2023年07月29日

旭川から一番近い島【天売・焼尻】で海の浪漫を満喫しよう

魅力は何といっても、離島ならではの絶景、野生の動植物の営み、宿で味わう海鮮グルメ。島の虜になること間違いなし。※「一番」の表現は、旭川からの車およびフェリーの所要時間を他の島と比較したものです。また「島」とは有人離島を指しています


天売島・焼尻島とは

出典:Googleマップ
編集:KOTA

 

そうそう、一応確認しておきますと、島の名は「てうりとう」「やぎしりとう」と読む。
上の地図では、ふたつ並ぶうち向かって左が天売島、右が焼尻島。
住所で言うとここは羽幌町。町から30km西にある(天売島まで)、どちらも周囲12kmほどの小さな島々だ。
天気が良いと小平町あたりからぼんやりと見えることもあり、たまに「あれって利尻?」とか言ってる人がいるけど、それ、違いますから(笑)

旭川から天売・焼尻に行くには

まずは陸路を

車で、旭川から深川、留萌を経由し羽幌町まで約2.5時間(深川留萌自動車道で時短可)。
または、幌加内、霧立峠を経由するというルートもある。
バスは、旭川市から留萌市を「道北バス」が、留萌市から羽幌町を「沿岸バス」が運行している。

そして乗船

Photo:同行のY氏

 

羽幌に着いたら「羽幌沿海フェリー」ターミナルへ。車はフェリーターミナル駐車場が利用できる(無料)。
同社では、フェリー「おろろん2」と高速船「さんらいなぁ2」の2隻が運行中。
羽幌から焼尻島まではフェリーで1時間、高速船で35分。
焼尻島から天売島へはフェリーで25分、高速船で15分。
焼尻島に上陸せず羽幌から天売島に向かう場合は、焼尻島での停泊時間を含め1時間35分、高速船だと1時間となっている。
運行ダイヤは季節や時期によって細かく設定されているので、詳細は同社HPを参照されたい。
また、フェリー「おろろん2」は、自転車、バイク、自動車が搭載可能(運賃別途)。
以上に係る運行時間および運賃は同社HPでご確認を。

天売島

ふたつの島。
大概は合わせて天売焼尻と呼ばれ、なぜだか焼尻天売とは呼ばれない。
なので、天売島からご紹介。
一泊二日の行程で、島を楽しんだその様子をピックアップ。

羽幌港を出ると、視界には大海原が。
背後には羽幌の陸地が見えてますがね(笑)

すると、船を追いかけてくるカモメたち。

 

なぜかと言うと、客が船からお菓子を投げてくれるのを知っているから。
かっぱえびせんなどをエイっと放るとカモメは見事にキャッチ。
いや、ダメですから。野生動物に食べ物を与えちゃ。
そうそう、カモメのフンにも気を付けて。頭上にいたら要注意。

 

海が凪いでいれば大したことはないが、ちょっと波が高いとフェリーはけっこう揺れる。
もっと高いと水しぶきを浴びることも。
船には自信がないなとおっしゃる方は、酔い止め、必須でしょうな。

 

島の人口は約270人(令和3年)。主要産業は漁業、観光業。まちは小さいが診療所や高校(定時制)もある。
周囲は12km。のんびりと島を周遊するのが何よりの楽しみ方。レンタサイクルを使うのがおすすめだ。

 

いわゆる市街地は道路幅は2車線分あるが、そこを離れると車が1台通れるだけの細い道に。
ちなみに時計回りの一方通行となっている。

 

道の先は絶景に次ぐ絶景となる。
焼尻島もすぐそこに見える。

 

道は起伏があるので、ちょっと疲れもするがそれも旅の楽しみ。

道を進んでいくと、島の北側に。景色は断崖絶壁が続く。
そして「赤岩園地」へ。このあたりは遊歩道、展望台が整備されていて、海抜48ⅿから「赤岩」という岩を見下ろすことができる。

 
 

展望台から見えるのは島一番の見どころ、海鳥の繁殖地が。
想像を絶するそのスケールには圧倒されるばかり。

 

足元を見ると地面に無数の穴が開いている。ウトウという海鳥の巣穴だ。
天売島はウトウの繁殖地としては、世界最大級なんだとか。
夕方から夜にかけて、ヒナに与えるエサを与えるためウトウが一斉に巣に戻り始める。その様子がまた感動的と、夜には見学ツアーを実施する宿もある。
繁殖期は5〜7月とされ、この記事が掲載される頃には、様子は変わってしまうかも知れないが、いずれは島にとお思いの方はぜひチェックを。

 
 

どこに行っても海、海、海。
だって、ここは島だから。当たり前のことだが、そんな感動がここにはある。

 
 

翌朝は、散歩がてら港の辺りをぶらぶらと。
けっこう大きな漁船が浮かぶその横に陸揚げされた小さなボートが。
中にはウニを獲るためのものも。
漁師が腹ばいになり、海をのぞきながらウニを専用のモリで捕獲する。

 

そのモリ。
先が爪のようになっていて、これでウニを掴むのかな。

とかなんとか、ゆったりと過ごした島時間は終わり、帰路へ。

 

フェリーのりばで帰りの船を待つ。
人生では、飛行機、列車、バスを待つということは多々あるが、船を待つ、という経験はあまりない。あっても観光地の遊覧船くらいでしょうか(笑)。

島という独特の土地柄による、簡単には帰れないという深層心理が働ていたか、船が見えたときには妙にホッとしたものである。

焼尻島

 

さて、こちらは焼尻島。天売島とともに、筆者のお気に入りスポットなので、すでに何度か訪れている。
一度、うに丼を食べるためだけに来たことがあったっけ(笑)。

港に着いたフェリーからは、のどかな街並みが広がる。
人口は198人(令和3年)、主要産業は天売と同じく漁業と観光業となっている。

 

昔、一緒に訪れた彼女が、上のような景色、建物の色遣いを見て「北欧みたい」と言ったが、へえ、そうなんすかね。

 
 

見どころは、なんたって海と動植物の生態系。
天売島同様に、海鳥が多く繁殖している様子が見られる。

が、こっちだけの見どころとしては、イチイ(北海道ではオンコと呼んでいる)の原生林だろう。

 
 
 

立ち入れば、そこは神秘的な空気が漂う自然の森。
特に朝、涼しい時に散策すると、何だかパワーをもらえるようなムードがする。
ちなみに、この自然林は独特の体系を形成していると、国の天然記念物に指定されている。

ほか、観光スポットには「羽幌町営焼尻めん羊牧場」という羊を飼育する施設がある。
が、飼育員の補充が成り立たず、残念ながら本年8月末をもって閉鎖されることとなっている。

島グルメ

島はどちらも漁業が盛ん。
なので、地元の海鮮料理をたんと味わえること請け合い。
以下では、筆者がこれまでに頂いものをピックアップ。

まずは、とある旅館での夕食。
※通常の宿賃(食事つき)に、たまの贅沢だからより旨いものをと追加料金を支払っています

 

ムラサキウニ。宿の食事に追加オーダーしたもの。
まだトゲが動いてた。
殻をあけて刺身でいただく。

 
 

ほか、ウニ料理もいろいろと。

 

地魚の「ソイ」は煮つけで。
これ、刺身も旨いんだよね。

 
 
 

エビのかき揚げ。
そしてエビやタコ、ソイの刺身。
すべてが地元で水揚げされたものだ。これぞ島グルメ。

以下は、これまたとある旅館の夕食。

 

また、とある旅館の夕食。
同じエリアだもの、どうしたって似たようなものが出てくるが、年に1~2度の訪問なら、飽きるということはありえないでしょ。
あ、こちらの煮魚はカレイだね。これも地魚。

 
 
 

上は、サフォークのステーキ。
そうそう、ここは焼尻島。なので町営めん羊牧場の羊肉を料理する宿もある。

島での非日常をお気軽に

いかがでしたか。
筆者のおすすめは、やはり一泊くらいしてゆっくりと、という感じであるが、オンシーズンなら船の運行本数も多いので日帰りでも十分楽しめる(島にも食堂あり)。
アナタにも、ぜひとも離島ならではの非日常を味わって頂きたいものです。


この記事のキュレーター

美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。

・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター