。実に興味深い。

 

上画像は下り方向(永山方面)を見たもの。
下画像は上り方向(旭川駅方面)を見ている。向かって左が1番線らしきものだが、前述したとおり引込線でもなく、何かが迂回するためかなと思いきや、雑草が生えていたり、あるいは冬はまったく除雪もされていないことから使われている雰囲気がない。

 
 

いろんな車両が撮れる

同駅で見られるのは宗谷本線、石北本線で運用される車両、および北旭川駅発着の貨物列車だ。
が、同駅で待ち構えていると、富良野線でのみ運用される車両や函館本線を走る特急車両も。

これは、同駅の北側に「旭川運転所」があり、そこを発着する列車が回送するためだ。
おかげで、列車が頻繁に往来するので、とりあえず車両を見たい、撮りたいという場合にはウレシイ。

ちなみに、宗谷本線と石北線は電車の運用がない、つまり電化の必要はないのだが、架線が張られているのは、旭川運転所に向かう電車を通すためだ。

以下、同駅で撮影した車両の一例を掲載する。

キハ261系0番台
特急宗谷(札幌ー稚内)・特急サロベツ(旭川ー稚内)に運用

 

キハ183系
特急オホーツク(札幌〜網走)、特急大雪(旭川〜網走)に運用

 

H100形

 

旭川駅に回送するため待機する789系1000番台(右側:特急カムイ)の横を通り過ぎるキハ40形。
電車は他にも789系0番台(特急ライラック)などが回送のため往来する

 

富良野線を走るため旭川駅に回送するキハ150形

 

キハ54形とキハ40形宗谷色の連結(回送)

 

待ち構えていると時刻表にない列車が次々と。
また、下の様にディーゼル機関車も。

北旭川駅を発着するDF200形

 

DE15形
北旭川発、旭川駅を折り返し石北線に向かう

 

日本最北

北海道では「日本最北の・・・」というのが多い。
それで言うなら、同駅もアピールできることが一つある。

まずは、下の空撮画像をご覧いただきたい。

Google

 

JR北海道石北本線と宗谷本線が乗り入れる同駅は、両線の分岐駅となっている。
分岐駅とは、「ある路線の途中から別の路線が始っていて、相互の路線の間に列車の直通運転が行われている駅(鉄道技術用語辞典)」のことで、分岐駅としては日本最北となるそうな。
だからどうなの?も否めないが、「最北」という言葉には、訪れるものに何かしらの達成感を与えるには違いない。

 

名標を見ても、ここが分岐駅であることが分かる。
分岐の先の次駅は、宗谷本線が「ながやま(永山)」、石北本線が「みなみながやま(南永山)」だ。
地形の雰囲気に合わせれば、2列の並びにおいては上を「みなみながやま」とすべきではないかと思うのは筆者だけか。

ちなみに同駅は石北本線の起点駅ということになっているが、前掲の網走行き特急は旭川駅を始発としている。また上川行き普通列車なども同様で、起点駅を始発とする列車はない。

ご注意を

見学の際は列車の運行を妨げないよう注意されたい。

特に撮影をする際は、夢中になりルールやマナーを逸脱しないよう心掛けが必要だ。
ルール違反は、すなわち不法侵入・器物破損・鉄道営業法違反・威力業務妨害となることも。絶対に侵してはならない。

一人の間違いが多くの撮り鉄の肩身を狭くする。お互いに気を付けましょう。


この記事のキュレーター

美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。

・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター