2020年05月22日
【彫刻のまち】とも呼ばれる旭川。市内の街中や公園には約100基もの彫刻が設置されているんだそう。でも、身近であるがゆえに「あまりじっくりと見たことがない」なんて方も少なくないのではないでしょうか? 今回の『”野外彫刻”を巡る旅Part.6』では、花咲エリアに設置されている彫刻4点を紹介します!
初めに紹介するのは、『花咲スポーツ公園硬式野球場(スタルヒン球場)』の目の前に設置されている『スタルヒン像』です。
像のモデルはロシア生まれ・旭川育ちの、プロ野球界初の外国人選手【ヴィクトル・W・スタルヒン】。日本のプロ野球史上初めて300勝の大記録を達成したことでも知られています。
彼の出身校 旭川中(現旭川東高校)のOBらが「スタルヒンの功績を称え、後世に伝えたい」と働きかけたことで、像が設置されることとなりました。
像を手掛けたのは、戦後日本の彫刻界をけん引した彫刻家のひとり『本田明二』さん。
【北海道の風土や歴史などを強く反映】した作品が多く、『スタルヒン像』のそのひとつです。
マウンド上で振りかぶるスタルヒンの姿を映し出した像は、まるで【今にも動き出しそうなほど、生き生きと描かれています】。
夏には、プロ野球公式戦や高校野球甲子園予選で熱戦が繰り広げられるスタルヒン球場。その前で旭川球児が活躍する姿を見守ってくれています。
【作品情報】
『スタルヒン像』 本田明二
1979 ブロンズ 255×75×80
花咲スポーツ公園硬式野球場(スタルヒン球場)前(旭川市花咲町2・3丁目)
出典:asatan
続いて紹介するのは、花咲スポーツ公園の駐車場近くに設置されている作品。
跳び上がろうとする馬に乗った、手を差し伸べる少年がとっても印象的です。
【躍動感あふれる作品】を多数手がける、『北村善平』さんの彫刻ですが、制作年や経緯など、不明な部分も多くあります。
台座には「飛べ! 大空へ 力の限り より高く より遠くへ」と書かれたプレートが。
『少年の夢』というタイトルからも、「意志を持って、一生懸命夢へ向かっていってほしい」といった作者の思いが見てとれます。
ちなみに、ここから少し歩きますが、近くにはかつて旭川競馬場(現スタルヒン球場)がありました。人によっては「昔は競馬場があったなぁ」なんて、この像を見ながら思い出す人もいるのではないでしょうか?
【作品情報】
『少年の夢』 北村善平
制作年不詳 ブロンズ 200×220×100
花咲スポーツ公園駐車場付近(旭川市花咲町5丁目)
出典:asatan
続いての舞台は、花咲大橋の上! 2つの作品が展示されており、そのひとつはホーマック側に設置されています。
こちらは『隼の碑』という作品で、【シリーズ化】されているんです。市内には同じタイトルの彫刻が3つあり、【新成橋の上】と、【ロータリー付近の8条斜線】に設置されています。
今回紹介する花咲大橋上の『隼の碑』は、3つのうちで最も大きく勇壮なデザイン。
山内さんらしい、曲線的に抽象化した作品ではありますが、【ハヤブサの颯爽と飛んでいくスピード感】が見事に引き出されています。
表面のザラっとした質感も、【重厚さ】を感じさせるポイントです。
【作品情報】
『隼の碑』 山内壮夫
1970 ブロンズ 87×208×120
花咲大橋上(旭川市花咲町5丁目~新富1条1丁目)
出典:asatan
最後に紹介するのは『鶴の舞』。こちらも花咲大橋の上(新富側)に設置された、山内さんの彫刻です。
タイトルの通り、【鶴が空にくちばしを向け、羽ばたいたりする求愛のダンス】を表現。
羽やくちばしなど、鶴のフォルムは残しつつ、ところどころに丸みを加えることで、複雑な形なのに親しみやすい作品に仕上げています。
鶴が舞う一瞬を見事にとらえた、優雅な作品ですね。
ちなみに、旭川市彫刻美術館にも同じ形の作品が展示されているそうで、そちらは【強化プラスチック】でできているんだとか。
素材の違いによって作品から受ける印象がガラッと変わるので、【見比べてみるのも面白い】かもしれません♪
【作品情報】
『鶴の舞』 山内壮夫
1966 ブロンズ 190×86×75
花咲大橋上(旭川市花咲町5丁目~新富1条1丁目)
今回は花咲エリアに設置されている4つの彫刻を紹介しましたよ♪
公園や街中など至る所に彫刻が設置され、【彫刻のまち】とも呼ばれる旭川。
身近にありすぎるためか、見かけても素通りしています方も多いと思いますが、足を止めてじっくりと見てみると、意外な発見があるかも♪
旭川市内の”野外彫刻”を巡る旅【パート7】もお楽しみに!
この記事のキュレーター
出典:asatan