2023年06月16日
茶を喫する(飲む)と書いて喫茶店。でも昔の喫茶店には大概、軽食もあって、スパゲッティナポリタンと並んで好まれたメニューが存在した。さて、好評(?)喫茶の王道シリーズ第2弾のメニューは「ピラフ」。昭和のヤングが好んだ味を今再び訪ねてみよう。 ※情報は取材時のものであり、現在、料理の内容や価格が変更されている場合がありますので予めご了承ください
今からウン十年前。茶店(さてん)に通い出した高校生の筆者。仲間と談笑するうちに「ピラフって炒飯とは違うのか?」という話題に。
しかし、田舎の高校生に分かるはずもなく、「炒飯は中国語、ピラフは英語か仏語」はまだしも、「チャーシュー(豚肉)を使ったら炒飯、鶏肉やエビを使ったらピラフ」説、「食堂は炒飯と言い、茶店はピラフと言う」説など推論は虚しかった(笑)。
では、ピラフとはなんぞや。ちなみに炒飯との決定的な違いについて説明しよう。オトナになった筆者は少し知っている(笑)。
ピラフとは、生の米を具とともにスープで炊いたもの。フランス発祥のいわば炊き込みご飯だ。対して炒飯は、炊いた米を具とともに文字通り炒めた、いわば焼き飯だ。
従って両者は製法が違う、まるで別物だ。当然、味わいも違って来よう。
でも、店によってはピラフを頼むと、厨房から炒める音が聞こえることがある。
それって炒飯じゃ? いや、炒めているがこれもピラフである。強いて言えば「日本版ピラフ」だ。
醤油や塩コショウで味付けをする炒飯に対し、バターやブイヨンを使い洋風なテイストに仕上げたものをピラフとする、昭和の喫茶店独特のメニューである。
喫茶店を語る上で、まず、はずせない店。
何たって市内指折りの老舗だもの、ここのピラフが期待を裏切るワケがない。
メニューは「ピラフ」となっているが、察するところ「エビピラフ」ですな(見りゃ分かるだろ)。
そうそう、喫茶店のピラフって大概、エビピラフかチキンピラフってのが相場で、もちろん両方をメニューにラインナップするお店も。
それにしても、コーヒーが付いてこのお値段とは。ありがたや、というか当節、苦労なさってるとは思うが。
手際よく炒めたと見え、エビやゴハンに油が回って美味しそう。
前章で言った、いかにも喫茶店のピラフだ。それが証拠に、ほんのりバターの甘い香りがする。
ちなみに、メニューには「炒飯」もあるが、きっとバター風味じゃないと思う(笑)。
むっちりと歯応えのある飯粒。ふんわりと炊いたピラフにはない食感だ。
いやいや、炒めたとか炊いたとかの話はもういいだろう。
ブラジルのピラフは、味付けしっかり目で見た目以上の食べ応えがある、ブラジル流の味わいだ。
店名:ブラジル
住所:旭川市3条通8丁目
電話番号:0166-26-3517
営業時間:9:00~19:00
定休日:日曜・祝日
駐車場:なし
美味しいコーヒーを提供しつつ、フードメニューが充実した軽食レストランといった雰囲気満載の店である。
ピラフに限っていえば・・・
なんと4種のバリエーション。
喫茶店のピラフの定番、エビとチキンは分かるが、それにしてもハンバーグにカツとは、ずいぶんとピラフ推しだ。
ちなみに、メニューには別に炒飯もある。ので、序章で言った両者の味わいの違いは明確だろう(食べ比べられたらいいのだが)。
ということでチキンをオーダー。
すると、キッチンから何やら炒める音が。
序章で言った喫茶店ピラフかな。
チキン・ピラフ&味噌汁(800円)
注)皿のすぐ横にスタンドライトがあって、その灯りによって料理の色がちょっとビミョーです
味がどうのと言う前に・・・
あ、皿が可愛い。こういう柄、けっこう好みだな。
味噌汁は碗でなくカップ入り。皿も含めて、いかにも喫茶店なコーディネートが、居心地をより楽しくしてくれる。
具は鶏肉(チキンピラフだもの)や玉ねぎなど。
特にうれしいのがマッシュルーム。若い頃の筆者にはこの食材がハイカラで、これが入っているだけでちょっと特別なものを食べてるような気になったものだ。
ピラフはあっさりしていながら、コショウが効いたシャープな味付けが印象的。
アラビゴ「東」の味である。
店名:亜蘭琲珈(アラビゴコーヒー)東四条店
住所:旭川市東4条2丁目
電話番号: 0166-25-2377
営業時間:9:00~20:00
定休日:月曜、第2第4日曜
駐車場:あり
大雪通から8条通を行くと、ほどなく樹木が生い茂る街角に。
まさに喫茶店!!という佇まいに、昔はあちこちに喫茶店があったよねえと、ついノスタルジックに浸ってしまうのは筆者だけではないと思う。
アンティークな店内では、メニューもアンティーク(?)。トーストやサンドウイッチ、カレーにスパゲッティと、どれも喫茶店の定番だ。
もちろん、ピラフもあり。
エビピラフ(550円)
ちょっとしたサラダが一緒という、独自なスタイル。
ニンジンやピーマンが鮮やか。
そうそう、思い出した。ピラフの野菜って、みじん切りというよりは微細な角切り。そんな風に作る店も多かったように思う。
ほんのり甘い香りのする、これも昔ながらのピラフのテイスト。
お腹の中までノスタルジックな気分になった筆者である。
店名:セントポーリア
住所:旭川市8条通23丁目
電話番号:0166-34-5930
営業時間:10:00~20:00
定休日:不定休
駐車場:あり
時代が変わったのか、昔よりピラフの盛りが良くなったような気がする。実際、見た目よりずっと食べ応えがある。
昔のピラフは、皿に平べったく(薄っぺらくとも言う)盛り付けられて、お世辞にもボリューム満点!ではなかったはず。
そもそも、店は「軽食喫茶」だから。
ピラフとかスパゲッティってメインディッシュじゃなく、間食だったんだよね。
とかなんとか、思い出話が尽きないのでこのへんで。
喫茶の王道シリーズ第1作も併せてどうぞ。
茶を喫する(飲む)と書いて喫茶店。でも昔から喫茶店には、トーストやサンドウイッチといった軽食もつきものです。中でもお馴染みは「たまごサンド」。で、これがまた、作り手によって違うレシピが実に興味深い。ということで、旭川市内の老舗の個性的「たまごサンド」をご紹介しましょう。
この記事のキュレーター
ピラフ・スープ付(コーヒー付・750円)