2022年04月30日
鉄道のまち旭川。鉄道があれば駅がある。そんな当たり前の風景を改めて見つめてみませんか。
ざっくりと沿革を記しておきましょう。
もともとは旭川と釧路を結ぶ路線として明治時代に開業。昨年はその120周年を迎えている。
大正時代、滝川を起点として釧路に向かう幹線が整備されたため、旭川ー富良野間は分離され「富良野線」となった。
営業距離は54.8km。運用される車両はもっぱらキハ150形、0番台と100番台。
本編では、富良野線に設置された旭川市内7駅(旭川駅は除く)を旭川駅から順に訪ね、その様子を紹介する。ちなみに旭川―千代ヶ岡間の営業距離は16.6km。
それにしても、地図を見て思うに、富良野線が旭川空港とつながっていないのが不思議。大概の都市なら空港駅というのがあるものと思うのだが。
上のマップを見て分かるとおり、富良野線は国道237号線(通称富良野国道)とほぼ平行して走っている。
美瑛や富良野方面にドライブした方は、点々と見られる駅の風景が記憶にあると思う。
が、当駅は国道沿いではないので、ここに駅があることを知らないという方がたまにいる。
旭川駅を発って3分弱。緩やかな左カーブが終わると神楽岡駅だ。
やっぱJRは早い。車ならこの時間は到底無理。
その背景は閑静な住宅街という土地柄なせいか、駅はどことなくアットホームなムードが漂う。
おっ、整然と柵が取り付けられている。都会の駅のホームなどにある線路への落下防止のあれかな。
と思ったら、柵はホームと線路の仕切りではなく、ホームとその後方を仕切るものだった。線路への、じゃなくその他の方向への転落防止目的のよう。
この柵やプラットホームの桁はきれいに塗装されている。こうした無人駅は、JRの委託を受けるカタチで地域の自治会等が施設の管理を受け持つが、当地にあっては、その対応の実直さが伺える。
待合室へは、広く緩やかなスロープを渡って。バリアフリー配慮が素晴らしい。
ホームの構造は単式1面1線。若干カーブしている。
中には券売機とベンチ。必要最低限の設備があるごくごく簡素な室内だが、きれいに使われている様子。あるいは手入れが良いか。
周辺は神楽岡公園の森が見える坂のまち。ドラマのワンシーンに使えそうな風情も漂っている。
が、踏切道に貼られた舗装板の鮮やかな色がやたらと目立つ。が、歩行者や車の足もとを守るための施工ゆえ仕方ない。これが今どきの踏切風景というところか。
待合室周辺の柵もエメラルドグリーンに塗られているが、偶然か意図的なものか。だが、カラーコーディネートとしては悪くない。
待合室の横には桜の木が(昨年撮影)。
今年もゴールデンウイークの頃には、駅にほんわかと温かなムードを演出するだろう。
神楽岡駅から約3分。こちらはウッディな色彩が印象的な、緑が丘駅の待合室。
周辺の環境とよく馴染んでいる。
駅の裏には公園と神社があって、その森は乗降客に四季を伝えてくれる。環境は何とも情緒豊かだ。
構造は単式1面1線。
整然としたプラットホームで列車を待てば、遠くから来るのがよく見えそうだ。
春には桜が咲き、夏には手入れの整った花壇が駅を彩る。
背景には新しい住宅が立ち並ぶ地域との一体感がある温かな駅だ。
緑が丘から3分弱。1.2km移動すると、国道沿いに並ぶ小売店やスーパー、カーディーラー、事業所も随分と少なくなり、街並みはちょっとのんびりしたムードに。
ホームの構造は単式1面1線。
階段を上がるとすぐに、小さな待合室が。さらに、停車する列車のドア位置はすぐ前と、駅はコンパクトな造りになっている。
西御料から3~4分、距離にして2.2km。
景色にちょっと田んぼが増えてきたかもと思ったら西瑞穂駅。
ホームの構造は単式1面1線。待合室はごらんのとおり極めて簡素。
ホームのわきには自転車置き場が。
かつては自転車が埋まった頃もあったのだろうか。
駅の存続を思うと、ちょっと胸が締め付けられる光景だ。
西瑞穂駅から3~4分で西神楽駅。
駅前には国道が走り、手前の駅よりは少し「まち」な感じがする。それに合わせてか駅舎外観は洒落ている。
駅舎は表と裏の造りが同じ、シンメトリーな外観が面白い。
ホームの構造は相対式2面2線。前掲が1面1線であったことから、ここでは列車交換(上りと下りの列車がすれ違うこと)が行われるであろうことが分かる。
筆者の興味を惹いたのは跨線橋。
建築に鉄骨が使われている(窓の下、緑色の横に長いもの)が、ひょっとしてコレ、古材のリサイクルじゃないだろうか、と勝手に妄想。
線路や鉄橋の古材を駅施設の建築用にリサイクルすることはよくあることだが、ときにその材料がスゴい年代ものだったり外国製だったりするのが、こうした施設の面白いところ。
それを思わせたのは、この名標版らしきプレート。
こうしたものは、工事が完成した日付や施工業者名が記されるものだが、研磨で消されたのか文字は確認できない。
この鉄骨はいつのものか、どこから来たのかなど、妄想は膨らむ(笑)。
ちなみに、西神楽駅から国道を美瑛方向へ徒歩で数分行くと「神楽神社」が。
列車の車窓からは、一瞬の景色だが、国道から見るとけっこう荘厳。
参道に線路の踏切があるなんて、江ノ電が走る鎌倉の神社のようでステキだ(実は鎌倉好き)。
西神楽駅から約3分。国道から離れ、周囲は田んぼというロケーションにあるのが西聖和駅。
ホーム構造は単式1面1線。
ローカル線っぽい感じ(田舎情緒)を撮り鉄したいなら、おすすめの駅かと。
田んぼがあり山が見え、四季を通じて絵になるだろう。
そういや、待合室がないな。
と思ったら、あった! ホームから少しはなれたところに。
これは確かに目にしていたが、ヘビーデューティーな雰囲気に、農業用か何かの施設かと思ってた(笑)。
屋根の下、半分が待合室。もう半分が自転車置き場ということになっている。機能的なうえにブロック造り。なんだかスゴイ。
西聖和駅から5分。営業距離4.3kmは今回の中でもっとも長い。
ホームの構造は相対式2面2線。跨線橋はなく踏切歩道を渡る。
2線ということは・・・
時間によっては列車交換が見られる。
撮り鉄ならば、やっぱこれを見たい。
ちょうど出くわしたのは、キハ150形の色違いのすれ違い(シャレか)。
向かって右、こっちに向かっているのがラベンダー色(ライトパープル)の0番台、向こうに行こうとしているのがJR北海道色(萌黄色)の100番台だ。
この光景、富良野線ならでは。
駅を出て表の通りへ。
おや、駅舎はホーム側と同じ顔。西神楽駅と同じシンメトリーなのだね。
で、駅の前がすごい。
国道を渡って撮ったのだが、これ以上距離を撮ることができずこんなアングルになってしまったが(もっと広く撮りたかった)、駅前には4本の老樹(ハルニレ、ヤチダモ)が。
これらはなんと明治からのもので、市の保存樹木に指定されている。地域の移り変わりを見守ってきた、まさにまちのシンボル。この情景がいつまでも続くことを祈りたい。
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