2026年10月07日

【旭川】ラーメンの街めぐり / 春光エリア編

連載第6話は、春光方面の名店をピックアップ。すでに第4話でエリアの北部から1店を紹介していますが、今話は南側を巡ります。


旭川ラーメン さいじょう 旭川本店

 

創業から50年超。
長い歴史を持つこちらの看板商品は、ズバリ「伝説」の文字を冠した塩ラーメン。
店内のポスターには、「塩の旨味をまろやかに包むスープ」との文字。さらにアルカリ水と清水を使い、一昼夜かけて煮込んで厳選材料の旨味を引き出しているという。「しょうゆ」王道の旭川で、自ら称した「伝説」がいよいよ王道となるか。

店内にカウンター、テーブル、小上がり。キャパは30席。

 
 

ラーメンには、烏骨鶏といった独創的なスープも。
また、生姜焼き、カツといったいかにもまちの食堂的な献立もあり、地域に親しまれた長い歴史を思わせる。

ラーメン 塩(900円)

 

いただいたのはレギュラースープの「しお」。

まず目を引くのが赤い丼。
いつからこの器なのかは分からないが、これがなかなかいい。
チャーシュー、メンマという王道の具に、鮮やかな赤いナルトがちょこん。シンプルな一杯の中で、このナルトが妙に目立つ。作り手のこだわりを感じさせる存在だ。

 

スープはやや透明感のある琥珀色。ひと口すすると、まず感じるのはまろやかなコク。そこにほどよい塩味が重なり、角のない味わいに仕上がっている。

派手さはない。だが、レンゲをもうひと口、さらにもうひと口……と、ついつい手が伸びる。これぞ「クセになる」タイプか。

 

麺は中細で、しなやかな縮れを持つ。もっちりとした食感から、素材そのものの自然な旨味がじわじわと広がってくる。麺をすするたび、そこにスープを合わせたくなる。麺とスープの相性が実にいい。

長年支持されてきた理由は、こういうところにあるのかもしれない。

 

豚の旨み引き立つチャーシューも、一杯の完成度にひと役買う。

まろやかな塩の旨味をじっくり楽しめる、王道にして中毒性のある一杯と思う。

お店情報

店名:旭川ラーメン さいじょう 旭川本店
住所:旭川市春光1条8-2-18
電話番号:0166-55-1698
営業時間:11:00~15:00/17:00~20:00
定休日:木曜
駐車場:あり

らーめん工房 味の番番 本店

 

旭川におけるラーメンブームの黎明期、みそラーメンで市内を席巻したというこちら。
人気のみそラーメンを守りながら、醤油ラーメンやアレンジ系の一杯にも挑戦している。

ちなみに所在地は、前掲「さいじょう」のごく近所(向かい)。
店内にはカウンター、テーブル、小上がり。キャパは40席。

焦がし正油ラーメン(1,200円)

 

どの品も気になってしまうメニュー。
今回はその中から『焦がし正油』を。

 

深い褐色のスープは、まさに「焦がし」を思わせる色合い。
ところが鼻を近づけてみると、焦げ臭さというより、何やら香ばしい香りがふわりと立ち上がる。

 

よく見ると、スープにはフライドガーリックらしきものが浮いている。
(という説明をしようと触っているうちに大半が沈んでしまったが)なるほど、これが香りの仕掛けか。独特の演出に期待感が高まり、食欲も一気に加速する。

 

ひと口味わえば、醤油の深いコクがグッと前に出るおつゆ。
そこにシャープな酸味が加わり、さらにまろやかな出汁が全体を包み込む。
濃厚な印象がありながら、口当たりは意外なほどスムーズだ。

 

麺は小麦感がたっぷり。
しっかりとした存在感のある麺に、焦がし醤油の香ばしい風味がまとわりつくことで、噛むほどに味わいが豊かになる。

 

大きなチャーシューもいい演出だ。丼の中で存在感を放ちながら、醤油の力強い味わいをしっかり受け止めている。

いい意味でひと癖あり。
最後まで、醤油のコクが衰えない。最初のひと口から食べ終わりまで、しっかりと個性を貫く一杯だった。

ちなみに会計時、店名とラーメンのイラストをデザインした小さなシールをもらった。こういうちょっとしたおまけ、なかなかうれしい(笑)。

 

お店情報

店名:らーめん工房 味の番番 本店
住所:旭川市春光1条8丁目
電話:0166-52-7388
営業時間:11:00〜15:00 / 17:00~22:00
定休日:不定
駐車場:あり

味の鈴乃屋

 

さてさて、3店目は長年地域に親しまれているまちの食堂的な店。
メニューには多彩な定食や丼ものが並び、ラーメンの種類もひときわ豊富。その点、専門店ではないがラーメンの街を彩ること間違いなく、この連載に相応しい。

店内にはカウンター、テーブル、小上がり。キャパは32席。

 
 

上のラインナップを眺めるだけでも、この店が地域の胃袋を(笑)支えてきたことが伝わってくる。

今回選んだのは、シンプルな醤油ラーメン。
同店には筆者自身も何度も訪ね、あるいは、何品かをasatanで紹介させて頂いている。どれも個性的な美味しさに溢れているが、あえて、店の原点ともいうべき味わいをお伝えしたいからだ。

正油ラーメン(980円)

 

具はチャーシューとメンマ。実にシンプル。
だが、この潔さがいい。

いわば「超定番」のスタイル。長年守り続けてきた老舗らしい頑固さが丼から漂う。今どきのラーメンと比べれば飾り気は少ないが、むしろそこに惹かれる。

 

おつゆは、まろやか、かつ、あっさりとした出汁がベース。その表面を熱々のラードが覆っている。
ひと口すすると、醤油のコクはしっかり感じるのに、後味はさっぱり。出汁とラード、醤油が重なって、なんとも落ち着く味わいだ。

うまい。そして、飽きない。
何度でも「飲まさる」おつゆである。

 

麺は穏やかなコシで、喉越しは滑らか。柔らかく優しい食感が、このスープによく似合う。

 

個人的には、スープ、麺、具という三つの要素が一つの丼に収まり、それぞれが無理なく調和するこのスタイルこそ、現代のラーメンの原型なのではないかと思えてくる。

 

しかも、熱々のスープは最後までおいしい。
そして余談ながら、熱いラードの中で煮えたネギが、やたらとうまい(笑)。こういう何気ないところに、昔ながらのラーメンの魅力が潜んでいる。

さらに思い出したのが、この店ではラーメンと丼もの、ラーメンとチャーハンといったセットも人気だということ。
なるほど、このスープならご飯ものとの相性もよさそうだ。あっさりして飲みやすく、それでいて醤油のコクがある。料理の味を邪魔せず、むしろ一緒に食べることで箸が進みそうな味わいである。

実際、この日はラーメン単品をいただいたのだが、スープを飲み進めているうちに、なぜか無性にライスが恋しくなってきた。

「ラーメンライスという文化は、こんなおつゆが生み出した」

そんなことを想像しながらレンゲを動かしていた(笑)。
次に訪れる機会があれば、ぜひセットで試してみたい。

 

派手さはない。でも、何度食べても飽きない。地域に根付く「まちのラーメン」の底力を感じる一杯。そして、ご飯ものと合わせたくなる懐の深さも、この一杯の魅力だ。

お店情報

店名:味の鈴乃屋
住所:旭川市春光2条9丁目
電話番号:0166-54-4321
営業時間:11:00〜20:00
定休日:不定休
駐車場:あり

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この記事のキュレーター

美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。

・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター